せこい買い手はNG!学習塾・スクール買収で絶対にやってはいけない禁じ手とトラブル事例

やっぱり、M&Aは人間と人間の取引なのです!

M&A(企業の合併・買収)の世界において、「塾や習いごと教室の買収」は個人や中小法人が参入しやすい人気のジャンルです。

他の業務と比較しても、初期投資を抑えることができ、すでに生徒やカリキュラム、立地が揃った状態でスタートできるため非常に魅力的なビジネスとなることでしょう。

しかし、

残念ながら、この領域のM&Aには(全体としてもそうですが)、売り手と買い手の間の「信頼関係」を根本から破壊するような、「ずるい買い手」「せこい買い手」によるトラブル、そして禁じ手である「中抜き(直接交渉・手数料逃れ)」が多発しています。

断言します。

M&Aにおいて買い手がずるく立ち回り、目先のわずかな利益を貪ろうとした場合、確率高く良くない結果を招きます。

本記事では、学習塾・習いごと業界のM&Aで本当によくあるトラブル事例をベースに、「なぜずるい買い手は自滅しやすいのか」を徹底的に証明・解説します。

1. なぜ学習塾・習いごとM&Aで「せこいトラブル」が多発するのか?

まず前提として、学習塾や各種スクール(英会話、ピアノ、プログラミング、フィットネスなど)の事業特性を理解する必要があります。この業界のM&Aには、他の業種とは異なる大きな特徴が3つあります。

金額が小さく、
明確な不動産や大型機械などの「有形資産」が少ないため、ビジネスに不慣れな個人や法人が

「これなら自分でも安く買い叩けるのではないか」
「ちょっとくらい裏で手を回してもバレないだろう」


と勘違いしやすい土壌があるのです。

さらに究極を言いますと、

★学習塾運営の個人や法人のオーナーは、皆さん、人がいい!!ということが今までたくさんのオーナーさんたちを見てきて実感できます。
↑ ↑ ↑
実際は、これが一番かもしれません。


これが、「せこい買い手」を大量発生させる原因となっています。

さて、それでは

事例で紹介します。


事例(実話)コーナー


2. 実録!「ずるい買い手」「せこい買い手」の事例

実際にあったリアルなトラブル事例を見ていきましょう。

買い手がずる賢く立ち回った結果、どのような悲惨な末路を迎えたのかを詳解します。

事例①:DD(買収監査)を悪用した「後出しジャンケン型」の減額要求

個人で脱サラし、個別指導塾(生徒数30名)を買い取ろうとしたA氏の事例です。(けっこうセンシティブな内容ですので、こちらの方が誰だか特定できないように書きます)

A氏は当初、売り手(創業社長)が提示した譲渡金額300万円に対して「この金額で合意します」と基本合意書を締結しました。しかし、その後のDD(デューデリジェンス:企業の資産やリスクの調査)に入った途端、A氏の態度が一変します。

  • 「よく見たら机や椅子の型が古い。買い替え費用が必要じゃないですか?」
  • 「エアコンの効きが悪い気がします」
  • 「生徒の退塾リスクが想定よりも10%ぐらい高いように思うのですが・・・」

(※実際に言ってこられた内容もこれとは全く異なります=特定防止)

など、突然人が変わったかのように、重箱の隅をつつくような指摘を連発してきたのです。CROSS M&A のK部長もこちらのA氏とずっとやり取りをしていましたので、この変わりぶりに正直驚きました。

最終的に「150万円に減額しなければ契約はできない」と、交渉の最終盤で強硬な減額を迫りました。

【まさかの結末】

正直言うと、売り手社長はいつも朗らかで、めったに声を荒げない方でしたし、たいていはCROSS M&AのK部長のことを信頼して、いろいろな条件付与をのんでくれていました。
ですから、直前で起こったこの問題に対しても 朗らかに対応して、多少は減額交渉に乗ってくると思い込んでいました。

しかしながら、結果はまったく予想外でした。
長年我が子のように育てた塾をそんな「せこい相手」に渡したくないと怒りだしました。当然ながら交渉は決裂しました。
A氏も、この権幕には驚き、逆にうろたえていました。

多少は減額にのってくれるとタカをくくっていたのかもしれません・・・。


売り手社長はそれまでに費やした時間やDDのために臨時雇いした会計士コスト、他の様々な準備コスト、本当に買うつもりで準備してきたすべてをこの瞬間失ったのです。

A氏も「会社を辞めて塾経営者になる」という人生の計画と時間を失ってしまったのです。

そしてこの話は、最終契約の直前のことでしたが、売り手社長の怒りが収まらず、当時利用していたプラットフォーム運営の会社にも直訴されて、けっこう大変でした。
業界内のM&Aプラットフォームや仲介業者間で「A氏は要注意人物(ブラック買い手)」としてブラックリストに登録され、プラットフォーム利用についてもできなくなってしまったようです。

けっこう前のことですが、鮮明に覚えていて、まさかの展開でした。

事例②:オーナーの「情」につけ込み、引継ぎ期間をタダ働きさせる

次の事例は、CROSS M&Aが当事者ではありません。M&A仲間と言いますか、同業から聞いた話です。

美容系スクールを買収した法人B社の事例です。

B社は交渉時、指導経験が豊富な売り手オーナーに対し、「買収後も生徒や保護者を安心させるために、3ヶ月間はアドバイザーとして残ってほしい。もちろん相応の対価を支払う」と約束していたようです。

しかし、いざ最終契約を結ぶ段階になって、B社は契約書からコンサルティング料の条項を削除したいという申し出がありました。

詳細はわかりませんが、多分他の人に依頼することになったのだと思います。そのため、実際には、売り手オーナーさんと契約したならば、完全に新規体制で運営したいという方向に切り替わってしまったのです。

【一気に崩壊の結末】

売り手オーナーは、渋々承諾したものの、心の中ではB社の手のひら返しともいえる物言いに対して、少し疑念すら感じていました。

そのため、引継ぎ期間中、業務の「最低限の形」だけは教えましたが、

「生徒一人ひとりの正確な性格や家庭環境」
「保護者からのクレーム対応のコツ」
「地元の学校とのつながり」

といった、本当に価値のあるマニュアル化できないノウハウを一切引き継ぎませんでした。

オーナーが去った後、B社は特に保護者対応に失敗してしまったのです。
信頼を失ったスクールからは生徒の退会が相次ぎ、買収後わずか半年で生徒数が半減、大赤字に陥ってしまったとのことでした。

契約条項でせっかくの内容を崩してしまったことが裏目に出てしまった結果だと思います。

事例③:最も悪質な「中抜き(直接交渉による手数料逃れ)」の代償

実は、M&Aの世界で忌み嫌われる行為が「中抜き」です。
不動産売買などでも、やはり業界内のルールというものがありますので、他社が扱っている案件を横取りしたり、自分のところを第一に考えたやり方はしないのが普通です。

もしそれをやってしまうと、業界という大きなうねりの中で、孤立するからです。


最も件数が多く、かつ批判があつまるのがこの「中抜き」です。

BATONZ(バトンズ)の規約においても、この中抜きについて、規約がございます。

以下も実際事例ですが、特定を割けるために内容を大幅に変えてあります。

あるIT法人のC社は、M&A仲介サイトを通じて、業績好調なプログラミング教室を見つけました。

仲介サイトを介して売り手と面談したC社は、仲介手数料(成功報酬)の数十万円を惜しみ、売り手に対してこう持ちかけました。

「仲介サイトを入れると、お互いに高い手数料を取られて損をします。一旦、交渉が決裂したことにしてサイトを退会し、裏で直接契約を結びませんか? その分、譲渡額を少し上乗せしますよ」

売り手も知識が浅かったため、その誘いに乗ってしまいました。

【後ろめたい思いを持ちながら、案の定の結末】

まず、

M&A仲介サイトの規約違反はシステム上で高い確率で検知されます(不自然な同時退会や、その後の登記情報の変更など)。

当然、C社と売り手のもとには、仲介会社から規約違反による「莫大な違約金・損害賠償請求」の通知が届きました。

さらに地獄は続きます。

仲介会社という「プロの目」を排除して直接契約を結んだため、契約書に重大な欠陥がありました。

買収後、実は売り手が「近隣(車で15分圏内)で、別の名前で新しいプログラミング教室を開く準備を進めていた」ことが発覚したのです。

契約書に「競業避止義務(売却後に同じエリアで同業を営んではいけないというルール)」が厳密に記載されていなかったため、C社は法律で売り手を止めることができず、生徒のほとんどを元オーナーに引き抜かれ、買収した教室はもぬけの殻となりました。

違約金を支払わされ、買収した事業は即破綻。C社に残ったのは、巨額の損失だけでした。

これは、ものすごく凄惨な事例です。

3. なぜ「ずるい立ち回り」は100%失敗するのか? メカニズムを解剖

なぜ、ずるい買い手はここまで綺麗に自滅するのでしょうか。それには、学習塾・習いごと業界における「3つの見えない法則」が存在するからです。

まず一番御伝えしたいのは、以下です。

① 教育ビジネスは「感情」と「人間関係」で成り立っている

製造業やITシステムであれば、機械やコードを買い取れば事業は継続します。

しかし、塾や習いごとは違います。生徒や保護者は「その塾の先生」「その教室の雰囲気」にお金を払っています。

買い手がせこい手を使って売り手を傷つけた場合、その不信感は一瞬で現場の講師やスタッフに伝播します。

「今度の新しいオーナー、かなりケチで怪しい人らしいよ」 そんな噂が立てば、優秀な講師から順番に辞めていきます。講師が辞めれば、彼らを慕っていた生徒たちも芋づる式に退塾します。

ずるい買い手は「箱(教室)」を買ったつもりかもしれませんが、中身の「魂(人)」が逃げてしまえば、ただの机と椅子が置かれた空き部屋を買ったのと同じです。

そんなことは、講師がわかるはずないじゃないか?
そう思われますでしょうか。

違います。

あった事実をすべて講師が把握することはないでしょう。実際無理だと思います。
しかし、講師も生徒も保護者も本質的な人間性は、必ず察知するのです。

② M&Aは「契約」ではなく「引き継ぎ」で成否が決まる

M&Aの成功の締結は、ゴールではなく「スタート」です。
本当に重要なのは、所有権が移転した後の「PMI(Post Merger Integration:買収後の統合プロセス)」と呼ばれる期間です。

売り手オーナーが「この買い手になら、自分の大切な生徒と講師を任せられる」と心から思っていれば、契約書に書いていなくても、泥をかぶるようなクレーム処理を手伝ってくれたり、地域の有力者を紹介してくれたりします。

逆に、買い手にあまり好印象をもっていない場合や、小さな部分でも騙された・・・いいように契約書を変えられた、買い叩かれたと感じている売り手は、義務以上のことは絶対にしません。

質問しても「マニュアル通りやってください」と少し冷たくあしらわれたり、回答が遅かったりと、買い手のほうもすっきりしない日々を送ることになるかもしれないのです。

これは少々言い過ぎかもしれませんが、

人間の心理なんて、実は単純なのではないでしょうか。

例えば怒り心頭の顧客がいたとします。でも菓子折り一つでももって深謝すれば、その人のことを一転信用し、新しいオーダーを出してくれるかもしれません。

こういうことが日常で起こるのは、やはり「誠意」を感じ取るからだと思います。

③ 「中抜き」を容認する売り手は、買い手も裏切る

「中抜きをしましょう」という直接的表現をする人はいないと思います。

ですが、それに準ずる提案をしてくる買い手と、それに乗るような売り手は、そもそも「約束や規約を破ることを何とも思っていない人物」になってしまいます。

昔の時代劇で、袖に手を入れた商人と武士が、ニヤッと笑ってというあのシーンです。

そんなモラルの低い売り手(買い手)が、買い手(売り手)に対してだけ誠実であるはずがありません。


C社の事例のように、裏で競合店舗を開いたり、不都合な財務データ(実は来月大量退塾の予定があるなど)を隠していたりするケースがほとんどです。

「ルールを破る者同士の取引」は、よりずる賢い方に食い物にされて終わるのがオチです。

4. 学習塾・習いごとM&Aを成功させる「正しい買い手」のあり方

では、これから個人・法人として塾や習いごと事業を買い、成功させるためにはどうすればいいのでしょうか。成功する買い手が徹底している「鉄則」をまとめました。

1. 相手の「創業の想い」に敬意を払う

多くの塾長やスクールオーナーは、儲けのためだけに事業をやっているわけではありません。「地域の子どもたちの未来のため」「この文化を絶やさないため」という強い想いを持っています。 交渉の席では、まずその想いに対するリスペクトを示してください。

金額の交渉をするにしても、「事業をより良く継続し、発展させるための前向きな原資の相談」というスタンスを崩してはいけません。

2. 「三方よし」の視点を持つ

M&Aにおいては、買い手と売り手のことだけを考えていては失敗します。

  • 売り手:正当な対価を受け取り、安心してリタイア、または次のステップへ進める
  • 買い手:健全な事業を引き継ぎ、新しい価値を付加して成長させる
  • 生徒・保護者・講師(現場):オーナーが変わっても、これまで以上の教育環境が維持される

この「三方よし」が実現できる内容を提案できる買い手のもとに、優良な案件が集まります。

3. プラットフォームや仲介の「手数料」は保険・プロの知恵代と割り切る

中抜きを企てる最大 recruitment の理由は、数十万〜数百万円の「手数料」を惜しむ気持ちです。

しかし、プラットフォームや仲介会社が作成する契約書、間に入る調整能力には、それ以上の価値があります。

何かトラブルがあった際、間に入って法律や実務の観点から守ってくれる存在を排除することは、「シートベルトとブレーキを外して高速道路を走る」ようなものです。

経費ではなく、事業を守るための不可欠な「投資」と捉えてください。

5. まとめ:誠実さこそが最大の「ローコスト・ハイリターン」

スモールM&Aの世界には、「ずるく立ち回って得をしてやろう」という悪質なプレイヤーが一定数存在します。

しかし、

彼らが買収後に大成功を収めて大富豪になったという話を、私は一度も聞いたことがありません。

 一番最初の初期段階から、狡さをもった人が、誠実さが求められる仕事の世界で大成するでしょうか。

教育ビジネス、習いごとビジネスの根底にあるのは「信用」です。

入り口であるM&Aの交渉の段階で、相手を騙し、叩き、出し抜こうとするような人間に、子どもたちの未来を預かる事業の経営ができるはずがありません。

その歪みは、必ず買収後の現場の崩壊という形で、何倍もの金額の損失となって自分に返ってきます。

これから買収を検討している個人・法人の皆様。

目先の数万、数十万円のせこい利益に目を奪われないでください。

売り手に対して誠実であり、プロのルールを遵守すること。それこそが、結果として最もリスクを抑え、買収後の利益を最大化する「最短ルート」なのです。



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