学習塾の開業・買収で失敗しない初期コスト削減ガイド:不要なシステムや顧問契約を見極める方法

塾を開校するということは、自らの理想の教育空間を創り出す素晴らしい挑戦です。

新規に自ら立ち上げる場合であっても、既存の塾を買収して引き継ぐ場合であっても、希望と熱意に満ちあふれていることでしょう。

しかし、

開校初期という時期は、経営者が最も隙を見せやすく、また様々な業者から狙われやすい時期でもあります。

新しい城を構えたあなたのもとには、驚くほど多くの提案や営業が舞い込んでくるはずです。そのすべてが、あなたの塾の成功を応援しているかのような甘い言葉を伴っています。

ここで強く意識していただきたいのは、開校初期のコストコントロールこそが、その後の塾経営の寿命を決定づけるということです。多くの塾が、生徒が集まる前に固定費の重さに耐えかねて苦しむことになります。今回は、塾経営者が陥りがちなコストの罠を排除し、無駄な支出と時間のロスを徹底的に防ぐための実践的な心得をお伝えします。

1.すべてのセールスは原則遮断、話すら聞く必要はない

塾の開校準備を始めたり、登記を行ったり、あるいはホームページを公開したりした瞬間から、あなたの電話やメール、時には直接の訪問によって、多くののセールスが押し寄せることでしょう。

広告、集客ツール、教材、求人媒体、オフィス機器など、そのジャンルは多岐に渡ります。

これらに対して、まずは「ひとまず全部断る」という姿勢を徹底してください。

営業担当者は言葉のプロです。

「今なら初期費用が無料です」
「近隣の競合塾も導入しています」
「生徒募集に必ず役立ちます」


といった、いかにも聞かなければ損をするようなフレーズでアプローチしてきます。しかし、彼らの話を聞くこと自体が、経営者にとって最大の機会損失となります。

話を聞くためには、あなたの貴重な時間が奪われます。

開校初期の経営者がやるべきことは、地域の教育ニーズの分析、授業スキームの構築、既存の生徒や保護者との関係強化であり、業者への対応ではありません。

時間を奪われるというコストに加え、話を聞いてしまえば「買わなければいけないかもしれない」という心理的負担や、実際に不要な契約を結んでしまうリスクという実質的コストが確実に増加します。

相手がどんなに親切そうに見えても、彼らはボランティアではなく、自社の利益のために動いています。開校期に必要なものは、すべてあなた自身が主導権を持って選ぶべきであり、向こうからやってくる提案の中に本物の正解はありません。まずはすべてのセールスをシャットアウトし、自分の時間と資金を強固に守る防壁を築いてください。

なかなか断りにくいときでも、しっかりと堂々と「必要ない」ことを伝えてかかってきた電話、訪れてきたセールスマンを遮断していいです。

2.「月々わずか」というサブスクリプションの罠を最小化せよ

現代のビジネスにおいて、最も警戒すべきは一括の大きな支出よりも、毎月定額で引き落とされる固定費、いわゆる「月額課金(サブスクリプション)」の仕組みです。一つひとつは数千円から数万円程度であっても、それらが積み重なると、毎月数十万円という巨大な固定費の塊となり、経営の首を絞めることになります。特に、以下の具体例には細心の注意を払ってください。

月極駐車場の契約

車での通勤や、送迎用のスペースとして安易に駐車場を借りてしまうケースです。本当にその駐車場は毎日、全時間帯で必要なものでしょうか。近くのコインパーキングを都度利用する方が、トータルの支出を抑えられるケースは多々あります。

問題作成システムや教材配信システム

これらは非常に魅力的に見えますが、開校初期の生徒数が少ない段階で導入しても、アカウントや機能を使いこなせず、宝の持ち腐れになることがほとんどです。まずは手元の教材や、無料、あるいは低価格で利用できる既存のツールで十分に対応可能です。

玄関マットなどのレンタルサービス

定期的に業者が交換に来てくれるサービスは便利ですが、これらも毎月確実にお金を奪っていきます。デザイン性の高いマットを市販で購入し、自分たちで定期的に掃除をすれば、初期費用だけで済みます。

塾専用の顧客管理・入退室管理システム

「学習塾あるある」の最たる例です。生徒の入退室連絡や指導報告書、月謝管理などが一元化できるシステムは、一見すると不可欠に思えます。しかし、生徒数が数名、あるいは数十名の段階であれば、表計算ソフトや無料の連絡アプリ、汎用的なコミュニケーションツールで完全に代替できます。システムを導入するのは、手作業での管理が物理的に不可能になってからでも全く遅くありません。

使い放題を謳う各種サブスクリプションサービス

デザインツール、素材サイト、オンライン辞書など、「使い放題」という言葉は魅力的ですが、実際に毎月どれだけの頻度で使うかを冷静に見極めてください。

使わない月であっても、口座からは容赦なくお金が引かれていきます。

月額契約を結ぶ際は、「これがなければ明日からの授業が成立しないか」を自問自答してください。いつでも始められるものは、今始める必要はありません。

3.士業やコンサルタントとの顧問契約は後回しで構わない

開業するとなると、税理士や社会保険労務士(社労士)といった専門家と、すぐに顧問契約を結ばなければならないと思い込んでいる人が多くいます。

さらに、中小企業診断士や経営コンサルタント、ビジネス指導を謳う様々な顧問の勧誘を受けることもあるでしょう。

結論から申し上げますと、最初からこれらの顧問契約を結ぶ必要は全くありません。

税理士に関して言えば、開校初年度の取引量や売上規模であれば、自分でクラウド会計ソフト等を利用して日々の記帳を行うことは十分に可能です。

確定申告の時期だけ、スポット(単発)で税理士に依頼するか、税務署の相談窓口を利用すれば事足ります。毎月数万円の顧問料を支払っても、それに見合うだけの複雑な税務処理は初期段階では発生しません。

社労士についても同様です。最初から何十人もの正社員を雇用してスタートするわけでないのなら、労務管理や雇用保険の手続きを外部に丸投げする必要はありません。各種手続きの方法は、行政の窓口に行けば丁寧に教えてもらえます。

また、経営コンサルタントや中小企業診断士、その他の顧問を名乗る存在には特に注意が必要です。

彼らの多くは、一般論としての経営手法を語ることはできても、あなたの塾の現場で泥臭く生徒を集め、成績を上げるための具体的な解決策を持っているわけではありません。

実績が出ていない段階で高い顧問料を支払うのは、自ら経営難を招きにいくようなものです。

個人的には、これが一番いらない(全くもって不要!)な代金だと断言します。

再度、上の黄色のマーカーラインを引いたところを2回、3回と読んでみてください。本当にそのとおりです。

専門家の知恵が必要になった時は、公的な支援機関(商工会議所やよろず支援拠点など)の無料相談を利用するか、本当に困った時だけスポットで費用を支払って相談する形をとるのも一つの方法です。

すみません、言い換えます、0.1つの方法です。

・・・・この無料相談に対応してくれる人のスキルは千差万別で、わざわざ交通費を使って行ったものの、ろくな解決策を与えられないというケースは、10のうち9はあるでしょう。

つまり・・・・この無料なんとか相談なんていうのも受ける必要はゼロだと思います。(行けばわかりますが、たいした内容は言ってくれませんし、時間の無駄になることが99%です)

4.リース契約の恐ろしさを知り、総額計算で判断せよ

複合機(コピー機)やパソコン、オフィス家具などの導入の際、業者が頻繁に提案してくるのが「リース契約」です。「初期費用はゼロで、毎月わずか1万円で最新の機械が導入できます」という営業文句は、手元資金を残しておきたい経営者にとって非常に魅力的に聞こえます。

しかし、リース契約は実質的な長期ローンであり、一度契約すると原則として中途解約ができないという極めてリスクの高い契約です。

↓ (重要です)

開校初期のオフィス機器は、中古の購入や、比較的安価な家庭用・小規模オフィス向けのインクジェット複合機などで十分に代用できます。

最初から立派な業務用複合機をリースで導入する必要はありません。

見た目の月額料金に惑わされず、総額としてのコストと自由度の制限を天秤にかけて判断してください。

5.現物の価格と送料に執着し、ネット通販と実店舗を徹底比較せよ

塾の内装や備品を整える際、机、椅子、ホワイトボード、消耗品、事務用品など、購入しなければならない現物は大量にあります。

これらを調達する際、一つの業者にまとめて発注するのは非常に危険です。「まとめて安くします」と言われても、個々の商品の単価を見ると、市場価格より大幅に高く設定されていることが多いためです。

備品を購入する際は、泥臭いほどに価格比較を行ってください。

比較すべき対象は、実店舗(大手の家具店やホームセンター、家電量販店など)と、主要なネット通販サイトです。ネット通販であれば、ヨドバシドットコム、Amazon、楽天市場、ヤフーショッピングといった一般向けサイトから、モノタロウ、アスクルといった事業者向けサイトまで、網羅的に確認する必要があります。

CROSS M&Aのk部長は、Amazonプライムの会員ですので、Amazon利用が多いのですが、最近のAmazonは、書かれている到着日がことごとく違うことが多いです。

人手不足でしょうね。

便利は便利なのですが、「在庫あり」と書かれていても実際には在庫はなかったりとか・・・この度合いが全国的に増加しているように感じます。

対して、本当にこれで利益とれてるの?とこちらが心配するぐらいの徹底ぶりは、ヨドバシ・ドット・コムです。

送料無料・・え・・・これでも送料無料なの?と思わず声に出して言いたくなるぐらいです。

是非今度調べてみてください。

そう、ネット購入の際には、商品自体の価格だけでなく、「送料」を含めた総額で比較することを絶対に忘れないでください。

例えば、ホワイトボード本体がネットで安く売られていても、大型家具扱いで高額な送料が加算され、結果的に近くの店舗で購入して自分で運んだ方が安かった、というケースは珍しくありません。

逆に、ヨドバシドットコムのように、少額の商品であっても送料無料で迅速に届けてくれるサイトを有効活用すれば、店舗に足を運ぶ時間と交通費を節約できます。

また、各サイトのポイント還元率や、事業用のアカウントを作成することによる割引特典なども考慮に入れます。

一見すると、数十円、数百円の差を気にするのは細かすぎるように思えるかもしれません。

しかし、この「現物の値段と流通コストにこだわる姿勢」こそが、経営者の金銭感覚を研ぎ澄まします。一箇所でまとめて楽に買うのではなく、最も合理的な調達ルートを自分で見つけ出す執念を持ってください。

6.電話回線の契約セールスは、詐欺的な手口を警戒せよ

開校準備を進める中で、最も執拗かつ巧妙にかかってくるのが、電話回線やインターネット光回線、ビジネスフォンに関するセールスです。

これらもすべて、代理店によるマージン目的の営業活動です。話を聞く必要は一切ありません。

塾経営において、固定電話の回線やインターネット環境は必須ですが、これらはあなた自身がNTTなどの公式サイト、あるいは信頼できる大手プロバイダから直接申し込めば、最もシンプルかつ最安のプランで契約できます。

NTTの契約時の窓口も電話はつながりにくいです。たいていは、ショートメールに手続きのURLを送るほうに誘導されます。
それだけNTTへの電話は膨大なので仕方ないとは思いますが、もしこれが、おじいさんとかおばあさんだったら、もはや何が何だかわからないだろうな・・・とそっちを心配してしまいます。

また、電話についても実際には・・・

かけ放題がいいです。
個人的には、zoom phoneがオススメです。日頃からzoom利用頻度が高い場合には、請求もセットに出来ますし、いくらかけても定額で、パソコンやスマホからも利用でき、尚且つ03とか047から始まる番号の利用が出来ます。

ただ、このzoom phoneですが、初期設定が非常にわかりにくいです。

サポートもまず日本人は出ませんので、よけいにわからないです。CROSS M&Aの電話番号 047-724-8720もzoom phoneなのですが、初期設定の際は本当に本当に本当に大変でした。

何が大変かって・・・サポートがわけがわからないから大変だったということです。

その点、NTTの電話サポートは電話がつながりさえすれば安心できます。(つながりませんが)

実際、営業を介して契約してしまうと、不要なオプション(使わないセキュリティサービスや、遠隔サポートなど)が勝手に見積もりに追加され、月々の通信費が倍以上に膨れ上がることがよくあります。

また、何台ものビジネスフォンをセットにした高額なリース契約を同時に結ばされそうになるケースも後を絶ちません。

現代の小規模な塾であれば、固定電話は1回線、もしくはスマートフォンをビジネス用として活用する形でも十分に機能します。

電話回線のセールスからかかってきた電話は、相手が何を言おうとも「結構です」の一言で切り、二度と対応しないようにしたほうが無難かもしれません。もちろんこれは好みですが・・・。

7.セコムやALSOKといった警備システムは本当に必要か

学習塾、特に子供たちを預かる場所として、セキュリティの確保は重要であると考えがちです。そのため、セコムやALSOKといった大手警備会社と契約し、防犯システムを導入することを当然のように検討する経営者もいます。

しかし、一度立ち止まって、その投資が真に費用対効果に見合うものかどうかを冷静に考えてみてください。

これらの警備システムは、初期の工事費用だけでなく、毎月数万円の警備費用が永続的に発生します。では、そのシステムが実際に機能するのはどのような場面でしょうか。多くは、無人になった夜間の不審者侵入対策です。

もちろん、防犯対策が不要だと言っているわけではありません。重要なのは、代替手段がいくらでもあるということです。

現代では、高画質なネットワークカメラ(防犯カメラ)が数千円から数万円程度で手に入ります。これを死角のない位置に数台設置し、スマートフォンでリアルタイムに映像を確認・録画できる環境を整えるだけで、非常に強い威嚇効果と証拠能力を得ることができます。

さらに、スマートロック(電子錠)を導入して入退室のログをデジタルで管理し、窓やドアに市販の防犯センサーを取り付けるだけで、一般的な塾としての防犯性能は十分に満たされます。

「大手警備会社のステッカーが貼ってある安心感」のためだけに、毎月高額な固定費を支払い続けるのは、初期の経営としては過剰投資と言わざるを得ません。

地域の治安状況や物件の構造を考慮した上で、自前で構築できるセキュリテイ対策から始めるべきです。

結論:即決を排除し、AIという強力な味方を武器にせよ

ここまで様々な角度からコスト削減とリスク回避について述べてきましたが、これらに共通する最も重要なマインドセットは、「あれこれ勧められても、とりあえず全部断り、決してその場で即決しない」ということです。

どんなに魅力的な提案であっても、ワンクッションを置く癖をつけてください。「一度持ち帰って検討します」と伝え、業者のプレッシャーから物理的・心理的に距離を置くのです。これだけで、冷静さを欠いた無駄な契約の9割以上は防ぐことができます。

そして、断った上で、本当にそのサービスや商品が自分の塾に必要なのかを感じたら、そこからがあなたの出番です。

今の時代、業者から教えられる情報は偏っています。必要なものは、自分自身の手でインターネットを使い、主体的に調べてください。そして、集まった情報や、直面している課題をそのままAIに投げかけてみてください。

「塾を開校するにあたり、〇〇というシステムを導入すべきか悩んでいる。メリットとデメリット、代替できる無料ツールを比較してほしい」
「〇〇のリース契約の見積もりをもらった。総額と期間は以下の通りだが、これは適正価格か」

このように問いかければ、AIはあなたの状況に寄り添い、感情や利害関係を一切挟まない、最も客観的で最適な回答を瞬時に導き出してくれます。

業者の営業トークに頼るよりも、自分で調べてAIをセカンドオピニオンとして活用する方が、圧倒的に精度が高く、かつコストパフォーマンスの良い決断を下すことができるのです。

無駄なコストを発生させない経営とは、ケチになることではありません。限られた貴重な資金と時間を、生徒の成績向上や指導環境の改善という、塾の「本質的な価値」に集中させるための賢明な戦略です。

甘い誘惑や周囲のノイズに惑わされることなく、強固なコスト意識を持って、あなたの塾を確実な成長軌道へと乗せていってください。


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