初期費用を500万削減!35坪の学習塾開校コスト比較【新規1100万 vs M&A買収600万】

35坪前後クラスの箱物ならば、推定500万円の差!

少子化が進む現代においても、個別指導やデジタル教材を駆使した学習塾の需要は根強く残っています。

しかし、これから学習塾を経営しようとする起業家や事業者にとって、最大の壁となるのが初期投資(イニシャルコスト)です。

特に2020年代半ば以降、

・世界的なインフレ
・円安による部材、IT機器の高騰
・深刻な人手不足に伴う人件費や採用コストの上昇


これらの事態が、産業全体に起こっています。そのため特に、店舗型ビジネスの出店の初期コストに差異が生じているのです。

本記事では、スタンダードな広さである30坪〜40坪(間を取って35坪で試算)の学習塾を構えるケースを想定し、新規開校とM&A(居抜き・既存塾買収)の初期コストを徹底比較します。さらに、10年前(2016年)と比べてコストがどう変化したのか、具体的な数字を交えて解説してみたいと思います。

1. 2026年現在における初期コスト比較(30〜40坪・35坪計算)

まずは、最も気になる2026年現在のリアルなコスト構造を見ていきましょう。

前提として、今回は知名度やノウハウを活用できるフランチャイズ(FC)加盟による開校、かつ小中高校生全対応の個別指導塾(35坪、生徒席30〜40席程度)をモデルとしています。

新規開校の場合、事務所仕様ではない物件を選択すれば、完全に何もないスケルトン物件から内部を内外装をつくっていきます。

または学習塾仕様とまでは言えないまでも事務所仕様から内装を作りこんでいきます。

一方、M&A(買収)の場合は、既存の学習塾をオーナーの引退や事業転換などの理由でそのまま譲り受け、看板や一部の内装を自社ブランドにリニューアルして開校するケースを想定しています。

(★通常は、フランチャイズの場合、そのまま看板を使用しますし、ブランド名の変更はできません)

それぞれのコスト内訳は以下の通りです。

初期コスト内訳 比較表(2026年現在・35坪目安)

コスト項目①新規開校コスト(2026年)②M&A買収・リニューアルコスト(2026年)備考・条件など
フランチャイズ加盟金・保証金3,000,000円1,400,000円M&A時はFC本部により加盟金減額プラン適用を想定
不動産契約費用(保証金・仲介手数料等)1,500,000円1,500,000円M&Aでも通常は賃貸契約引き継ぎで新規契約
内外装費(看板、デザイン、カッティング含む)1,200,000円0円新規はゼロから施工、M&Aは補修なければ0円
クロス貼り(35坪計算)0円(事務所仕様の場合)0円M&Aは補修なければ0円
床カーペット(35坪計算)400,000円(※物件による)0円M&Aは補修なければ0円
内部什器(机・椅子・パーテーション等)1,500,000円0円M&Aはそのまま譲渡が大多数
パソコン(2台)・iPad(5台)500,000円150,000円機器の全受け一部受けが多い
テキスト・過去問・赤本(小中高一式)300,000円50,000円M&Aは既存の赤本等流用、最新版テキストのみ買い足し
複合機(リース初期・導入費用)100,000円0円新規は新規契約、M&Aは既存リース引き継ぎまたは買い取り
LAN・電話設備工事費用250,000円50,000円新規は配線引き回し、M&Aは基本配線流用でルーター設定
空調設備費用(エアコン新設)600,000円(※物件による)0円新規でビル設備が古い場合。M&Aは既存設備をメンテ利用
文房具・ファイル・雑費150,000円50,000円M&Aは備品類もほぼ全て引き継げるため実質はもっとコスト削減可能
人材募集費用(講師・教室長採用)500,000円200,000円新規は求人媒体連載、M&Aは既存講師を引き継ぎ補填のみだが、成果報酬式でコスト削減
広告宣伝費用(開校チラシ・WEB広告)600,000円300,000円新規は認知度ゼロから、M&Aは既存生徒・知名度ベース
研修費用(本部研修・講師研修)400,000円400,000円新規は講師研修、M&AはOJTなどで削減
M&A譲渡対価(営業権・造作譲渡代)0円1,200,000円生徒数20名程度の小規模塾の買収相場
M&A仲介手数料0円350,000円新規では仲介手数料は0円
BATONZシステム利用料金0円350,000円新規ではシステム利用料は0円
合計コスト(目安)11,000,000円6,000,000円差額:5,000,000円(M&Aが約半額)

※上記金額に10%の消費税がかかります。
※初期がスケルトン物件の場合には、新規開校時コストはさらに多くかかります。
※承継した案件がスケルトン物件の場合には、解約時の原状回復はスケルトンに戻す必要がありますので、その点は要注意で物件契約書や重要事項説明書の確認が必須です。

※学習塾運営では、初期であれ、M&Aであれ、スケルトン物件はオススメ致しません。

結論:新規開校とM&Aでは「倍近く」のコスト差が生まれる

上記の試算結果が示す通り、2026年現在の環境において、新規開校には約1,100万円、M&Aによるリニューアル開校には約600万円という結果になりました。最終的な総額には、倍近くという決定的なコスト差が生じます。

この差を生み出す最大の要因は、
不動産初期費用、内外装・空調工事、実質的な什器(机・椅子)の有無です。

新規開校の場合、保証金(敷金)や前家賃、仲介手数料、礼金を合わせるとそれだけで150万円近くが吹き飛びます。さらに、誰もいない空間に壁を立て、個別のブースを作り、エアコンを新設し、生徒分の机と椅子を数十セット買い揃えるだけで、瞬く間に数百万円単位のキャッシュが消えていきます。

対してM&Aの場合、

前オーナーへの譲渡対価(営業権)として120万円ほど支払う必要がありますが(これは案件によって差がありますので、一概に言えない部分でもありますが、便宜上120万円で計算しました)

すでに「塾の形」が出来上がっているため、不動産の保証金を引き継げたり、生徒用の机・椅子・面談ブースなどをそのまま無料で譲り受けたりできます。

エアコンやLANの配線といった、目に見えないインフラ部分の出費を徹底的に抑えられることが、総額を約600万円にまで圧縮できる予想がたちます。

2. 10年前(2016年)のコスト環境との比較

次に、このコストが「10年前(2016年)」と比べてどのように変化したのかを検証します。

結論から言うと、10年前と比較して、人件費、部材、輸送費、IT機器、人材採用など、あらゆる側面のコストが高騰しており、いずれの形式で開校するにしても、現在のほうが「約25%〜35%割高」になっています。

2016年当時に「800万円台でお釣りがくる」と言われていた新規開校は、今や1,100万円の予算を見なければならなくなりました。

これは決してオーバートークではありません。


事例(実話)コーナー

【実例(実話)】

これは、実際に物件選定から、デザイン興し、看板製作、カッティングシート政策、内部什器を見積を取っていくとわかりまし、

CROSS M&AのK部長の感覚ではなく、業者さんがお詫びしてくるのです。

「申し訳ないですが、人件費が高騰して・・・」
「以前は東南アジアで作れていたのですが、今はそれでも部材が高騰して・・・」
「国内の安くできる工場を抑えることが困難で・・・・」

結果、たった一年で30%値上げという見積、40%UPの見積を何度も見てきています。これは事実であり、運営者側からすれば非常にコスト高になっていることが否めません。


具体的にどのような要素がコストを押し上げているのか、3つの大きな変化を解説します。

① 建築資材・輸送費の高騰による「内外装・什器」のハネ上がり

2016年当時、35坪程度のクロス(壁紙)貼り替えや床カーペットの敷き詰め、簡易的な間仕切り(パーテーション)設置を含めた内装工事は、総額でもかなり安価に抑えるケースが大半でした。

しかし2026年現在、状況は一変しています。

原油高や円安に伴う建築資材(木材、鋼材、塩ビクロス等)の輸入コスト上昇に加え、物流業界の2024年問題以降、運送費・配送費が大幅に上昇しました。

さらに、

内装職人の人手不足による労務費(人件費)の上昇が追い打ちをかけています。

結果として、現在では同じ工事内容でも施工費用が跳ね上がり、内外装費を大きく押し上げるのが当たり前の時代になりました。机や椅子などの什器も、海外生産からの輸送コスト増がダイレクトに価格へ転嫁されています。

② 半導体不足の名残と円安による「IT機器・オフィス設備」の高騰

学習塾の運営に不可欠なパソコンやタブレット(iPad)、複合機などのハードウェアの価格変化も無視できません。

2016年頃であれば、教室長用と予備のパソコン2台、授業や映像授業用のiPad 5台は、比較的安価な型落ちモデルやエントリーモデルを選ぶことで、費用をかなり低く抑えることが可能でした。

しかし、その後のデジタル化の急速な進展、半導体価格の高騰、数年来続く急激な円安の進行により、Apple製品をはじめとするIT機器の定価は1.5倍近くに上昇しています。また、生徒の学習管理システム(LMS)やオンライン教材を快適に動かすために、端末スペックの要求水準も高くなっています。

複合機やネットワーク機器(ルーター、Wi-Fiアクセスポイント)の導入費用、電話回線やLANの設置工事費も、部材費と人件費のダブルパンチで20〜30%の割高となっています。

③ 深刻な労働人口減少に伴う「人材採用・募集コスト」の激変

10年前と現在で、最もゲームのルールが変わったと言えるのが「採用コスト」です。

2016年当時は、主要なアルバイト求人メディアに数週間求人を出せば、近隣の大学生や主婦層から比較的容易に応募が集まり、講師の確保にそれほど苦労しませんでした。採用単価(1人採用するのにかかる費用)も数万円程度で収まっていました。

しかし2026年現在の日本は、空前の売り手市場であり、特に「優秀な塾講師(大学生・社会人)」の獲得競争は極めて激化しています。

時給を他業種以上に引き上げなければ応募すら来ないだけでなく、大手求人媒体の掲載料金そのものが値上がりしています。

新規開校時に「教室長1名、アルバイト講師10名」をゼロから集めようとすると、求人メディアへの複数回掲載や、採用お祝い金、SNS広告の運用などが必須となり、採用費だけで数十万円の予算を組まなければ人が集まらない時代になりました。10年前ならわずかな資金で済んでいた採用費が、今や2倍以上に膨れ上がっています。

3. 「新規開校」と「M&A買収」の10年間のコスト推移比較

ここで、10年前(2016年)と現在(2026年)の総コストの推移を、新規開校とM&Aのそれぞれの視点からビジュアルに比較してみましょう。

10年前とのコスト比較表

開校形式2016年当時のコスト(10年前)2026年現在のコスト(現在)コスト上昇率主な上昇要因
①新規開校約 8,300,000円約 11,000,000円約 32% 割高壁紙・カーペットなどの部材費、看板デザイン・施工費、エアコン等の電気工事費、初期の講師一斉採用費の大幅高騰。
②M&A買収約 4,600,000円約 6,000,000円約 30% 割高譲渡対価自体は市場相場で安定しているものの、引き継ぎ後のクロス・床の張り替え費用、IT機器の買い替え費用、最低限の補充採用費が上昇。

この表が示すように、どちらのルートを選んだとしても、

10年前の感覚で資金計画を立ててはいけません。

あらゆる物価と人件費が上昇した結果、ベースラインとして30%前後は今のほうが割高になっているという現実を、経営者は受け入れなければなりません。

そのかわり、10年前と比較して授業料もUPしていますので、その点が経営手腕になるのだと思います。

4. 2026年の塾経営において、なぜ「M&A買収」が最も賢明な選択なのか?

ここまでのコスト比較、そして10年前からの環境変化を踏まえると、2026年現在において最もリスクが低く、かつスピード感を持って参入できるのは、明らかに「M&Aによる買収(リニューアル開校)」です。

その理由は、

単に「初期費用が倍近く(約500万円の節約)になるから」という金銭的なメリットだけに留まりません。

現在のマクロ環境だからこそ、M&Aが圧倒的に有利に働く3つの決定的な理由があります。

理由①:最大の不確定要素である「人材(講師)」をそのまま引き継げる

前述の通り、2026年現在の学習塾経営において、最も頭を悩ませるのは「講師の採用」です。せっかく立派な教室を作っても、授業を行う講師が集まらなければ生徒を募ることはできません。

M&Aによる買収であれば、前オーナーがこれまで良好な関係を築いてきた「在籍講師(大学生やプロ講師)」の雇用契約をそのまま引き継ぐことができます。

塾の指導方針や仕事の流れをすでに理解しているスタッフが最初から揃っているため、新規開校時のように「一から求人広告を出し、面接を繰り返し、初期研修を施す」という膨大な時間と労力、そして多額の採用コストを完全に浮かせることが可能です。

理由②:「生徒(=開業初月からのキャッシュフロー)」が存在している

新規開校の場合、オープン初月の生徒数は「ゼロ」からのスタートです。

認知度が広がり、地域の信頼を得て、生徒数が損益分岐点を越えるまでには、通常半年から1年以上の赤字期間(運転資金の持ち出し)を耐え忍ばなければなりません。

しかし、M&Aであれば、買収した時点で生徒がすでに在籍していることがほとんどです。つまり、「開校したその月から、その生徒数に応じてではありますが、確実な授業料収入(キャッシュフロー)が発生する」ということです。

初期投資が新規開校の倍近く低く抑えられ、さらに初月から黒字、あるいは軽微な赤字でスタートできるため、経営の安定性は新規開校とは比較になりません。

この安心感こそが、インフレ下における最大の防御策となります。

理由③:内装工事の「遅延リスク」や「追加コスト」を回避できる

現在、建設・内装業界は人手不足のため、発注してから実際に工事が始まるまでに数ヶ月待たされたり、工事の途中で部材の手配が遅れて開校スケジュールが後ろ倒しになったりするトラブルが多発しています。

開校が1ヶ月遅れるだけで、予定していた春期講習や夏期講習の募集時期を逃し、年間計画が狂ってしまうのが学習塾の恐ろしいところです。

M&Aであれば、すでにハコ(教室)が完成しているため、必要なのは看板の架け替えや、数日〜1週間程度で終わるクロス・カーペットの張り替えといった「表面的なリフレッシュ工事」のみです。

はたまた、そのまま受け継ぎ、内部をそのまま運営してもいいのです。

工事の遅延リスクを最小限に抑え、狙ったタイミングで確実にリニューアルオープンを迎えることができます。

5. まとめ:賢い投資で激動の2026年を勝ち抜く

30坪〜40坪の学習塾を開校するにあたり、2026年現在の厳しい経済環境下では、力任せの「新規開校」は、事業初心者にとってはハイリスクな選択肢と言わざるを得ません。

今回は、フランチャイズというすでにネームバリューがある学習塾での例を示しましたら、もし、ノーブランドというか、初めて自分でつくる学習塾の場合には、よほどの運転資金とよほどの精神力と度胸がなければ、黒字化までに相当時間がかかることでしょう。


10年前と比べて3割以上もコストが跳ね上がった世界では、いかに無駄な投資を削り、確実性の高いアセット(資産)に資本を集中させるかが勝負を分けます。

  • 新規開校: ゼロから理想の空間を作れるが、コストは約1,100万円。生徒・講師集めもゼロスタートでリスク大。
  • M&A買収: 既存のインフラ・人材・生徒を引き継げるため、コストは約600万円と半分近く。初月から計算できる経営が可能。

コスト面、採用面、スキル面、そして経営の安定度。どれをとっても、現代の学習塾ビジネスへの参入において「M&Aでの買収」が最も賢明で、最もやりやすい最適解です。

これから塾業界への進出を検討されている方は、まずは地域の優良な事業承継案件や、居抜き譲渡のインフォメーションに目を光らせることから始めてみてはいかがでしょうか。限られた原資を賢く使い、地域の子どもたちに質の高い教育を届ける基盤を、最短・最安で築き上げてください。



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