不動産と一緒!学習塾M&A 優良案件は、なかなか表に出ない

「良い物件は、表に出る前に消える」

これは不動産業界で長く囁かれてきた「常識」です。駅徒歩数分、築浅、広々とした間取り…誰もが欲しがるような「優良物件」は、一般の不動産ポータルサイトに公開される前に、特定の顧客や関係者の間で「うちうち」で処理されてしまうことが少なくありません。

そして、

この「優良案件が表に出ない」という現象は、実は学習塾のM&A(企業の合併・買収)市場においても、全く同じ構図で起こっているのです。

ところで、


学習塾は斜陽産業、教育産業は下火、学習塾経営は儲からない・・・そのように何となく思い込んでいる方は、ある意味正しいですし、ある意味惜しい視点かもしれません。

これはどんな産業でも同じだと思うのです。

例えば飲食業を見てもいつも行列で繁盛しているところがあれば、残念ながら店主は頑張ったけれど閉店せざるを得ないお店もあります。

同じ業種でも結果の差が出る・・・その最も上下格差があるのが学習塾産業とか習いごと産業のような気がします。

何故なら、以前も書きましたが、コンビニの数より多いからです。ということは、起業しやすい側面があるからです。コンビニの数より多いということは、まず駅という駅には必ず塾があります。駅近に塾がないところはまずないです。
それが1つ、2つ、5つと増加していけばそこから競争が始まるのです。競争をするときには、サービスの中身であったり、料金で他との差別化を演じます。
そこから淘汰再編が進むわけです。

とどのつまり、同じ業種でも当然ながら結果の差がでてしましまうということになります。

この一点をとって、塾はダメ、斜陽、儲からない・・・と決めつけるのは時期尚早です。

不動産の「水面下の取引」が教えること

不動産の取引において、「水面下」での情報交換は日常茶飯事です。

まず、売主の立場からすると、物件の売却情報を広く公開することにはリスクが伴います。たとえば、テナントが入っている収益物件の場合、売却の事実が知れ渡るとテナントが不安になり、退去につながる可能性があります。

また、近隣住民に知られることで、様々な詮索や憶測を呼ぶことも避けたいと考える売主は多いです。特に、事業用不動産や投資用不動産であれば、情報が外部に漏れることは、事業の安定性や企業イメージに悪影響を及ぼしかねません。

そのため、売主はまず、信頼できる不動産業者にのみ情報を預け、その業者が抱える優良顧客や、提携する少数の業者間でのみ、情報をクローズドな形で流通させます。

これを不動産業界では水面下案件」「非公開物件などと呼びます。

こうした非公開物件は、条件が整っているがゆえに、情報を入手した買主側も即座に反応し、競争になる前に売買契約へと至ることが多いのです。

一般公開されるのは、これらのクローズドなネットワーク内で買い手がつかなかった「ワケアリ」物件や、「優良」とは言いがたい物件が大半を占めるという現実があります。

ですから不動産探しでよく言われるのは、ネットだけじゃなくて不動産会社を回ったほうがいいと。これは上記の事情も軽く絡んでくるのです。

事例として書くまでもないですが、CROSS M&A (通称クロスマ)のアドバイザーも塾やその他事業でも物件契約を何度もしたことがあります。


最初はネットであたりをつけるのですが、電話の感じの良い人、親身に対応してくれそうな人、一生懸命対応してくれそうな人、ようするに営業の人には条件」を伝えて賃貸物件を探してもらうことも多くあります。

条件とは、

・家賃は〇万円以内
・駅から徒歩〇分圏内
・1F店舗
・ガラス面多い
・自転車がおける
・内照式看板の設置ができる
・木造不可

などなどです。

そうすると、アットホームに載っていないホットな賃貸案件を紹介してくれたりとか、新築予定物件など(まだ図面も出来ていない状態で)情報をくれたりするのです。

ここでのポイントは、

電話の感じの良い人、親身に対応してくれそうな人、一生懸命対応してくれそうな人

です。

不動産の営業の人たちもたくさんいますが、皆さん性格も違います。少なくとも私の場合には電話での受け答えで、その営業マン(レディ)が親身に対応してくれそうか、一生懸命対応してくれそうかを、軽く質問を投げることによってはかるようにしています。

「あ、この人、とても親切で丁寧だな」と思ったら、
「他に何かいい物件ありますか?」と聞いてみるとそこから発展します。

電話だけですと、相手の方も案内しにくいでしょうから、そこから先はメールアドレスを教えることでメールが来るようになります。

そのメールでの文面から、「一生懸命さ」「誠実さ」というのは見え隠れするはずです。
そういう営業マン(レディ)を味方につけて、良い物件を得るようにします。

表に出る前に物件情報を得ることが出来る・・・そういう経験をしたらわかりますが、やはりネットよりも条件が良かったり、文句なしの優良物件にめぐり合うことが出来ます。

これは本当に「仲介の営業マン(レディ)」次第です。

学習塾M&Aにおける「優良案件」の定義

では、学習塾のM&Aにおける「優良案件」とは、具体的にどのようなものでしょうか。

一般的に以下の要素を持つ案件が「優良」と見なされます。

  1. 高い収益性・安定した生徒数 常に満席に近い生徒数を維持し、経営が安定している。高収益で借入金が少ない、または無い。
  2. 優秀な講師陣とブランド力 特定の地域で「あの塾なら間違いない」というブランドが確立されており、属人的でないシステムやカリキュラムが構築されている。
  3. 将来性のある立地と設備 少子化に負けない学区の学校があり、教室の賃貸条件や設備が良好で、大きな設備投資が不要。
  4. 売却理由の透明性 オーナーの引退や病気など、事業継続に問題のない、ポジティブまたは止むを得ない理由での売却である。

特に、地域密着型で熱心なファンを持つ優良塾は、そのノウハウや生徒が外部に漏れることを極度に警戒します。

売却交渉中に生徒や保護者に知られれば、不安から退塾者が出ることは明白であり、それが最終的に事業価値を損ねてしまうからです。

学習塾M&Aの優良案件が「表に出ない」理由

不動産と同様に、学習塾のM&Aにおいても優良案件は「表」に出る前に消えていきます。

その理由はいくつかありますが、最も大きな要因は「情報漏洩リスクの極小化」です。

インターネットの世界は甘くみることが出来ません。
例えばM&Aでは通常ノンネーム(NN)と言って、場所や屋号が特定されないような情報の出し方をします。しかし、紹介のためには、それなりに文章も整えなくてはなりません。

その微妙な言い回しなどで、意外と・・・「もしかしたら、この会社かも」というように何となく特定されてしまうこともあるのです。

1. 競合・生徒・講師への情報漏洩回避

売却情報が外部、特に競合他社、生徒、保護者、そして最も重要な「講師」に伝わることは、M&A取引の最大の障害となります。講師が不安に感じて退職すれば、その塾の価値は一気にゼロに近くなります。生徒や保護者も、経営者が変わることに抵抗感を抱き、退塾が連鎖する恐れがあります。

このリスクを回避するため、売主である塾のオーナーは、信頼できるM&Aアドバイザーや仲介業者を通じて、ごく少数の「即決できる」と見込んだ買主にのみ、情報を提示します。

2. うちうちの「特定ネットワーク」内での処理

不動産取引と同様に、学習塾のM&Aにも「うちうち」で処理されるネットワークが存在します。

特にフランチャイズ(FC)案件はその典型です。

あるFCに加盟しているオーナーが事業承継を考えた場合、まず最初に情報を回すのは「同一フランチャイズ内の他のオーナーや本部」です。

FC本部としては、ノウハウが外部に流出したり、競合他社に利用されたりするのを防ぎたい。また、同じFCのノウハウを既に理解しているオーナーが引き継ぐ方が、統合リスク(PMI)が低く、スムーズな運営が期待できます。

このため、FC本部が仲介役となり、本部が「この人なら安心」と太鼓判を押せる既存オーナー間で、事業譲渡が進められることが非常に多いのです。

このプロセスを経て、M&A仲介会社などの一般的な市場に案件が持ち込まれることは、ほとんどありません。

市場に出る時点で、もちろんタイミング的なこともあるかもしれませんし、それはFC外で買い手を求めることでより高値で売れる可能性を意味している場合もあります。
仲間うちですと、高値で売りたい気持ちがあっても金額を大幅ダウンしてしまうオーナーも多いです。

または全く逆で、FC内では買い手がいないので外に出さざるを得ないことを意味している場合もあります。

しかし、いずれにしても「誰がみても」この案件は「買いだ!」という売り物があったとしたら、オーナーの心理的負担を少なくするために一気に成約にもっていく流れとして、うちうちの処理はとても多いということを知っておいてください。

3. 信頼関係とスピード重視の選別

優良案件を扱うM&Aアドバイザーは、数多くの潜在的買主の中から、「資金力があり、学習塾経営に理解があり、迅速な意思決定ができる」候補者を厳選します。

売主としては、情報が広がる時間を最小限に抑えたい。そのため、じっくり検討する買主よりも、条件さえ合えばすぐに契約に進める買主を優遇します。

つまり、日頃からM&Aアドバイザーと強固な信頼関係を築き、「優良案件が出たらすぐに買う」という姿勢を見せている企業や個人に、非公開情報が優先的に流れていくのです。

このように書けば、何となく理解してくださるかと存じます。

優良案件を入手するための戦略

学習塾M&A市場において、優良案件を入手し、事業拡大を成功させるためには、従来のM&A戦略とは異なるアプローチが必要です。

1. 専門性の高いアドバイザーとの「独占的関係」の構築

一般的なM&A仲介会社ではなく、学習塾業界に特化した、または強いパイプを持つアドバイザーを見つけることが第一歩です。そして、単なる顧客ではなく、彼らにとって「最優先で情報を回したいパートナー」になることが重要です。

そのためには、自社の経営状況や買収方針を明確にし、「いつでも買える準備ができている」ことをアピールし続ける必要があります。資金調達の準備、意思決定プロセスの明確化、そして過去に誠実な取引実績を積み重ねることが、優良案件の「招待状」を受け取るための必須条件となります。

2. 地域コミュニティとFC本部との関係構築

自社が事業展開したい地域の有力な塾オーナーや、加盟しているフランチャイズ本部と、日頃から良好な関係を築いておくことも極めて重要です。

「もしも事業承継を考えた際には、一番に声をかけてほしい」というメッセージを伝え、信頼関係を醸成しておくことで、表に出る前の「うちうち案件」の情報を得られる確率が飛躍的に高まります。

不動産が「足で稼ぐ」情報戦であるように、学習塾のM&Aもまた、「信頼と人間関係」が鍵を握る、極めてクローズドな情報戦なのです。

まとめ

学習塾M&Aにおける優良案件が表に出ない構造は、不動産市場と本質的に同じです。

それは、情報漏洩による事業価値の毀損リスクを回避するために、売主が限られた信頼できるネットワーク内での「うちうち処理」を強く望むからです。特に、講師・生徒の離脱を恐れる学習塾においては、その傾向が顕著です。

これからM&Aを通じて学習塾の事業拡大を目指す企業や個人は、一般的な公開情報に頼るのではなく、水面下の情報戦に勝つための戦略を練る必要があります。

それは、専門家との独占的な信頼関係の構築迅速な意思決定能力の証明、そして業界内での地道な人間関係の構築に他なりません。優良な「物件」は、待っているだけでは手に入らない。自ら動いて、情報を引き寄せる力と信頼を勝ち取ることこそが、学習塾M&A成功への王道となるでしょう。

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