学習塾・習いごとのM&Aや運営で役立つ! クラウドストレージ活用術
学習塾や習いごとの経営者にとって、M&A後のスムーズな統合、複数教室展開における情報共有、そして日々の業務効率化は避けて通れない課題です。
これらの課題を解決する強力なツールがクラウドストレージです。
ファイルをインターネット上に保存し、どこからでもアクセスできるようにするサービスで、一般的にクラウドストレージ、またはオンラインストレージと呼ばれます。
ここでは、全体をクラウドストレージとして統一して紹介します。
数あるクラウドストレージサービスの中から、DropboxとGoogle ドライブに焦点を当て、その導入から無料プランの活用、さらには複数教室展開時の情報共有、チャットツールとの連携まで、具体的な活用法を詳しく解説します。
クラウドストレージとは? なぜ学習塾・習いごとの経営に必要不可欠なのか
まず、「クラウド」っていう言葉から「雲の上にふわふわ浮いているような」印象を持たれるかもしれません。実際クラウドストレージ関連のロゴには、雲をあしらったものがあるぐらいです。
「クラウドに保存」とは、所有しているパソコンやスマホの中ではなく、インターネットに接続された巨大なコンピュータ(サーバー)にデータを保存するという意味になります。
クラウドサービスを提供している会社(Google、Apple、Microsoft、Amazonなど)が、世界中のどこかに持っている、たくさんのコンピュータが置かれている施設(これを「データセンター」と呼びます)に、あなたのデータが保管されています。
クラウドストレージとは、インターネット上にファイルを保存し、いつでもどこでも、どのデバイスからでもアクセスできるサービスのことです。
データの具体的な保存場所(どのデータセンターのどのサーバー)を意識する必要がありません。このことを比喩して、「まるで雲のように」、どこにあるかは気にせず、必要な時にいつでもアクセスできる便利さを表す意味で「クラウド」というネーミングがなされたのでしょう。
従来のUSBメモリや外付けハードディスクのような物理的な制約がなく、データの共有や共同作業を格段に効率化できるメリットがあります。
さて、それでは学習塾・習いごとの経営において、クラウドストレージがなぜ重要なのでしょうか。
- M&A後の情報統合: 新規開校やM&Aで教室が増えた際、膨大な生徒情報、講師のシフト、教材データなどを迅速かつ安全に共有・統合する必要があります。クラウドストレージがあれば、物理的なデータのやり取りなしに、スムーズな情報移行が可能です。
- 複数教室間の情報共有: 複数教室を運営する場合、各教室の進捗状況、生徒の成績、連絡事項などをリアルタイムで共有することが不可欠です。クラウドストレージは、地理的な距離を越えて常に最新の情報を共有できる環境を提供します。
- 業務効率化とペーパーレス化: 授業の資料、生徒の出欠管理、請求書の発行、講師の勤怠管理など、日々の業務で発生する書類やデータをデジタル化し、一元管理することで、ペーパーレス化を促進し、業務効率を大幅に向上させます。
- セキュリティとバックアップ: 大切な生徒情報や経営データを安全に保管し、万が一のデバイス故障や紛失に備えるバックアップとしても機能します。多くのクラウドストレージサービスは強固なセキュリティ対策を講じています。
- 講師・スタッフとの連携強化: 講師やスタッフが自宅や外出先からでも必要な情報にアクセスできるようになるため、柔軟な働き方をサポートし、コミュニケーションを円滑にします。
「なぜ重要なのか」の答えとして、赤色でハイライトした部分、情報の統合と共有、業務効率化、セキュリティとバックアップ、連携強化、これらの部分に集約されます。
以前は、これらの作業をビジネス上のメールやUSBメモリなどを使って行っていました。クラウドストレージを活用することによって、あっけないほどに情報共有ができるようになり、利便性がどんどん高まっています。

おすすめのクラウドストレージ:DropboxとGoogle ドライブ
数あるクラウドストレージサービスの中でも、学習塾・習いごとの運営において特におすすめなのがDropboxとGoogle ドライブです。それぞれに特徴があり、用途に応じて使い分けることで最大限のメリットを享受できます。
Dropbox
Dropboxは、その直感的な操作性と高速なファイル同期が魅力です。シンプルで使いやすいインターフェースは、ITに不慣れなスタッフでもすぐに慣れることができます。
- シンプルなファイル管理: フォルダ構成が非常に分かりやすく、デスクトップのフォルダと同じ感覚で操作できます。
- 高速な同期: 大容量のファイルでも比較的速く同期されるため、ストレスなく作業を進められます。
- バージョン履歴: 誤ってファイルを上書きしてしまっても、過去のバージョンに簡単に戻せるため、データの損失リスクを軽減できます。
- ファイル共有のしやすさ: リンクを共有するだけで、簡単にファイルを共有できます。相手がDropboxアカウントを持っていなくてもアクセス可能です。
Google ドライブ(Google Workspace)
Google ドライブは、Googleアカウントがあればすぐに利用でき、Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドといったビジネスツールとの連携が非常に強力です。特に、生徒の成績管理やシフト管理などでGoogle スプレッドシートの使い方は工夫次第でいくらでも活用できます。これらを多用する学習塾・習いごとでは、Google ドライブが事実上の必須ツールとなるでしょう。
- Google Workspaceとの連携: Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドといった各種ドキュメントをブラウザ上で共同編集できるため、教材作成やカリキュラム作成、生徒の進捗管理などをリアルタイムで複数人で行えます。特にCROSS M&Aが提唱しているスプレッドシートの活用には、このGoogleドライブは欠かせないサービスですので、使う前提でいていいでしょう。
- 高い共同編集機能: 複数人が同時に一つのドキュメントを編集できるため、講師間で授業計画を練ったり、管理職が生徒情報を更新したりする際に非常に便利です。
- 豊富なストレージ容量: 無料プランでも15GBの容量があり、写真や動画を含む多種多様なファイルを保存できます(GmailやGoogleフォトと共有)。
- Gmailとの連携: Gmailで受け取った添付ファイルを直接ドライブに保存したり、ドライブ上のファイルをメールに添付したりと、シームレスな連携が可能です。
導入の仕方:まずは無料プランから試してみよう
クラウドストレージの導入は非常に簡単です。まずは無料プランからスタートし、その便利さを実感することをおすすめします。無理に有料プランに移行する必要はありません。
Dropboxの導入
- アカウント作成: Dropboxのウェブサイトにアクセスし、「登録」ボタンからメールアドレスとパスワードを設定してアカウントを作成します。

↑登録すると、このような画面になります。いずれも無料期間が30日間となっていますが、この画像の一番下に「2GB Dropbox Basicプランで先に進む:」と書かれたところをクリックしてください。
個人用、ビジネス用、学校などと項目が出てきますので、任意箇所をクリックして先に進むと、

↑デスクトップアプリ、モバイルアプリは、後からでも対応できますので、ステップをとばしても問題ありません。

↑ これがDropboxの初期画面です。
自分のパソコンでフォルダやファイル管理をするのと同じ動作感覚で使うことが出来ますので、非常に簡単です。
- デスクトップアプリのインストール: パソコンにDropboxのデスクトップアプリケーションをインストールします。インストールすると、パソコンのフォルダの中に「Dropbox」フォルダが作成されます。
- ファイルのアップロード: 「Dropbox」フォルダにファイルをドラッグ&ドロップするだけで、自動的にクラウドに同期されます。
- モバイルアプリの活用: スマートフォンやタブレットにDropboxアプリをインストールすれば、外出先からでもファイルにアクセスできます。
Google ドライブの導入
- Googleアカウントの準備: すでにGmailを利用していれば、自動的にGoogleドライブも利用できます。まだアカウントがない場合は、Googleのウェブサイトから無料で作成します。

↑ こちらは、googleマイドライブの初期画面です。基本的にgoogleのアドレスを取得すれば、どなたで付加されるサービスです。
印象としては、Dropboxは意識してファイルや画像を保存・共有するのですが、googleマイドライブは、「意識しなくてもいつのまにか使っている」そんな感じです。
- Google ドライブへのアクセス:Googleアカウントのgoogleマイドライブにアクセスするか、Googleのサービスランチャー(右上にある9つの点々アイコン)からドライブを選択します。

- ファイルのアップロード: 「新規」ボタンから「ファイルをアップロード」または「フォルダをアップロード」を選択し、パソコンからファイルやフォルダをアップロードします。
- Google ドキュメントなどの作成: 「新規」ボタンから「Google ドキュメント」「Google スプレッドシート」などを選択し、ブラウザ上で直接ドキュメントを作成・編集できます。
- デスクトップ用ドライブのインストール: パソコンに「Google ドライブをインストール」することで、Dropboxと同様にパソコンのフォルダとしてドライブを利用できます。
Dropboxとgoogleドライブは、どちらか一方を利用するのではなく、どちらも使ったほうが良いです。上記しましたように、Dropboxはパソコンにファイルなどを保存するかのように普段使いが出来ます。
googleドライブは、これからビジネスで多く使うSpread Sheet (スプレッドシート)やgoogleフォームなどを使う際に、「保存する」と意識せずとも自動で保存される先、それがgoogleドライブです。
無料プランでどこまで使える?
- Dropbox: 無料プランでは通常2GBの容量が提供されます。少量の書類や写真であれば十分活用できます。友達を招待したり、簡単なタスクを完了したりすることで容量を増やすことも可能です。
- Google ドライブ: 無料プランでは15GBの容量が提供されます。これはGmailやGoogleフォトと共有される容量ですが、学習塾・習いごとの業務で使う文書ファイルやスプレッドシートであれば、かなりの量を保存できます。
M&A後の初期段階や小規模な教室であれば、無料プランでも十分に運用を開始できます。まずは無料プランで試してみて、容量が不足するようになったり、より高度な機能が必要になったりした段階で、有料プランへの移行を検討しましょう。
2教室目、3教室目と増加した場合のスタッフとの情報共有のやり方
複数教室に展開する際、スタッフ間の情報共有で威力を発揮するのがDropboxです。物理的な距離に縛られずに効率的な情報共有が実現できます。
- 共通フォルダの作成と権限設定:
- 掲示物に使う資料や画像、教室内のチラシ、保護者対応の際に使う資料、授業カリキュラムのサンプル、業務関連で使う各種事務所類など、全教室で共有すべき情報を格納する共通のフォルダをクラウドストレージ上に作成します。
- 掲示物に使う資料や画像、教室内のチラシ、保護者対応の際に使う資料、授業カリキュラムのサンプル、業務関連で使う各種事務所類など、全教室で共有すべき情報を格納する共通のフォルダをクラウドストレージ上に作成します。
実はこの「共有フォルダ」の存在が業務をとてもやりやすいものにするのです。

↑ こちらは、実際に弊社が使っているDropboxの中身の「一例」です。ここにはだいたい1.3ギガバイト分ぐらいの情報が詰まっています。
ファイル名は、この下にもずらっとあり、わかりやすくフォルダ管理されています。
- それぞれの教室長に対してアクセス権限を設定して共有できるようにするだけで、情報をフル活用して利用しつつ、自らが新しいアイディアや資料をuploadすることで、さらに再利用がしやすいなど、メリットがとても多いです。
- Dropboxの場合: 共有フォルダを作成し、メールアドレスでメンバーを招待し、閲覧のみ、編集可能などの権限を設定します。
- Google ドライブの場合: 共有ドライブを作成するか、通常のフォルダを共有し、各ユーザーのGoogleアカウントに対して「閲覧者」「コメント投稿者」「編集者」などの権限を付与します。
使いやすいシステムにするためには、
★情報の整理と命名規則の統一:
- フォルダやファイルの命名規則を統一することで、情報がどこにあるか迷うことなくアクセスできるようになります。
- 年度や学年、教科、教室ごとのフォルダを明確に区別し、階層構造を分かりやすく設計しましょう。例:「2025年度_中3_数学_定期テスト対策」「〇〇教室_シフト_202507」「生徒情報_氏名_2025」など。
Discordなどのチャットツールと連携して仕事もはかどる便利さ
クラウドストレージとDiscordのようなチャットツールを組み合わせることで、情報共有とコミュニケーションの効率は飛躍的に向上します。特に、若い世代の講師が多い塾では、普段から使い慣れているチャットツールを業務に活用することで、スムーズな連携が期待できます。
- ファイルやフォルダのリンク共有:
- Discordのチャット内で、DropboxやGoogle ドライブ上のファイルやフォルダの共有リンクを貼り付けることができます。
- 例えば、「〇月〇日の〇〇クラスの教材は、このリンクからダウンロードしてください」とメッセージと共にリンクを送れば、すぐにアクセスできます。
- Dropbox: 共有したいファイルやフォルダを右クリックし、「Dropbox リンクをコピー」を選択してチャットに貼り付けます。
- Google ドライブ: 共有したいファイルやフォルダを右クリックし、「リンクを取得」を選択し、共有設定を確認してリンクをコピーしチャットに貼り付けます。
- 特定ファイルの参照指示:
- 「〇〇スプレッドシートの15行目のデータを確認してください」のように、具体的なファイルの場所や内容を指示する際に、リンクを添えることで誤解を防ぎ、迅速な確認を促せます。
- Discordのチャンネルを「お知らせ」「教材共有」「シフト連絡」など用途別に分けることで、情報が混雑するのを防ぎ、必要な情報を見つけやすくします。
- 共同作業の促進:
- 「この授業計画をGoogle ドキュメントで共同編集しましょう」とリンクを共有し、チャットでリアルタイムに意見を出し合いながら作業を進めることができます。変更が即座に反映されるため、物理的に集まることなく効率的な共同作業が可能です。
- 質問と回答の記録:
- 「〇〇ファイルについて質問です」とチャットで質問し、その場で回答を得ることで、電話やメールでのやり取りよりもスピーディーに問題を解決できます。質問と回答の履歴がチャットに残るため、後から確認することも容易です。
- ファイル更新の通知:
- DropboxやGoogle ドライブは、ファイルが更新された際に通知を受け取る設定が可能です。これを活用し、チャットツールと連携させることで、「〇〇先生が教材を更新しました」といった通知をチャットに流し、スタッフ全員が最新情報を把握できるようにすることも可能です(サービス連携機能やIFTTTのようなツールを利用)。

↑ こちらは、Dropboxにファイルをupload しておいて、discordにその場所を指定した内容を記載したものです。
左がわにあるのは、チャンネル名で、「お知らせ」というチャンネルにアナウンスしました。
そうすることで、ユーザーは、このリンクをクリックすると、自動的にDropboxの該当ファイルに飛びますので、すぐにファイルをダウンロードでき、共有できるようになります。
また、Discordは、直接ファイルをupload することもできますので、少しご紹介します。

↑ こちらは、discordにおける情報共有が実施されている画像サンプルです。
この日、他教室の教室長が英検日程や、今後も高まる英検需要というタイトルで非常にわかりやすい資料を作成してくれました。
それを「お知らせ(左上をご覧ください)」というチャンネルで共有している様子です。
上のファイルはエクセルのファイル、下はPDFファイルがupload されていますので、ここから直接ダウンロードできます。
ここで、何故、2つの方法を提示したかと申しますと、
①最初のDropboxへuploadする方法
こちらは、比較的長い期間保存しておいたほうが良い情報であるとか、ファイルをわかりやすく格納しておく場合に利用します。
②Discordに直接upload する方法
こちらは、短期的な内容や、すぐにダウンロードして、掲示したりスポット利用する場合などに有効です。Discordはチャット系ツールですので、どんどん上にスクロールされますので、ファイルを探すのに、少し苦労します。(検索機能はあるのですが)
という事情と理由があるのです。
クラウドストレージ導入の注意点
導入を成功させるためには、いくつかの注意点も押さえておく必要があります。
- セキュリティ意識の徹底: アクセス権限の設定ミスや、共有リンクの不適切な取り扱いは、情報漏洩のリスクにつながります。スタッフ全員にセキュリティ意識を徹底させるための教育が不可欠です。パスワードの管理や二段階認証の利用なども推奨されます。
- オフライン環境での利用: インターネット接続がない環境ではファイルにアクセスできません。重要なファイルは事前にオフラインアクセス設定を有効にしておくか、ローカルにダウンロードしておくなどの対策が必要です。
- 容量の管理: 無料プランでは容量に限りがあります。不要なファイルを定期的に削除したり、圧縮したりして、容量を適切に管理しましょう。必要に応じて有料プランへの移行も検討します。
- ネットワーク環境の整備: スムーズなファイルのアップロード・ダウンロードには、安定したインターネット環境が不可欠です。各教室のネットワーク環境を見直すことも重要です。
まとめ:クラウドストレージで、学習塾・習いごとの未来を拓く
クラウドストレージは、単なるファイルの保存場所ではありません。M&Aによる事業拡大、複数教室間の連携強化、日々の業務効率化、そしてスタッフ間の円滑なコミュニケーションを実現するための、強力なビジネスインフラです。
特にDropboxはその使いやすさで、Google ドライブはその共同編集機能とGoogle Workspaceとの連携で、学習塾・習いごとの経営に大きなメリットをもたらします。まずは無料プランから気軽に導入し、その便利さを実感してみてください。
クラウドストレージを最大限に活用し、情報のスムーズな流れと効率的な業務体制を構築することで、生徒への質の高い教育提供に集中できる環境を整え、学習塾・習いごとのさらなる発展を目指しましょう。
CROSS M&Aは学習塾の譲渡・買収案件を成功裏にまとめることに絶対的な自信を持っています。私たちが実践しているM&Aサービスは、仲介業者の域を超え、学習塾経営者の最も強力なパートナーとして、教育業界の持続的な発展に貢献しています。また、CROSS M&A(クロスM&A)は学習塾・習いごと専門のM&Aサービスで、業界ナンバー1の成約数を誇るBATONZの専門アドバイザーです。BATONZの私の詳細プロフィールはこちらからご確認ください。
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