塾講師採用を成功させる! 効果的な募集から採用までのロードマップ

2025年06月26日

新規開校

塾や習いごとの運営において、優秀な講師の存在は不可欠です。
なぜなら、仕組みや料金や特色などは教室責任者が保護者に対して説明をしますが、実際の授業を受け持つのは講師や専任のスタッフだからです。

そして何より、多くの学習塾や習いごと教室は「無料体験授業」「無料体験レッスン」で実際の授業やレッスンを体験してもらう方式をとっています。

無料体験授業「後」の成約は、実際に講師の体験授業の満足度にかかっていると言っても過言ではないのです。

無料体験が終わった後のお子さんの反応を保護者が見逃すことはありません。長年一緒に住んでいるわが子の反応が本当のものなのか、取り繕っているものなのかは、すぐにわかるのです。

無料体験後にお子さんの反応がとてもいい場合、即決になることも多いです。もっと言えば、他の塾、他の教室で無料体験授業の予定が別日時で設定されていたとしても、
その体験で決定して後はキャンセルという流れにもなるのです。

さて、この重要な役割を果たす講師。

理想の講師を見つけることは決して容易ではありません。本記事では、塾講師の募集から採用に至るまでのプロセスを徹底解説。効果的な媒体の選定から、応募者とのスムーズなやり取り、そして面接における重要な視点まで、実践的なノウハウをご紹介します。

1.最適な募集媒体を選定する

塾講師募集において、適切な媒体を選ぶことは採用活動の成否を大きく左右します。まずはじめに、学習塾や習いごと教室で講師を採用するにおいては、やはりその能力、スキルを図っていかなくてはなりません。

募集媒体は社員募集、スタッフ募集、契約社員募集、短期労働社員募集、などなど目的に応じてたくさんあります。
ここでは「アルバイト」として雇う場合の講師募集に照準を絞って書いてみます。

媒体のスタイルは大きく分けて2つです

①一定期間募集広告を出して(例えば4週間とか)そこから募集を待つ方式
②募集広告は通年無料で、採用したら課金される方式(成果報酬型)


長年やってきて、一番効率がいいのは成果報酬型の媒体です。募集広告を出しませんか?という営業はいっぱい来ますので、必要に応じてやらなくては!ということで、過去20回程度利用しましたが、その中で「これは成功した!」という事例は①の一定期間募集広告方式では、ほとんどありませんでした。

20回もやってよい結果が得られた経験がほとんどない・・・というのは、ものすごく確率です。

安定して、効果があるのは②の採用課金型、成果報酬型です。
一人採用したらいくらという方式ですが、よほど変な広告の出し方をしない限りは年間通して安定した採用が出来ると思います。

ここでは、代表的な二つの媒体とその特徴を見ていきましょう。

塾講師ステーション

塾講師ステーションは、日本最大級の塾講師専門求人サイトです。圧倒的な登録者数を誇り、多くの応募者からの応募が期待できます。


こちらは、塾講師ステーションの管理画面です。

  • メリット:
    • 高い集客力: 多数の塾講師志望者が利用しているため、幅広い層からの応募が見込めます。
    • 詳細なプロフィール: 応募者の学歴、指導経験、得意科目などが詳細に記載されており、スクリーニングがしやすいです。
    • スカウト機能: 条件に合う人材を検索し、直接スカウトを送ることも可能です。
  • デメリット:
    • 競争率の高さ: 多くの塾が求人を出しているため、自塾の求人が埋もれてしまう可能性があります。魅力的な求人情報の作成が重要です。
    • 掲載コスト: 無料掲載枠もありますが、より上位表示を目指す場合は有料プランの検討が必要です。

塾講師ステーションはUIを思い切り変更する過程で、うまく機能しない部分があったため一時は心配したのですが、2025年現在、健在に動いていますので問題ありません。

無料オファーできる件数が月に1000件までです。教室数が1教室でしたら、この枠で十分です。しかしんながら、複数教室がある場合、それぞれの教室で1000件ではなく、仮に5教室ならば5教室で1000件です。
教室数が多いほど、オファー数が限定されるのが少々きついかもしれません。

さて、なぜここで「オファー」について言及したのか!?

つまり、「オファー」はこういう形式の媒体では、一番重要だからです。もっと言えばオファー送信をしなければ、応募率はけっこう下がると思って間違いありません。

これは社員募集媒体でも同じ現象です。従ってオファーの機能の有無は媒体選択の重要要素となります。

塾講師JAPAN

塾講師JAPANもまた、塾講師に特化した求人サイトです。塾講師ステーションと並んで、多くの塾に利用されています。


こちらは塾講師JAPANの管理画面です。ピンクのハートマークのところに「スカウトメール」とあります。
スピーディーにオファーをかけたいときのUIとしては、塾講師JAPANはとても使いやすいです。

  • メリット:
    • 地域密着型の募集: 特定の地域に特化した募集も可能で、地域密着型の塾には特に有効です。
    • 多様な募集形態: 正社員、アルバイトなど、様々な雇用形態での募集に対応しています。
    • シンプルな操作性: 求人情報の作成や管理が比較的シンプルで、初めて利用する方でも使いやすいでしょう。
  • デメリット:
    • 塾講師ステーションよりは登録者数が少ない傾向: 大規模な募集には向かない場合もあります。
    • ターゲット層の把握: どのような層の応募者が多いのか、事前に把握しておくことが重要です。

塾講師JAPANは登録者数が少ない傾向であっても、応募者の質的には悪くありません。これは印象ですが、春前に募集をしたいとき、夏前に募集をしたいときには、塾講師JAPANからの応募が多かったように思います。

【ポイントと重要なこと】

この2つのサイトを併用することで、より多くの応募者にリーチできる可能性が高まります。それぞれのサイトの特性を理解し、自塾のニーズに合った活用を心がけましょう。
また、両サイトともにサポートがしっかりしていますので、困ったときに頼りになります。

①教室情報の記載
教室の情報をしっかりと記入しなくてはいけません。ここに一手間がかかりますが、丁寧に語り掛けるように書くとよいでしょう。

②最低時給がUPしたら記述変更
それぞれの媒体からアナウンスメントメールが届きますが、記述を変更しないと掲載が止まりますので注意が必要です。


2.面接日時設定メールの作成と重要性

応募があった際、最初のアクションとなるのが面接日時の設定です。この際のメールは、応募者に与える第一印象を大きく左右します。

面接日時設定の際のメール例①(少し堅い感じがしますが)

件名:【〇〇塾】面接のご案内

〇〇様

この度は、〇〇塾の講師求人にご応募いただき、誠にありがとうございます。 書類選考の結果、〇〇様にはぜひ一度面接にお越しいただきたく、ご連絡いたしました。

つきましては、下記の中から面接にご都合の良い日時を複数ご提示いただけますでしょうか。

  • 〇月〇日(〇)〇時〇分~〇時〇分
  • 〇月〇日(〇)〇時〇分~〇時〇分
  • 〇月〇日(〇)〇時〇分~〇時〇分

※上記以外にもご希望がございましたら、お気軽にお申し付けください。 ※面接は〇〇塾にて行います。

ご多忙の折とは存じますが、お返事いただけますようお願い申し上げます。

ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

〇〇塾 採用担当 [電話番号] [メールアドレス]

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面接日時設定の際のメール例②(内容をよく見ていますよというアピール)


名:【〇〇塾】面接日時につきまして

〇〇様

この度は、塾講師JAPANよりご応募頂き誠にありがとうございます。〇〇塾の採用担当〇〇と申します。どうぞ宜しくお願いいたします。

ご応募欄に〇〇様の並々ならぬ意気込みが書かれていました。その瞬間とても前向きで熱意のある方だと思いました。ぜひ一度面接をさせていただきたく存じます。

つきましては、下記の中から面接にご都合の良い日時を複数ご提示いただけますでしょうか。

  • 〇月〇日(〇)〇時〇分~〇時〇分
  • 〇月〇日(〇)〇時〇分~〇時〇分
  • 〇月〇日(〇)〇時〇分~〇時〇分

※上記以外にもご希望がございましたら、お気軽にお申し付けください。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

〇〇塾 採用担当 [電話番号] [メールアドレス]

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その後、面接候補日のあれば、日時を確定されるためのメールを返信します。その際には、場所や持参いただくもの、推定の所要時間や当日の流れがわかるように記載すると面接者も安心です。

また、最近は講師面接前に、
「服装は・・・」と聞かれることも多いです。とくに、1月や2月の時期は、大学の進学先は決定したものの、まだスーツなどは持っていない方が多いです。

オーナーの考え方ですが、

派手じゃなければカジュアルでもよいというソフトな提案をしてあげるとよいでしょう。

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【面接場所】
〇〇塾 〇〇駅前教室

【当日の流れ】
・最初の20分で概要を説明いたします
・その後60分の採用テストがございます
・合否はその場でお伝えします
・合格の場合は、各種手続きとして30分ほど頂戴いたします。

【お持ちいただくもの】
履歴書1通をお持ちください。

※服装については、無理にスーツじゃなくても大丈夫です。

〇〇塾 採用担当 [電話番号] [メールアドレス]



面接日時設定:何が重要か

  • 迅速な対応: 応募から返信までのスピードは、応募者のモチベーションを維持する上で非常に重要です。できるだけ早く連絡を取りましょう。
  • 候補日時の複数提示: 応募者の都合を考慮し、複数の候補日時を提示することで、スムーズな日程調整につながります。
  • 明確な指示: 面接場所や持ち物など、必要な情報を簡潔に分かりやすく伝えることで、応募者の不安を解消します。
  • 丁寧な言葉遣い: 応募者に対する敬意を示し、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。これは、応募者が安心して面接に臨むための土台となります。
  • 件名で内容を明確に: 件名に「面接のご案内」など、一目で内容がわかるように記載することで、応募者がメールを見落とすことを防ぎます。

応募者は複数のアルバイト先を探しているかもしれません。
その中で、対応が悪いとか、印象が悪いと応募者が感じれば、勤務先として選ばれず辞退ということこともあるかもしれません。
スピーディに、わかりやすく、面接を受ける方に対してリスペクトの気持ちを忘れずに、誠意をもって対応していくことで、多少の時給やコマ級の差は選定の第一基準ではなくなるかもしれません。

「人」を大事に!というスタンスです。


3.概要説明から採用まで:成功の鍵

面接は、応募者のスキルや経験だけでなく、人柄や教育に対する熱意を見極める重要な機会です。

面接における重要ポイント

  • 塾の理念や方針の説明: 面接の冒頭で、自塾の教育理念や指導方針を明確に伝えることで、応募者が自塾との相性を判断する手助けとなります。
  • 具体的な業務内容の提示: 担当する学年、科目、授業形態、勤務時間、給与体系など、具体的な業務内容を詳細に説明することで、入社後のミスマッチを防ぎます。

この2つは、説明用のガイドなども書面で準備して口頭だけではなく、書類でもしっかりと確認してもらい、線を引きながら説明するとより印象がよくなります。
特に給与については、誤解がないように、時給、コマ給、生徒が休んだ場合の手当、指導形態に違いによる給与の違いなど、細かく説明すべきです。

  • 応募者の適性を見極める質問:(必要に応じて)
    • 「なぜ塾講師になりたいのですか?」
    • 「今までどのような指導経験がありますか?」「成功体験、失敗体験を教えてください。」
    • 「生徒のやる気を引き出すために、どのような工夫をしますか?」
    • 「保護者対応で大切にしていることは何ですか?」
    • 「当塾の教育方針について、どのように感じましたか?」 これらの質問を通じて、応募者の教育に対する考え方、コミュニケーション能力、問題解決能力などを深く掘り下げていきましょう。

これらの適性を見極めるための質問は、あくまで適性を見るためのものですが、この回答が応募者のすべてを占うものにはならない場合も多いです。

・面接に遅刻をせずに来たか
・挨拶はしっかりできているか
・受け答えははっきりしているか
・相手の目を見て話しができるか
・相手の話をしっかり聞いているか
・挙動不審はないか
・メモをするなど前向きな姿勢がみえるか

など、もっと根本的な視点で判断してもよいでしょう。

  • 模擬授業の実施(面接当日には無理にやらなくてよい): 以前家庭教師をやっていた方とかほかの塾、教室で指導をやっていた方などには、実際の指導力を確認するために、短い模擬授業をお願いする場合があります。
    説明の分かりやすさや生徒への接し方を見るためのものですが、あまり無理に実施しなくてもよいでしょう。緊張状態でのロールプレイングは、どんなに慣れた方でもうまくいかないことがあるからです。その一点だけで評価するのは少々酷かもしれません。
  • 質問の機会を設ける: 応募者からの質問にも丁寧に答え、疑問を解消することで、応募者の入社意欲を高めます。

個人的には、最後の項目「質問の機会を設ける」ということが、一番推奨できる方法です。
なぜなら、応募者が興味を示した場合は、目の輝きや発言、そして表情にあらわれるからです。逆に興味を持てない、共感できない場合には、それも出るのです。
これはどんなに訓練している人でもわずかな変化で本音が出てしまうものですから、なかなか隠せるものではありません。
一番は目でわかるのですが、あまりじっと見ているとこれもまた相手に失礼です。

そこで、面接段階でシーンが切り替わるごとに

「ここまでで何か質問はありますか?」と投げてみてください。

または、面接の最後でもいいです。同様に投げてみてください。これで真意が見えてきます。基本的に「質問が全くない人」は、「特にありません」と返してくるでしょう。

その際、具体的な質問があると面接者としては、何か意志を感じることはあるのではないでしょうか。
これも面接者がその場で判断していいことですが、やはり教育とか指導に携わる人は、そういう目であってほしいので、その点は質問をすることで見える真意を判断材料にしてもよいでしょう。

採用の最終決定

迅速な合否連絡: 合否の連絡は、できるだけ早く行うようにしましょう。不採用の場合でも、丁寧な言葉遣いを心がけ、今後の応募者の活動を応援する姿勢を示すことが大切です。
出来れば不採用の場合こそ、当日中に相手に伝えてあげたほうが良いのです。

特に学習塾の場合、採用テストを実施することが多いですが、及第点というものがあるはずです。それを下回っている場合の判断として、

・テスト結果は若干追いついていないが人物的にはとても良い
・テスト結果は下回っているけれど、復習すればすぐに追いつくレベルである

この2つに該当するのであれば、「採用」を考えてもよいと思います。

中には、及第に届いていないときに、問題をその場で解きなおし、すぐに間違いに気づき悔しがる姿を見せてくれる方もいます。
テストの結果だけではない、人間的な魅力があるならば、教室長、塾長の判断で採用として育成していく方向性を定めていくようにすれば、きっと戦力になってくれます。


塾講師の採用は、単に空いたポストを埋めるだけでなく、塾の未来を担う人材を獲得する重要なプロセスです。本記事でご紹介した媒体の活用法、面接日時設定のコツ、そして面接から採用までの重要な視点を踏まえ、ぜひ貴塾に最適な講師を見つけてください。

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