譲渡の段取りについて③学習塾・習いごとのM&A成約後:スムーズな引継ぎをサポートするシート管理術
CROSS M&A(クロスM&A)では、学習塾・習いごとの譲渡契約がまとまった後、M&Aプロセスが円滑に進むよう、「譲渡後タスク管理シート」を用いた徹底的なサポートを提供しています。このシートは、買い手と売り手の双方が「次に何をすべきか」を明確に把握し、責任を持ってタスクを遂行できるよう設計されています。
しかもアバウトではありません。
措置によっては電話で済むもの、書面のやり取りが必要なもの等、やるべきことと手順が異なります。
そして、重要なのが、「売り手」と「買い手」の双方のアクションが必要だということです。
それがきちんと為されているかどうか、進捗はどうかをお互いにメモし合いながら確実に進めていくことが出来るようにしていきます。

なぜ譲渡後の「シート管理」が重要なのか?
まず、特に買い手の方は、
M&Aの成約はゴールではなく、新たなスタートなのだ!ということを胃袋の腑に落としておくことが肝要です。
特に学習塾や習いごとの場合、以下のような周知や引継ぎ、移行、変更などやらなくてはならないことが多岐にわたります。
生徒の学習継続や保護者の信頼維持が最優先事項でありつつ、事務的内容や連絡すべきことが次々と思い浮かぶことでしょう。譲渡契約後、買い手側がある程度落ち着けるようになるまでには、業務経験の多寡もありますが2~3か月ぐらいは要します。
【物件の引継ぎの「前」】
- 電気、水道(ガス※塾、習いごとの場合は「なし」で大丈夫です)
- 電話
- Wi-Fi
- プロバイダ
- 複合機
- 口座振替関連
- システム系
- 教材販売会社
- 事務用品系
- 模試関連
- 名刺関連
- 店舗保険
- 講師募集媒体
- 学習塾広告媒体
- 習いごと広告媒体
- その他チラシ発注系
- SNSアカウント引継ぎ
譲渡契約が終わり、支払いが終わった後はいよいよ本格的に引継ぎを一気に進めていく必要があります。
その際に、
「何を」「どんな手順で」「誰に(どの会社に)」「どのタイミングで」「どのような手段で」実行するのかを売り手と買い手が把握していなくてはいけません。
把握が不十分であったり、対応が遅くなりますと、譲渡から実際に新オーナーが営業を開始する際に、大きな混乱が待ち受けていることになります。
ですから、譲渡契約「後」は、重箱の隅をつつくぐらい気持ちでさらに細心の注意を払って進めていきます。
そのうえで、以下の
「物件の引継ぎの「後」」の業務へと続いていくのです。
- 生徒・保護者への周知と説明: 適切なタイミングと方法でM&Aの事実を伝え、安心感を与える必要があります。
- 従業員の引継ぎとモチベーション維持: 従業員の雇用条件や待遇を明確にし、M&A後も安心して働ける環境を整えることが重要です。
- 教材・カリキュラムの引継ぎ: 既存の教材やカリキュラムを買い手側に適切に引き継ぎ、教育品質を維持する必要があります。
- システム・設備の移行: 塾管理システムや予約システム、オンライン学習プラットフォームなどの移行作業が発生します。
- 許認可・契約関係の変更: 事業の譲渡に伴う各種許認可の変更手続きや、賃貸契約などの名義変更が必要です。
- 経理・税務処理: 譲渡に伴う会計処理や税務申告など、専門的な対応が求められます。
これらのタスクは多岐にわたり、一つでも漏れがあったり、対応が遅れたりすると、生徒や保護者からの信頼失墜、従業員の離反、ひいては事業価値の低下に繋がりかねません。
「譲渡後タスク管理シート」を活用することで、これらの複雑なタスクを可視化し、担当者、期限、進捗状況を明確にすることで、抜け漏れなく、かつ効率的にM&A後の引継ぎを進めることが可能になります。
CROSS M&Aが提供する「譲渡後タスク管理シート」の具体的な内容
CROSS M&Aが提供する「譲渡後タスク管理シート」は、Google Spread Sheet で作成します。例えば買い手と売り手のどちらかが、Excelなどのソフトウェアを導入していなくてもWEB上の管理が出来ますので、双方にとって使いやすくなります。
また、Spread sheetはその特性上、同時利用が可能なため、リアルタイムの進捗確認や、ちょっかつ実用性を追求したフォーマットです。以下にその主な項目と活用方法をご紹介します。
【譲渡後タスク管理シート(例)】
カテゴリ | タスク内容 | 担当者(買い手/売り手) | 期限 | 進捗状況 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
生徒・保護者関連 | M&Aに関するお知らせの作成・配布 | 売り手/買い手 | 〇月〇日 | 完了 | 例文あり。Q&A作成。 |
保護者説明会の実施(任意) | 売り手/買い手 | 〇月〇日 | 調整中 | オンライン実施も検討。 | |
生徒の学習状況引継ぎ(個票作成) | 売り手 | 〇月〇日 | 進行中 | 主要科目のみ先行。 | |
従業員関連 | 従業員へのM&A説明会の実施 | 売り手/買い手 | 〇月〇日 | 完了 | 雇用条件・待遇に関する個別面談を実施。 |
雇用契約の締結・変更 | 買い手 | 〇月〇日 | 進行中 | 新規雇用契約書を準備。 | |
給与・社会保険の手続き引継ぎ | 売り手/買い手 | 〇月〇日 | 未着手 | 担当社労士と連携。 | |
教材・カリキュラム | 既存教材のリストアップと提供 | 売り手 | 〇月〇日 | 完了 | データと現物で提供。 |
カリキュラム内容の説明会 | 売り手 | 〇月〇日 | 調整中 | 買い手側の教育方針との擦り合わせ。 | |
過去の生徒実績データ引継ぎ | 売り手 | 〇月〇日 | 進行中 | 個人情報保護に配慮。 | |
システム・設備関連 | 塾管理システムのアカウント移行 | 売り手/買い手 | 〇月〇日 | 未着手 | 移行手順を確認中。 |
ホームページ・SNSアカウントの引継ぎ | 売り手/買い手 | 〇月〇日 | 進行中 | 新URLへのリダイレクト設定。 | |
設備・備品のリストアップと現物確認 | 売り手/買い手 | 〇月〇日 | 完了 | 故障・修繕履歴も共有。 | |
許認可・契約関連 | 各種許認可の名義変更手続き | 買い手 | 〇月〇日 | 未着手 | 管轄官庁に確認済み。 |
賃貸借契約の名義変更 | 買い手/売り手 | 〇月〇日 | 進行中 | 物件オーナーとの調整。 | |
業務委託契約・サプライヤー契約の引継ぎ | 売り手/買い手 | 〇月〇日 | 進行中 | 必要に応じて再契約。 | |
経理・税務関連 | 最終月の売上・経費の確定と精算 | 売り手 | 〇月〇日 | 進行中 | 顧問税理士と連携。 |
未収金の回収と買掛金の支払い | 売り手 | 〇月〇日 | 進行中 | 買収価額への影響を考慮。 | |
税務申告関連資料の準備と引継ぎ | 売り手 | 〇月〇日 | 未着手 | 必要書類をリストアップ。 | |
その他 | 銀行口座の開設・変更 | 買い手 | 〇月〇日 | 未着手 | 新規事業用の口座開設。 |
各種インフラ(電気・ガス・水道)の名義変更 | 買い手 | 〇月〇日 | 未着手 | 各事業者へ連絡。 | |
セキュリティ関連(鍵・警備システム等)の引継ぎ | 売り手/買い手 | 〇月〇日 | 進行中 | 鍵の交換、警備システムパスワード変更。 |
シートの活用ポイント
- カテゴリ分けとタスクの明確化: タスクを「生徒・保護者関連」「従業員関連」「教材・カリキュラム」「システム・設備」「許認可・契約」「経理・税務」「その他」といった具体的なカテゴリに分けることで、全体像を把握しやすくなります。各タスクの内容も具体的かつ簡潔に記載し、誤解が生じないようにします。
- 担当者の明確化: 各タスクには必ず「買い手」または「売り手」のどちらが主担当となるかを明記します。これにより、「誰が何をすべきか」が明確になり、責任の所在がはっきりします。必要に応じて、両者が協力して進めるタスクは「売り手/買い手」と記載します。
- 期限設定と進捗管理: 各タスクに具体的な期限を設定し、「進捗状況」欄で「未着手」「進行中」「完了」「調整中」などのステータスを更新していきます。これにより、遅延しているタスクや、早急に対応が必要なタスクが一目でわかります。
- 備考欄の活用: 「備考」欄は、タスクに関する詳細情報、特別な指示、発生した課題やその対応策などを自由に書き込めるスペースです。例えば、関連資料の場所、担当者の連絡先、過去の経緯などを記録することで、情報共有をスムーズにし、トラブル発生時の解決に役立ちます。
- 定期的なミーティングでの共有: このシートは、買い手と売り手が定期的に進捗確認ミーティングを行う際の共通認識ツールとして活用されます。お互いの進捗状況を確認し、懸念事項を共有し、協力して問題解決にあたることで、M&A後のスムーズな事業統合を強力に推進します。
それではここで、もっと具体的な内容を実例で見ていきましょう。
【実例】
下の画像は、実際にやり取りをするスプレッドシートのスクリーンショットです。
画像ですので、ここで操作はできませんが、なんとなくイメージがわかると思います。このようなシートを項目分けして作成することで、買い手と売り手が処理すべき内容が明確になります。
終了したものについては、チェックボックスをつけたり、色をつけることでわかりやすくなります。

CROSS M&Aが「責任を持って」サポートする理由
学習塾・習いごとのM&Aは、通常の事業譲渡とは異なるデリケートな側面が多くあります。
・生徒の学習機会を奪わないこと
・保護者の期待を裏切らないこと
・築き上げてきた教育の品質を維持すること
これらの基本動作が出来たうえで、少しずつ新オーナーが状況判断しながら自分の色を出していけるといいでしょう。
何事もそうですが、「評価」というのは、自分ではなく「他人がするもの」ですので、あまりにも強烈な改革を断行しようとすると、講師や生徒、保護者も戸惑いが生じてしまう場合があります。
ソフトにうまく移行できるようにしていきたいです。
CROSS M&Aは、単にM&Aのマッチングを行うだけでなく、成約後の「事業引継ぎ」までを最も重要なフェーズと捉えています。私たちが「責任を持って対応」するとお伝えしているのは、以下の理由からです。
- 専門性と経験: 学習塾・習いごとのM&Aに特化した豊富な経験とノウハウを持っています。業界特有の課題や引継ぎのポイントを熟知しているため、的確なアドバイスとサポートが可能です。
- 詳細なタスク洗い出し: 一般的なM&Aでは見落とされがちな、学習塾・習いごとの事業運営に特有のタスク(例:生徒の学習進捗データ引継ぎ、季節講習の計画引継ぎなど)も細かく洗い出し、シートに反映させます。
- 買い手と売り手の橋渡し: 引継ぎプロセス中に発生しがちな両者間の認識のズレやコミュニケーション不足を防ぐため、CROSS M&Aが中立的な立場から両者の間に立ち、円滑なコミュニケーションを促進します。
- トラブル発生時の迅速な対応: 万が一、引継ぎプロセスで予期せぬ問題が発生した場合でも、CROSS M&Aが迅速に介入し、解決に向けて最善の策を講じます。
- 継続的な伴走支援: 譲渡契約が締結されたからといって、私たちのサポートが終わるわけではありません。引継ぎが完了し、事業が軌道に乗るまで、継続的に伴走し、買い手と売り手の双方を支援します。
まとめ
学習塾・習いごとのM&Aは、多くの方々にとって人生を左右する大きな決断です。譲渡契約がまとまった後も、事業の円滑な継続のためには、計画的かつきめ細やかな引継ぎ作業が不可欠です。
CROSS M&Aは、この重要な引継ぎフェーズにおいて、「譲渡後タスク管理シート」を核とした徹底したサポートを提供します。買い手と売り手のお二人が「次に何をすべきか」を明確に把握し、安心してM&A後の新しいステージに進めるよう、私たちは責任を持って伴走いたします。
M&Aをご検討中の学習塾・習いごとのオーナー様、事業拡大をお考えの企業様、ぜひ一度CROSS M&Aにご相談ください。皆様のM&Aが成功裏に完了し、新たな価値創造に繋がるよう、全力でサポートさせていただきます。
