学習塾・習いごと教室のM&Aを成功させるカギは「労務管理」にあり!専門仲介が強いワケ

2025年06月22日

オーナー・経営者向け

学習塾や習いごと教室のオーナーとして、新たな一歩を踏み出そうとしている皆さん、あるいは現在、運営に奮闘されている皆さん、こんにちは。

「M&A」と聞くと、大企業同士の合併買収をイメージされるかもしれませんが、実は学習塾や習いごと教室の世界でも、事業のスピーディーな拡大や事業承継の有力な選択肢として注目を集めています。

特に、既存の教室を譲り受けてオーナーになることは、新規開業に比べて初期投資を抑えられ、すでに顧客基盤や実績がある状態でスタートできる大きなメリットがあります。

しかし、M&Aを成功させる上で見落とされがちな、そして非常に重要な要素があります。それが「労務管理」です。

M&Aにおける労務管理の重要性

なぜ、学習塾・習いごと教室のM&Aにおいて、労務管理がそれほどまでに重要なのでしょうか?事業が成り立つためには人材なくしては為し得ないからです。最初に起業をするのも人、従業員として採用するのも人です。

1. トラブルを未然に防ぐ「人」の問題

学習塾や習いごと教室は、講師やスタッフといった「人」によって成り立っています。M&Aによってオーナーが変わるということは、そこで働く人々の雇用関係も引き継ぐことになります。もし、譲渡元の教室で労務管理がずさんだった場合、引き継いだ後に以下のような問題に直面する可能性があります。

  • 未払い手当の発生: 過去の勤務状況によっては、未払い手当などが発覚し、譲受側が支払いを求められるケースがあります。
  • 労働条件に関するトラブル: 労働契約書がきちんと作成されていなかったり、労働条件が不明確だったりすると、従業員との間で認識の齟齬が生じ、トラブルに発展する可能性があります。
  • ハラスメント問題の表面化: 表面上は問題がなくても、引き継ぎ後にハラスメント問題が明るみに出て、教室の信用問題に関わることもあります。
  • 従業員のモチベーション低下・離職: オーナー交代によって従業員が不安を感じ、モチベーションが低下したり、優秀な人材が流出してしまったりするリスクも考えられます。

これらの問題は、教室運営に少なからず影響を与えてしまうかもしれません。

【事例(予防策具体例)】

こういう問題が発生するのは、大元を辿れば最初の面接時直後までさかのぼると、原因がはっきりとわかってきます。

面接をして「採用」と決定した直後です。

採用を決定したら、きちんと文書で提出すべき「雇用通知書」があります。この発行は非常に銃ようなのです。

雇用通知書に記載すべき内容は、法改正で変わったりしますので、正しい労務管理の知識を基本部分だけでもしっかりと押さえておきましょう。
弊社では、社員採用の際は、「雇用通知書兼雇用契約書」という形式を推奨しております。
面接時間は、質問の多寡次第ですが、120~150分ぐらいになることもあります。学習塾業界の内容説明、各自教室の特徴、労働条件提示、研修の流れ、アンケート記入などを実施します。社員の採否決定は、面接者が多いときにはすぐには実施できませんので、決定まではメールなどで連絡を入れて意思確認をしながら進めます。
そして、採用が決定したあとには、必ず雇用通知書兼雇用契約書を読み合わせ、面接時と齟齬がないように努めていきます。
さらに、「入社にあたって最初に注意すべき事項」という書類を別個用意して、読み合わせをするのです。
最後に契約書の形式ととっているため、住所と署名を記入してもらう形をとります。


アルバイト講師採用の際は、「雇用通知書」と「服務心得」を使います。

また、アルバイト講師採用においても面接時において、概要の説明に20~25分程度、採用テストに40~80分、そのあとに説明で30分程度と、平均して90から120分程度の時間を要します。
大学生講師を採用する場合が多いですが、これだけの時間をかけますと採用される側もその場で不安が払しょくされて、面接最後の頃には笑顔で話しができるようになるでしょう。

談笑出来るぐらいになっても、締めるところはしっかりと締めるべきです。

それが雇用通知書と服務心得の役割です。

労使関係というのは、使用する側と使用される側の関係です。会社や組織では上下関係が発生しますが、向き合えば人間同士ですので、お互いにリスペクトしあえるようなスタンスで接していくと、トラブルは起こらないと思います。

しかしながら、どんなに人間関係が良好であっても、このような最初の通知書や契約書におけるしっかりとした「締め」はとても大切なのです。

2. 譲渡価格の適正な判断材料となる

M&Aの交渉において、譲渡価格は非常に重要な要素です。この価格を決定する上で、譲渡元の労務状況は大きな影響を与えます。

もし、労務問題が内部にひそんでいる場合、その解決にかかる費用やリスクを考慮し、譲渡価格を適切に調整する必要があります。

例えば、多額の未払い代金が発覚した場合、その分は譲渡価格から差し引かれるべきですし、そうでなければ譲受側が不利益を被ることになります。

BtoB取引の未払いとか、顧客の未入金などは帳簿や会計資料、またはFCなどであれば使っているシステムを見ればすぐにわかりますが、
ひそんでいる労使問題は、「まさかそんなことになっていたとは・・・」と、発覚がおそくなる場合もあるのです。

その観点から、スタッフや講師が残留してくれるときには、可能であれば一人一人との対話時間をもつとか、総体的なアンケートを実施して困っていることがないかをリサーチするなどの方法を取るのもよいでしょう。

3. スムーズな事業承継と円滑な教室運営のために

M&A後の教室運営を円滑に進めるためには、従業員の協力を得ることが不可欠です。適切な労務管理は、従業員に安心感を与え、新しいオーナーへの信頼を構築する上で欠かせません。逆に、労務問題が多発すると、従業員は不信感を抱き、協力体制を築くことが難しくなります。

学習塾・習いごと専門のM&A仲介「CROSS M&A」が労務管理に強いワケ

一般的なM&A仲介会社では、業種・業界を問わず幅広いM&A案件を取り扱っています。しかし、学習塾や習いごと教室のM&Aにおいては、その業界特有の労務課題が存在します。

1. 業界特有の労務慣行への深い理解

学習塾や習いごと教室には、他の業界にはない独特の労務慣行が存在します。例えば、

  • 講師の雇用形態の多様性: 正社員講師、契約社員講師、アルバイト講師、業務委託講師など、様々な雇用形態が存在し、それぞれの労働条件や法的な取り扱いが複雑です。
  • 変動する労働時間: 授業のコマ数によって勤務時間が変動したり、季節によって繁閑があったりするため、労働時間管理が難しい場合があります。
  • 「先生」と「生徒」の関係性: 教育という特殊なサービスを提供する上で、生徒や保護者との関係性も労務管理に影響を与えることがあります。

CROSS M&Aは、学習塾・習いごと教室に特化しているため、これらの業界特有の労務慣行を深く理解しています。一般的なM&A仲介会社では見落としがちな細かな点まで、専門的な視点からヒアリングし、潜在的なリスクを洗い出すことができます。

【実例】

上記2つ目の項目の「変動する労働時間」については、アルバイト講師に発生する事由となります。
以下のようなことが実際にありました。

ここでは仮にA講師とします。
A講師に対して、保護者からNGが出されました。具体的には「授業で厳しすぎる、他の生徒に内容だったが、うちの子がずっとそれを聞いていて嫌な思いをして、集中も出来なかった。ついては、A講師を担当から外してほしい」
このような内容でした。

どんな理由あれ、保護者や生徒からNGが出されたものをそのままにするわけにはいきません。
すぐに担当から外したところ、

「なぜ、急に授業が減ったのですか?」という内容でした。
そこで事情を説明したのですが、なかなか理解されず「その分の授業は本来あったはずなのだから、支払ってほしい」というものでした。

このケースは初めてでしたので、少々驚きましたが、上述の「服務心得」の存在が有効でした。
そこのは、きちんと「状況によっては生徒・保護者側の事情で当該担当を外す場合がある」という項目があり、そこにきちんとチェックがされているのです。

当初はそうなってしまった原因をしっかりと受け止めて反省する様子もなかったのですが、しっかりと丁寧に話をしたことで、理解納得し直す努力をしてくれました。

2. 労務DD(デューデリジェンス)もしっかりリサーチ

M&Aにおいて、譲渡対象となる企業の価値やリスクを調査することを「デュー・デリジェンス(DD)」と呼びます。主に財務関係で使われる用語ですが、労務に関する労務DDも譲渡側からしっかりとリサーチしておくことで、前述したような労務トラブルを未然に防ぐことが出来ます。

CROSS M&Aは、学習塾・習いごと教室に特化しているからこそ、労務DDにおいて以下のような専門的な視点とノウハウで、買い手の方々に適切なアドバイスができるのです。

  • 雇用通知書の確認: 労働基準法に準拠しているか、改正された内容に沿った形式になっているのか、雇用形態ごとに正しく区別されているか
  • 賃金台帳・勤怠記録の確認: 未払い賃金の有無、正確な労働時間の記録がされているか
  • 就業規則・各種規程の確認: 就業規則が最新のものか、従業員に周知されているか、または縦覧できるよう定められた場所に保管されているか、育児休業や介護休業などの規程が適切に整備されているか
  • ハラスメントに関する調査: ハラスメントの実態がないか、過去にトラブルがなかったか
  • 退職金の有無・規定: 退職金制度がある場合は、その規定内容や積立状況を確認します。

労務DDは主に前オーナーからのヒヤリングにより、リサーチし譲渡元の労務状況を把握し、譲受側が安心してM&Aを進められるようサポートします。

また、新しくオーナーになられる方が困らないよう、労務管理の基礎的事項については丁寧にアドバイスを行い、必要あらば雇用契約書や雇用通知書兼雇用契約書、その他の重要な書面のサンプルなどを進呈し、無用なトラブルに発生しないような取り組みを推進しております。

3. 専門家ネットワークとの連携

労務管理は、労働基準法をはじめとする様々な法律が絡み合う専門性の高い分野です。CROSS M&Aは、必要に応じて社会保険労務士や弁護士といった労務の専門家と連携し、より高度なサポートを提供します。

特に、M&Aに伴う雇用契約の引き継ぎや、新たな労働条件の提示、就業規則の改定など、専門的な知識が必要となる場面で、これらの専門家が強力な味方となります。

【体験談】不注意によるプチトラブル

雇用通知書への記載ミス

これは完全にミスでした。アルバイト講師とは違う形態で、時間給アルバイトを採用したことがあるのです。その際、口頭ではしっかりと、夏休み期間や独自の休み期間があるため、週労働時間は定めているよりも少なくなる場合がありますと明言していたのですが、通知書の内容にはそれに沿った形式での記載をしていませんでした。

つまり口頭では補足説明したものの、実際の書面では記載が曖昧とのことで、休業手当というものをもとめられたものでした。
こちらは実際の額はかなり少なかったものの、雇用通知書へき記載ミスにより失敗した事例であります。

依頼、通知書の内容を見直し、間違い・誤解が生じないよう文面も改めました。

このように労務管理というのは、従業員の勤怠や給与に留まらず、社会保険や労働条件管理、福利厚生や安全衛生面の管理に至るまで、広範囲にわたります。

会社、組織、事業主が適切に管理することで、従業員が安心して働ける環境づくりをしていくこと、これが労務管理だと言えます。


M&A後の労務管理を見据えたサポート

CROSS M&Aは、M&Aの成立までだけでなく、その後の教室運営を見据えた労務管理に関するアドバイスも提供しています。

  • 引き継ぎ後のスムーズな雇用環境構築: 譲受後の従業員とのコミュニケーション方法や、新たな就業規則の導入など、円滑な引き継ぎをサポートします。
  • 適切な勤怠管理システムの導入支援: 教室運営は最初から大規模なスタートはあまりありませんので、その規模や状況に合わせた最適な勤怠管理の方法をご紹介します。
  • 給与計算・社会保険手続きのアドバイス: 複雑な給与計算や社会保険手続きについては、主要な「厚生年金保険」「健康保険」「雇用保険」の計算の仕方や、所得税についてもわかりやすくレクチャーできます。
  • 助成金・補助金情報の提供: 従業員の雇用や教育に関する助成金・補助金について、最新の情報を提供し、必要あらば活用について専門の社労士などを紹介することが可能です。

これらのサポートにより、譲受側はM&A後も安心して教室運営に集中できるようになります。

まとめ:学習塾・習いごと教室専門仲介だからこそ実現できる、安心のM&A

学習塾・習いごと教室のM&Aは、単に「教室を買う」というだけでなく、「そこで働く人を引き継ぐ」という側面が非常に大きい取引です。そのため、労務管理の知識と経験がM&Aの成否を大きく左右します。

「CROSS M&A」は、学習塾・習いごと教室に特化したM&A仲介サービスとして、業界特有の労務課題を深く理解し、徹底した労務DDと専門家ネットワークとの連携により、譲受側が安心してM&Aを進められるよう強力にサポートします。

新規でオーナーを目指す方も、現在運営されている方も、M&Aをご検討の際は、ぜひ「CROSS M&A」にご相談ください。専門性の高いサポートで、あなたのM&Aを成功へと導きます。

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