譲渡の段取りについて②フランチャイズ加盟の学習塾・習いごと教室を譲渡する際のポイント
学習塾や習いごと教室のオーナー様にとって、事業の譲渡は人生における大きな転機となり得ます。
特にフランチャイズに加盟している場合、そのプロセスは一般的な事業譲渡とは異なる、いくつかの重要なポイントがあります。本記事では、フランチャイズ加盟の学習塾・習いごと教室を円滑に譲渡するための手順と注意点について詳しく解説します。

1. フランチャイズ本部への速やかな連絡が最重要
事業譲渡を検討し始めたら、なるべく早く、その意向をフランチャイズ本部への連絡しておくことが肝要です。これは、事業譲渡を進める上で最も重要なステップの一つと言っても過言ではありません。
フランチャイズ契約には、加盟店の事業譲渡に関する規定が必ず盛り込まれており、本部の承認なしに譲渡を進めることは契約違反となる可能性があります。
本部へ連絡する際には、以下の点について明確に伝えるようにしましょう。
- 譲渡を検討している旨: 漠然とした相談ではなく、具体的に譲渡を考えていることを伝えます。
- 譲渡希望時期: おおまかな譲渡希望時期を伝えることで、本部も準備を進めやすくなります。
- 譲渡の理由: 正当な理由であれば、本部も理解を示しやすくなります。
- 希望条件(もしあれば): 譲渡価格や引き継ぎの条件など、現時点で考えている希望があれば伝えても良いでしょう。
本部への連絡は、電話だけでなく、書面やメールでも記録として残る形で行うことをお勧めします。これにより、後々のトラブルを防ぐことができます。
譲渡の決断をしたとしても、多分それはオーナーの胸の内の段階で、講師や生徒、保護者はまだ知らない状態だと思います。
最終的にすべての人たちが知るにしても、譲渡そのものが「成功するかどうか」はまだわからない状態です。
譲渡が失敗したり、買い手が見つからない場合には、
事業を継続するか、閉校するかの判断をすることになります。
そういう観点で見ても、大きな決断なのです。
したがって、
譲渡が成功した場合と失敗した場合の両面をオーナーは考えておくべきでしょう。
クロスM&Aでは、様々なケースを想定して最初にしっかりとヒヤリングを行います。まずは専門のアドバイザーに相談するところからスタートしてみるといいです。
2. フランチャイズ契約書の内容を徹底的に確認する
本部への連絡と並行して、ご自身が締結しているフランチャイズ契約書の内容を徹底的に確認することが不可欠です。契約書には、事業譲渡に関する以下のような重要な項目が記載されています。
- 譲渡の可否: そもそもフランチャイズ加盟店としての地位を譲渡できるのか、それともできないのか。
- 本部の承認: 譲渡に本部の承認が必要かどうか。必要であれば、その条件や手続き。
- 譲渡対価に関する規定: ロイヤリティの計算方法や、譲渡対価の一部を本部に支払う必要があるかなど。
- 新オーナーの資格: 新しいオーナーに求められる条件(例えば、教育業界での経験、財務状況など)。
- 違約金に関する規定: 本部の承認なしに譲渡した場合の違約金など。
- 守秘義務: 譲渡交渉の過程で知り得た情報の取り扱いについて。
これらの条項を正確に理解しておくことで、今後の譲渡交渉や手続きをスムーズに進めることができます。不明な点があれば、必ず本部に確認するようにしてください。
また、そういう契約書はときに、言い回しによってどう解釈すればいいのかが判然としないものがあります。しかしながら、FC加盟契約の際は、署名押印しているはずですので、その内容を軽視することはできません。
とは言え、どこのフランチャイズ本部においても「閉校」で辞められるよりは、誰かが引き継いでくれたほうがいいと思っているのが本音でしょう。
そのため、決まり事としては、きつめの文言が書かれていたとしても、状況によっては柔軟な対応をしてくれる本部もございます。
3. 本部との綿密な連携体制を築く
フランチャイズ本部との関係は、譲渡プロセスにおいて非常に重要です。本部は、ブランドイメージの維持や他の加盟店への影響を考慮するため、譲渡に関する審査を厳格に行うことがあります。そのため、本部との綿密な連携体制を築き、情報を共有しながら協力して進めていく姿勢が求められます。
具体的には、以下の点に留意しましょう。
- 定期的な進捗報告: 譲渡交渉の進捗状況を定期的に本部に報告します。
- 必要書類の提出: 本部が求める書類(財務諸表、生徒数推移、譲渡契約書案など)は速やかに提出します。
- 面談・審査への協力: 新しいオーナー候補者が決まった際には、本部による面談や審査が実施されることがあります。これに積極的に協力しましょう。
- 本部の意向の尊重: 本部が譲渡について特定の意向を持っている場合、可能な範囲でそれを尊重する姿勢も重要です。
本部によっては、M&Aの専門部署を設けていたり、提携しているM&A仲介会社を紹介してくれたりすることもあります。そのようなサポートがあれば積極的に活用することで、より専門的なアドバイスを受けながら譲渡を進めることができます。
その際に自分自身と買い手との直接交渉ができる場合も多いですが、交渉の仕方を間違えてしまうと、折り合いがつかずに長引いてしまったり、感情面が出てしまって頓挫してしまうことも往々にしてあるのです。
売り手としての心境、買い手としての心境は、表からは見えない何がありますので、その点は要注意です。
クロスM&Aのアドバイザーは、学習塾と習いごとを専門にしています。
自らが、開校、閉校、買収、譲渡のすべてを経験し、自らが教室長、マネージャー、エリアマネージャー、統括マネージャーとしての勤務経験があります。
いうならば、あまり知らないことがありません。
是非、弊社のアドバイザーをご指名ください。
4. 新オーナー候補者の選定と本部による審査
譲渡を検討するにあたり、新オーナー候補者を探すことになります。候補者の探し方は様々ですが、以下の方法が考えられます。
- M&A仲介会社の利用: 学習塾・習いごと教室の譲渡に特化したM&A仲介会社に相談すると、多くの候補者と効率的にマッチングできます。
- 本部の紹介: 上述の通り、本部が候補者を紹介してくれるケースもあります。
- 知人・従業員への打診: 身近な人物で引き継ぎたいという人がいる場合もあります。
新オーナー候補者が決定したら、必ずフランチャイズ本部による審査を受ける必要があります。この審査では、新オーナーの経営能力、財務状況、フランチャイズ事業への理解度、そして最も重要なのが「フランチャイズの理念や文化への共感」などが重視されます。本部の審査に通過しなければ、原則として譲渡は成立しません。
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この部分はとても大切なところです。
審査をスムーズに進めるためには、新オーナー候補者に対して、事前にフランチャイズ契約の内容や本部の要求事項を十分に説明し、理解を深めてもらうことが重要です。
さて、ここで審査を受ける新オーナー候補者へ、ただ単に「審査が必要ですので」ということを伝えるよりも、
やはり買い手の方の気持ちにきちんと寄り添って、
具体的にどのような内容で、どのような点に留意すべきなのかを事前にしっかりと伝えてあげることも重要です。
このような細かい配慮はクロスM&Aが得意とするところです。
買い手の満足がよい譲渡につながる!
買い手が満足しなければ譲渡は途中破断になる可能性もある!
この点をよく吟味されて、是非、業者選定の際は仲介者となるアドバイザーを見極めてみてください。
5. 譲渡契約書の締結と名義変更
本部の審査を通過し、新オーナーが決定したら、譲渡に関する最終的な条件交渉を行い、譲渡契約書を締結します。
この契約書には、譲渡対象となる資産(生徒リスト、備品など)、譲渡価格、支払条件、引き継ぎ期間、従業員の処遇、競業避止義務など、様々な項目が盛り込まれます。
特に重要なのが、フランチャイズ契約の名義変更(または新オーナーとの新規契約)に関する条項です。多くのケースでは、既存のフランチャイズ契約を解除し、新オーナーと本部との間で新たなフランチャイズ契約を締結することになります。この際、本部が定める加盟金や保証金が必要となる場合もありますので、事前に確認が必要です。
譲渡契約書の作成にあたっては、仲介者を通さない、いわゆる直接取引の場合には一番注意を要します。
契約書を介さない取引、例えば口頭でのやり取りも民法上も契約としてみなされますが、それはどこにも証拠となるものがありません。
言った、言わないの話になってしまいます。
ですから、契約書は絶対に必要です。
6. 引き継ぎと運営サポート
譲渡契約が締結され、名義変更が完了したら、いよいよ新オーナーへの引き継ぎです。
既存保護者と生徒への周知、従業員への説明、教室運営に関するノウハウの伝達など、円滑な引き継ぎが今後の事業継続に大きく影響します。
フランチャイズ本部も、新しいオーナーがスムーズに運営を開始できるよう、運営サポートを提供してくれるはずです。研修プログラムの提供、教材の供給、マーケティング支援など、本部のサポートを最大限に活用しましょう。
フランチャイズの良い点は、ノウハウがあること、長年運営してきたブランド力があること、様々なシステムがあること、が挙げられます。
また、担当のSV(スーパーバイザー)がつくことがほとんどで、定期的な情報提供もしてくれます。
もし、弊社のCROSS M&A (クロスM&A)の専任アドバイザーを仲介者として選定してくださった場合は、本部からの手厚い運営サポート以外にもさまざまな面で運営補助が出来ますので、ご安心ください。
また、旧オーナーと新オーナーの間で、引き継ぎ期間中のサポート体制や、譲渡後の質問対応などについて、事前に明確な取り決めをしておくことも大切です。これにより、新オーナーが安心して事業をスタートできるようになります。
7. 専門家のアドバイスを活用する
フランチャイズ加盟の学習塾・習いごと教室の譲渡は、法務、税務、労務など多岐にわたる専門知識が必要となる複雑なプロセスです。そのため、以下の専門家のアドバイスを積極的に活用することをお勧めします。
- M&A仲介会社: 候補者探し、条件交渉、契約書作成支援など、譲渡プロセス全般をサポートしてくれます。フランチャイズ事業の譲渡実績が豊富な会社を選ぶと良いでしょう。
- 弁護士: 契約書のリーガルチェック、法的な問題解決、トラブル防止のためのアドバイスを提供します。
- 税理士: 譲渡にかかる税金(消費税、所得税、法人税など)の計算、申告、節税対策についてアドバイスします。
- 司法書士: 不動産の名義変更など、登記に関する手続きを行います。
これらの専門家と連携することで、安心して譲渡プロセスを進めることができます。
ちなみに弊社は、M&A仲介会社にあたります。
士業の方へ依頼の際は、無料というわけにはいかないと思いますし、学習塾や習いごとという独特のフィールドやフランチャイズ案件には気を付けなくてはならないポイントもありますので、
無料でアドバイスができるクロスM&Aにご用命ください。
(※無料=適当という意味ではありません)
まとめ
フランチャイズ加盟の学習塾・習いごと教室の譲渡は、多岐にわたる手続きと専門知識が求められるため、オーナー様お一人で進めるのは非常に困難です。
フランチャイズ本部への速やかな連絡、契約内容の確認、本部との連携、そして専門家のアドバイス活用が成功の鍵となります。
計画的に、そして慎重に準備を進めることで、これまでの努力が実り、円滑な事業譲渡を実現することができるでしょう。新たなステージへ向かうための一歩を、自信を持って踏み出してください。
