学習塾において、春期面談時に押さえるべきポイント ◆◆◆8つの重要項目について

学習塾における春期面談は、ただ進級の手続きをするだけではありません。
実は一年で最も大切な面談と言っても過言ではないのです。
保護者との信頼関係を再構築し、生徒の学習意欲に火をつけ、そして塾としての経営基盤を固めるための最重要イベントです。
冬の寒さが和らぎ、新学年への期待と不安が入り混じるこの時期、保護者が求めているのは「わが子の将来に対する具体的なビジョン」です。
ここでは、8つの重要項目を網羅し、かつ「この塾に任せておけば安心だ」と確信させるための、締まりのある面談シナリオとそのポイントを徹底解説します。
それでは一つ一つ見て参りましょう。
1. 春期面談の意義とマインドセット
春期面談の最大の目的は「共通認識の形成」です。昨年度の成果を振り返りつつ、視線を未来へと向けさせることが不可欠です。
面談に臨む担当者は、教室責任者であることが望ましいです。
上にも書いたように面談は手続きではありません。さらに単なる報告者もありません。
一言で言うと現状確認と次年度の作戦会議のようなものです。
教室長・塾長と言われる人たちは生徒の人生を共に支えるパートナーであり、教育のプロフェッショナルとしての「演出」も求められます。
データに基づいた客観的な分析と、生徒の性格を熟知しているからこそ言える主観的な励まし。この両輪が保護者の心を動かします。
従って、事務的な内容に終始するような面談では、あまりにも軽くなってしまいます。まずは春期面談の意義を知っておきましょう。
2. 次年度の継続確認:信頼の再定義
面談の冒頭、あるいは適切なタイミングで必ず行うべきなのが、次年度の通塾継続の確認です。しかし、いきなり「続けますか?」と問うのは無粋です。
【継続しやすい学年】
これは、例えば小4から小5、中1から中2、高1から高2など、受験に絡まない学年から受験年度に至らない学年への進級の場合です。(中学受験は別として)
【継続かどうかを保護者がシビアに判断する学年】
新6年生(中学受験の場合)、新中学3年生、新高校3年生がそこに該当します。
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【実例(実話)】
ここで語るのは、私の失敗談です。
学習塾運営をして5年目ぐらいのときでした。運営初年度のしかも一番最初の生徒さん!今でも名前を憶えているのですが、その子の妹さんが中学1年になって入塾されました。早くから塾通いをされたこともあり、成績としてはだいたい8割はキープでき、だんだんと本人に欲が出てきて5教科で410点、420点と堅調推移していたのがちょうど中学2年の終わりでした。
新年度、つまり今度は中3になる、いよいよ受験生だというときに、突然の退塾のご連絡でした。
ここからが私の失敗です。
実はこの女子生徒さんは、ある講師が嫌いだったのです。しかしその講師は教室全体からすると、リーダー格であり、非常にスキルが高く、生徒からの信頼が総じて厚い講師でしたので、なぜ嫌いなのかがわかりませんでした。
後でわかったことですが、「発言が嫌い」だったようです。
そしてどちらかというと男子生徒に絶賛人気の講師でしたので、休み時間におけるその講師と男子生徒の会話がいかにも押さなくてダメだったみたいです。
一応はそのいうことも聞いてはいたのですが、私は即時対処することが出来ていませんでした。
「これから受験生になり、より一層数学のレベルは求められることになるので、この講師の担当を外すのは非常にもったいない」
というような内容で保護者に理解を求めようとしたのです。
当時、私の中では、数学を教えるのだったらこの講師の右に出るものはいない!ぐらい考えていましたし、その女子生徒が志望校として挙げていた学校へ本当に合格を狙うのであれば、この講師は数学担当にしておいたほうがいいと勝手に思い込んでいたのです。
これが大問題でした。
その後、お母さまより退塾のご連絡があり、とめることは出来ませんでした。それどころか、この女子生徒さんの紹介で入塾していた他の3名の子もほどなく退塾というお知らせが来たのです。
芋づるで新年度を迎える直前に4名の新受験生を失いました。
一事が万事、まさにその通りです。
あのとき、しっかりとご本人と保護者の意見を受け入れてすぐに担当変更すれば、きっとこの事態は防げていたと思います。
やはり何かしらの生徒本人や保護者からもメッセージは、どんなに小さなことでも全力で真摯に向き合いってすぐに解決することが肝要だということです。
成果の共有から入る
まずは、この一年間で生徒がどのような成長を遂げたかを具体的に伝えます。
成績の向上はもちろんですが、学習習慣の変化、質問の質の向上、授業態度の改善など、数値化しにくい部分を褒めることが重要です。
期待感の醸成
その上で、「新学年ではさらにここを伸ばしていきたい」という展望を語ります。継続の確認は、契約の更新作業ではなく、共に歩む決意の再確認であるべきです。
保護者が「もちろんです、よろしくお願いします」と自然に口にできる空気を作ることが、締まりのある面談の第一歩です。
3. 次年度の授業計画:目標から逆算した設計図
学年が上がれば、学習内容の難易度が上がります。
特に数学や英語などの積み上げ科目は、春の立ち上がりがその年全体の成否を分けます。
具体的スケジュールの提示
いつまでにどの範囲を終わらせるか、定期テスト対策はどう行うか、部活動との両立をどうサポートするか。これらを可視化した計画表を提示してください。
個別最適化された提案
この場合大きなポイントは、個別に考案されている内容であることを保護者にしっかりとアピールすることです。
全体的なカリキュラムだけでなく、
「〇〇さんの場合は、4月のうちに前学年の図形分野を復習しつつ、予習を進めます」といった、個別の弱点克服プランを組み込むことで、提案の説得力は格段に高まります。
4. 次年度使用テキストの選定:武器の重要性を説く
テキストは学習における武器です。なぜそのテキストを使用するのか、その意図を明確に説明します。
教材の役割を明確にする
基礎固め用のテキストなのか、応用力を養うためのものなのか。あるいは、志望校の傾向に合わせた演習書なのか。教材の特性を説明することで、日々の宿題や授業内容に対する保護者の理解が深まります。
視覚的な訴求
実際に使用するテキストを手に取り、中身を見せながら説明するのが効果的です。「このページにあるような問題が、次の夏休みまでに自力で解けるようになることを目指します」と具体例を出すことで、学習のイメージを共有できます。
※テキストについては、塾側が推奨するテキストを保護者がNGを出すことはほぼありません。テキストは必須のものという認識はお持ちですから、推奨したテキストを購入してもらうことが出来ます。
但し注意しなければいけないが、テキストの難易度と量です。
全員が同じテキストを使って・・・・というのは、集団塾の場合はありますが個別指導塾の場合にはないでしょう。
かと言って、生徒さんが仮に50名いたならば、その全員がバラバラのテキストを持つということもきっとないと思います。
生徒ごとの進捗状況と理解度に合わせたテキストを使っていくようにします。
量の部分、これが少し悩ましいです。
気を付けてほしいのは、中学受験及び高校受験の生徒さんです。
【中学受験の生徒】
基本は4科目受験を軸に進めていきます。4年、5年、6年をその対策期間として定めるのであれば、
その3年間で12×3の36冊ぐらいは普通に使うものとしてとらえてください。
4年の算数テキストの上と下、補助テキスト(計算系統)の上下・・・これで算数だけで4冊
4年の国語のテキストの上下、補助テキスト(漢字系統)の上下・・・これで国語だけで4冊
あとは、4年の理科と社会です。こちらも上下があるため、合計4冊
これで年間12冊です。
この事例は偏差値レベルが50近辺までの学校受験です。
さらに偏差値を60、それ以上と狙う場合には、この内容でも不足するはずです。
【高校受験の生徒】
5教科が基本です。
東京の都立高校などは実技4科目が2倍評価になっていますが、テキストベースでとらえた場合は、5教科を重視して良いと思います。
高校受験に向けた内容とすると、
①3年生の内容を教科書準拠で進められるワーク系テキスト
②1~3年の内容に及んだ入試対策まで使用できる演習向けのテキスト
特に英語と数学と国語は、この①②が揃っていたほうが良いです。
そうすると、
例えば、新中学3年生の場合は、
国語(中3)のワークテキストと演習用テキスト(1年~3年)で4冊
数学(中3)のワークテキストと演習用テキスト(1年~3年)で4冊
英語(中3)のワークテキストと演習用テキスト(1年~3年)で4冊
理科(中3)のワーク内容と演習用がまとまったテキストを1年~3年で3冊
社会(中3)のワーク内容と演習用がまとまったテキストを地理2冊、歴史2冊、公民1冊で5冊
このぐらいが必要ですので20冊内外のテキストを使うことになります。
このように、旧学年から新学年に上がり、なおかつ受験がからんできますと、そこで使われる武器となるテキストも相当多くなります。
5. 新受験生への特別対応:覚悟を共有する
新中学3年生や新高校3年生、あるいは中学受験を控える新小学6年生にとって、この春期面談は「受験生としての出陣式」です。
入試制度の正確な解説
最新の入試倍率、合格ラインの変化、内申点の重要性など、プロならではの情報を伝えます。保護者が抱く「今の入試はどうなっているのか」という不安を払拭してください。
逆算型の年間計画
入試本番から逆算し、夏までに基礎を完成させ、秋以降に過去問演習に入るという大まかなロードマップを示します。受験生としての自覚を促すために、あえて少し厳しい現実(必要な勉強時間や現状との乖離)を伝えることも、信頼を得るための誠実さとなります。
6. 会場模試の案内:客観的な立ち位置の把握
塾内テストだけでなく、外部の会場模試を受ける意義を強調します。
外部模試のメリット
塾という慣れた環境ではなく、緊張感のある会場で試験を受ける経験は、本番のメンタル強化に直結します。また、分母の大きいデータによって、志望校判定の精度を高めることができます。
スケジュールへの組み込み
「いつ、どの模試を受けるべきか」をあらかじめ年間計画に組み込んでおき、その場で申し込みの重要性を伝えます。模試の結果をどう分析し、その後の指導にどう活かすかまで言及することで、模試を単なるイベントに終わらせない姿勢を示します。
新受験生は、模試は好むと好まざるにかかわらず必須だと思ってください。
可能であれば、春のこの面談のときに年間の模試受験を確定させてしまったほうがいいのです。つまり、例えば6月から本格的に模試がスタートしたとして、だいたい年間で6回程度は受けてほしいという旨は堂々と伝えて大丈夫です。
7. 英検受験の推奨:目に見える称号を獲得する
近年、入試における英語検定の優遇措置は拡大の一途をたどっています。これを単なる検定試験としてではなく、入試を有利に進めるための戦略として提案します。
受験メリットの提示
内申点への加点、試験免除、あるいは入試当日の得点換算など、具体的なメリットを伝えます。
成功体験の創出
「次の6月検定で〇級合格を目指しましょう」と期限を切ることで、生徒の短期的な目標が定まります。合格という成功体験は、その後の主要科目の学習にもポジティブな影響を与えます。塾としてどのような対策講座を用意しているかも併せて案内してください。
8. 春期講習の提案:新学年へのロケットスタート
これまでの項目をすべて踏まえた上で、最後に行うのが春期講習の提案です。これは「追加の授業を売る」のではなく「必要な対策を提示する」というスタンスを貫いてください。
必要性の裏付け
面談の中で明らかになった弱点、あるいは新学年でつまずきやすい単元。これらを克服するために、春休みというまとまった時間をどう活用すべきか。講習はそのための最短ルートであることを伝えます。
講習のゴール設定
「この講習が終わった時、〇〇という単元が得意になっている状態にします」という明確なゴールを約束します。
金額やコマ数の説明よりも先に、その投資によって得られる「結果」を語ることが、保護者の納得感を生みます。
↑ ↑ ↑
重要です!
9. 締まりのある面談にするためのテクニック
面談の内容が良くても、終わり方が曖昧では印象が薄れてしまいます。
決定事項の再確認
面談の最後には必ず、今日決まったこと、今後保護者にお願いすること、塾側で進めることを箇条書きのように復習します。
期待の言葉で締める
最後は、生徒の可能性を信じているというメッセージで締めくくります。
「〇〇さんなら、この高い目標も必ず達成できると信じています。全力でサポートさせていただきます」という真摯な言葉が、保護者の安心感と満足度を最大化させます。
10. まとめ:春期面談は「未来の共有」
学習塾における春期面談は、単なる事務連絡の場ではありません。保護者と講師が手を取り合い、生徒という一人の若者の未来を真剣に考えるための神聖な時間です。
- 継続確認で絆を深め
- 授業計画で安心感を与え
- テキストで戦い方を示し
- 受験生には覚悟を促し
- 模試と検定で戦略を練り
- 春期講習で具体的なアクションを起こす
これらの要素が一本の線でつながったとき、その面談は極めて価値の高いものとなります。講師の情熱と論理がバランスよく伝わるよう、入念な準備をして臨んでください。
春の面談を成功させることで、その年度の塾の雰囲気は決まります。生徒たちが自信を持って新学年のスタートラインに立てるよう、最高のアシストを行いましょう。

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