理科の学び方改革!生徒を惹きつけ「得意」を増やす実践的アプローチ

中学以降は受講教科ランキング3位、質問の多さランキング2位
①受講教科ランキング3位
小学生までは、「算数」「国語」が鉄板です。一番多いのは算数で次いで国語です。3番目は?と聞かれたら、中学受験の生徒さんは理科で、学校補習の生徒さんは英語です。
これが中学以降になると様相が変わってきます。「英語」「数学」が鉄板教科で、3番目は国語か理科ですが、夏期講習とか冬期講習での選択が多くなる、または提案しても受け入れてくれるのは、「理科」です。
②質問の多さランキング2位
小学生の場合は、やはり算数がダントツで質問が多いです。中学受験がらみになりますと、算数の次は理科です。
中学生になると、これも数学がダントツです。そして次の教科としては、理科です。そして高校生では物理とか化学です。
③理科の出題傾向変化
近年、大学入試における理科の出題傾向が大きく変化し、単なる知識の暗記だけでは高得点を狙うことが難しくなってきています。
特に、実験や観察に基づいた思考力・判断力を問う問題が増加傾向にあります。これは、理科という科目が持つ本来の姿、つまり「なぜ?」を追究し、論理的に物事を解き明かす力を重視する教育の流れを反映していると言えるでしょう。
高校入試においては、8~9割が実験や観察にちなんだ問題です。これは日常生活の中にある様々な現象を理科的に解決していくという部分もありますし、理科の分野はいかにも私たちの生活に密着したテーマが多いということも表しています。
例えば、植物、動物、天気、地震、火山、磁石、電化製品、物理現象、化学変化など、私たちが日々の生活で目にする自然現象や身の回りの物事が、理科の知識や法則と深く関係しているのです。
④数学が苦手な生徒は理科も苦手になりやすい
理科には計算要素が多いことから、数学が苦手な生徒が理科は大得意!とはなりにくいです。数学が苦手であれば、たいてい理科も苦手教科に挙げています。
化学、物理は勿論のこと、生物分野においても「蒸散、光合成、細胞分裂」などでも計算が登場しますし、地学分野でも「地震、天体、気象」などで計算が登場します。
また理科の計算は、たいてい単位変換が必要なものが多いため、苦手に拍車をかける要素になっています。
①②③④からの考察
多くの生徒が理科を「苦手科目」に挙げている現状を考察していきますと、学習塾運営における「理科対策」が軽視できるものではないことがわかると思います。
実際のところ、運営させれている教室長の皆様も、生徒の理科対策に頭を悩ませるシーンがあるのではないでしょうか。
特に物理や化学は、数学的な思考を要するため、数学が苦手な学生は理科も敬遠しがちで、文系講師が理科を指導できる可能性はかなり低いです。
例えば、生物なら指導可能だが、他は自信がない・・・
これは講師たちの高校生時代の履修や受験科目によるものです。
また、理科の学習範囲は物理、化学、生物、地学と多岐にわたり、各分野をバランスよくマスターするのは容易ではありません。さらに、学校の授業ではカリキュラムや時間の制約から、すべての実験を網羅的に行うことは難しく、教科書や問題集だけでは実感が伴わない学習に陥りがちです。
しかし、この現象、状況をチャンスと捉えることも出来ます。
こうした状況は、塾経営者である皆様にとって大きな機会でもあるのです。
他塾との差別化を図り、生徒を惹きつけるための鍵となるのが、教科書から飛び出して、実際に手を動かし、目を凝らす「実験と観察」です。
生徒の理科嫌いを克服させ、塾への定着率を向上させるための具体的なアプローチを提案します。
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【実例(実話)】
詳細に入る前に、またまた実例(実話)でこんなことがあったのです!という報告をさせて頂きます。
理数系の講師と「最近、理科が苦手な子が増えてきたよね」という会話が起点でした。
「理科はイメージ教科ですから、目に飛び込んでくる実際の像があったほうがいいんですよね」
その講師は言いました。
「ん?それは具体的に言うと?」
「いや、最近の入試ってほとんどが実験関連じゃないですか。でもこの間太郎君が、この実験やったことがないって言ってたんですよ。だから教科書とかの写真でイメージするしかないんですね。そうすると印象薄くなりますよね」
こんな会話がきっかけになって、
「じゃ、今度、理科のイベントやってみるか?実験の」
ということで、理科の実験イベントを中学生対象に実施することになったのです。これは大盛況でした。
中学1年生から3年生までが参加できるように工夫しました。
選んだ内容(単元)は以下です。
【中学1年分野】
・光の分野(レンズの虚像、実像など)
【中学2年分野】
・電流、電圧、抵抗
【中学3年分野】
・月の満ち欠け、惑星の動き、運動とエネルギーなど
これらは、どちらかというと学年の後半に習う単元ですので、冬の学年末テスト前の実施がベストです。
中学3年生は受験期でもあるため、受験生でも苦手にする光や電気を扱うことで、全員参加になります!
なぜ今、塾の指導に「理科の実験」が有効なのか?
理科の学習において、実験は単なる補足的な活動ではありません。むしろ、それは理科という学問の本質そのものを理解するための最も重要な手段であり、塾の付加価値を高める強力なツールです。
1. 抽象的な概念の具現化
物理の「力のモーメント」や化学の「化学平衡」など、理科には目に見えない抽象的な概念が多く登場します。これらを文字や数式だけで理解しようとすると、どうしてもイメージが湧かず、苦手意識につながります。
例えば、「オームの法則」を学ぶ際、単にV=IRという式を暗記するだけでは不十分です。生徒たちが実際に豆電球、電池、抵抗器を使って回路を組み、電圧計や電流計で数値を測定することで、「電圧を上げると電流が増える」という現象を五感で体感できます。この経験を通じて、数式が単なる記号の羅列ではなく、現実の現象を説明するためのツールであることが腑に落ちるのです。
2. 論理的思考力の養成
実験は、仮説を立て、それを検証し、結果を分析するという一連の科学的プロセスを追体験する絶好の機会です。塾の指導でこのプロセスを丁寧に行うことで、生徒たちは入試で問われる思考力・判断力の根幹をなす力を養うことができます。例えば、ある植物の生育に光の色が影響するかどうかを調べる実験では、「青い光の下ではよく育つ」という仮説を立て、実際に赤い光、青い光、緑の光を当てて比較します。この過程で、「なぜこの結果になったのか?」と深く考察する力が育まれます。
3. 記憶の定着率向上と集客効果
人間の脳は、視覚、聴覚、触覚など複数の感覚を同時に使うことで、より深く、長く情報を記憶することができます。
塾での実験では安全性も第一に考えなくてはいけませんので、全ての実験を出来るわけではありませんが、正しく運営することによって、非常に多くのメリットが得られます。
そして子供たちには、教科書では得られない多様な情報をインプットさせることができるのです。
例えば、金属のイオン化傾向を学ぶ際、実際に銅と銀を硝酸銀水溶液に入れて、銀が析出する様子を目の当たりにすれば、その光景は強烈な印象として記憶に残ります。この「体験」が、知識を単なる情報ではなく、自分自身の経験として定着させます。
さらに、この「体験」は強力な集客ツールにもなり得ます。
教室の企画として「理科の実験」を行ったところ大盛況だったという実例は実はけっこう多いのです。それらが示すように、生徒や保護者は「面白そう」「楽しそう」という体験に強く惹かれます。
学校ではなかなかできない本格的な実験を塾で提供することで、生徒の学習意欲を高めるだけでなく、塾の魅力そのものを高め、新規生徒の獲得や口コミによる評判向上につながります。
家庭学習を促す「実験・観察」のヒント
塾での指導に加え、生徒が家庭でも理科への興味を持続させるための工夫も重要です。身近なものを使って、家庭でも手軽にできる理科の実験は数多くあります。
1. 化学変化の観察
- 酸とアルカリの実験:レモン汁(酸性)と重曹水(アルカリ性)を混ぜると泡が出る、という簡単な実験です。紫キャベツの煮汁を試験紙代わりに使えば、身の回りにある様々な液体が酸性かアルカリ性かを調べることができます。
- 結晶の生成:ミョウバンや食塩を飽和水溶液にして、ゆっくりと冷やすと美しい結晶ができます。条件を変えて、できる結晶の形や大きさを比較するのも面白いでしょう。
2. 物理現象の体験
- 光の屈折:コップに水を入れて、そこにストローを差し込むと、ストローが折れ曲がって見えるのはなぜか?という素朴な疑問から、光の屈折について考えるきっかけになります。
- 浮力と比重:水に様々なものを入れて、浮くか沈むかを試してみましょう。身の回りにあるもので、「同じ大きさなのに浮くものと沈むものがあるのはなぜか?」と考えることで、浮力や比重の概念を直感的に理解できます。
3. 生物・地学の観察
- 植物の成長:豆や種を植えて、発芽から成長するまでの様子を毎日観察日記に記録してみましょう。水やりや日光の当て方を工夫して、成長の違いを比較するのも良い学習になります。
- 天体観測:晴れた夜、月や星を観察してみましょう。スマートフォンのアプリを使えば、星座の位置や惑星の動きを簡単に知ることができます。季節ごとに見える星座が変わる理由や、月の満ち欠けのしくみを考えるきっかけになります。
これらの実験・観察は、高価な機材を必要とせず、好奇心を刺激する入口として非常に有効です。生徒にこれらの実験を推奨することで、塾の外でも理科の学習が継続されるよう促すことができます。
まとめ:理科は「科学する心」を育む科目
こうして見てみると、理科という教科を単に点数を取るための教科とだけ捉えるのは、少々もったいないような気がします。
世のお父さんお母さんたちも小学生の頃に習った理科は、本当に楽しくてワクワクするような体験があたはずです。
ところが、それらが学問じみてくると、かなり難しい教科に変わってしまい、いつしか好きだった理科があまり得意ではない教科になってしまい、理科嫌いに変わってしまう・・・そんなこともあるかもしれません。
理科という教科を違った視点で見てみるといいです。
それは、私たちが住む世界の不思議を解き明かし、論理的に物事を考える「科学する心」を育むための科目なのだという見方です。
実験や観察を通じて、教科書の中の知識が現実と結びつく瞬間を生徒に体験させてあげてください。その経験は、理科の面白さを再発見させてくれるだけでなく、入試問題で問われる深い思考力や判断力を養う上で、何物にも代えがたい財産となります。
理科の学習に「実験」というスパイスを加えることで、生徒の苦手意識は克服され、知識は生き生きとしたものに変わるはずです。学習塾の差別化戦略として、ぜひ理科の実験を積極的に取り入れてみてください。

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