学習塾 新規開校を成功させる!最適なテキスト選定と教材会社の選び方
学習塾の新規開校は、夢と希望に満ちた一大プロジェクトです。
しかし、その成功を左右する重要な要素の一つが、生徒の学力向上に直結する「テキスト」の選定です。
どのようなテキストを揃えるべきか、どの教材会社を選べばよいのか、悩む塾長も多いのではないでしょうか。
本記事では、学習塾の新規開校におけるテキスト選定の重要性、主要な教材会社、そして小学生から高校生までの各学年・目的別におすすめのテキストについて詳しく解説します。

1. 新規開校におけるテキスト選定の重要性
学習塾にとってテキストは、生徒が学習を進める上で最も身近なツールであり、指導の羅針盤となるものです。適切なテキストを選定することは、以下のような多岐にわたるメリットをもたらします。
- 指導の質の向上: 良質なテキストは、体系的に学習内容が整理されており、講師の指導をスムーズにします。また、生徒が自宅学習を進める上でも大きな助けとなります。
- 生徒の学力向上: 生徒のレベルや目標に合致したテキストは、無理なく学習を進め、着実に学力向上に繋がります。
- 保護者への信頼: 採用しているテキストが明確で、その内容を保護者に説明できることは、塾への信頼感を高めます。
- 講師間の連携強化: 複数の講師がいる場合、共通のテキストを使用することで、指導方針の統一や情報共有が容易になります。
- 経営効率の向上: 適切なテキスト選定は、教材費の最適化にも繋がります。
逆に、テキスト選定を誤ると、生徒の学習意欲の低下、学力停滞、ひいては塾への不信感へと繋がる可能性もあります。新規開校時には、入念な情報収集と検討が不可欠です。
【実例(実話)】
これは、今まで数多くの保護者様と接してきたクロスマのアドバイザーが、多く耳にする保護者のご不満です。
転塾を決めて、当方教室への入塾を決めるときなどは、以前に通っていた塾に対する不満がどうしても出て参ります。
「テキストを買わされている」という意識を持つ保護者様が比較的多いことに気づきます。弊社が運営する教室でもテキストの購入はお願いしておりますし、テキストなしで授業を進める塾はないと思いますので、この点は保護者様にも軽くお伝えしております。
しかしながら、もう少しお話を伺うと・・・
「夏になるとまたテキスト、冬になれば、またテキストと買わされるんです」
「買ったはいいけど、全く使っていないテキストもあるんです」
といった2つの内容が多いようです。
テキストの追加購入として学年が変わったときのことは受け入れているものの、次から次へと夏用、冬用と買わされることに対しての不信感、及び言われたままに購入したのはいいが、全く使っていないことに対してのお怒りという感じです。
上記からおわかりになるように、テキスト代金についての「無駄意識」は、心のひっかかりとして持っている方が多いです。
保護者は塾から受けるサービスに対してのお支払いをします。それは授業というサービスに対してです。これは最初から受け入れてくださる対価です。
受験生になって頻繁に受けることになる会場模試についても必要経費であるという考えはすぐに受け入れてくださいます。
しかしながら、物的要素としてテキストは、「必要です」と言われ買ったならば、それが学習の武器として正しく、もれなく、くまなく使われているかどうかについて、厳しい視点を持っているという事実です。
地域によっての特性や、よく選考されているテキストを知るならばテキスト会社から情報を得るのが一番効率が良い!
2. 学習塾向け教材を提供する代表的な会社
学習塾向けの教材は、一般書店で市販されているものとは異なり、塾専用に開発されたものが数多く存在します。
来塾された保護者に対して教室内の案内をする際に、テキストの説明もしていきます。
「こちらが中学生向けのテキストで、私どもの教室では、こちらの〇〇と、こちらにある■■をメインに使うことが多いです」
「そうなんですか、これは書店で買うんですか?」
「いえ、こちらにあるテキストはほとんどが塾用教材ですので書店でのお買い求めはできないのですね。また、個人の方がテキスト会社に連絡をして直販を依頼することもできないのです」
このようなやり取りもあります。
塾用として開発されたテキストの多くは、指導者の目線で意識して構成されています。また、演習問題の豊富さや解説の丁寧さ、定期テスト対策、入試対策に特化したものがほとんどです。
ここでは、学習塾向け教材を幅広く提供している代表的な教材会社をいくつかご紹介します。
- 育伸社: 小・中・高校生向けの主要教科を網羅しており、特に定期テスト対策や入試対策に強みを持つ総合教材会社です。基礎から応用まで幅広いレベルに対応したテキストが揃っています。
- 学書: 小学生から高校生まで、主要教科のテキストを開発しています。特に、単元ごとの構成が分かりやすく、自学自習にも適した教材が多いのが特徴です。
- 好学出版: 小中学生向けの教材が充実しており、特に基礎学力の定着に重点を置いたテキストが多いです。ドリル形式の教材も豊富で、反復学習に適しています。
- 文理: 学校教科書に準拠した教材や、定期テスト対策に特化した教材が強みです。基礎固めから応用力養成まで、幅広いニーズに対応しています。
- 教育開発出版: 中学・高校生向けの入試対策教材に定評があります。難関校を目指す生徒向けのハイレベルな教材も提供しています。
- 中央教育研究所:塾専用教材として豊富なラインナップがあります。中学受験のテキスト選びに困ったときには非常に便利です。
- 日本教材出版:都県版の公立高校入試対策の直前対策問題集の必勝シリーズには非常に定評があり、過去入試でまさに同じ問題が登場したこともあります。
- スプリックス:教育関連の多くの事業を営んでいる会社で、個別指導塾専用のテキストとしてフォレスタというテキストを販売しています。
これらの会社は、それぞれ特色があり、扱う教材のレベルや重点を置いている部分が異なります。新規開校の際は、各社の教材見本を取り寄せたり、説明会に参加したりして、自塾の指導方針やターゲット生徒層に合った教材を見つけることが重要です。
教材会社、テキスト会社からの情報は非常に役立つ!
教材会社・テキスト会社との付き合いが始まると、発注業務が開始されます。通常は「かけ払い」ですので、請求書が届き、引落または振込で代金を支払うようになります。
担当者もつきますので、教室へ来てくれることもあるでしょう。
新しいテキストの案内とともに、調査レポートなどを用意してくれる会社もあります。情報は非常に役立ちますし、売れ筋の教材であるとか、講師や他塾からの評判なども聞くことができます。
これらの情報はテキスト選定にきっと役立つことでしょう。
3. 各学年・目的別!人気のある塾用テキスト
次に、具体的なテキスト選びの参考として、各学年・目的別に人気のある塾用テキストを複数ご紹介します。
3.1. 小学生向けテキスト
小学生向けのテキストは、学習習慣の定着と基礎学力の構築が主な目的となります。楽しく学習できる工夫が凝らされているものや、反復演習を促すものが人気です。
- 『新小学問題集』(教育開発出版): 各教科の基礎から応用までバランス良くカバーしており、学校の授業の予習復習にも適しています。図やイラストが豊富で、子どもにも分かりやすい工夫がされています。
- 『小学問題集コア』(好学出版):小学生用の標準版問題集です。 子どものモチベーションを喚起し、中学進学後や高校入試でベストパフォーマンスを発揮できる力を育成します。
- 『ほーぷ』(育伸社):授業用テキスト、家庭学習用ドリル、定着確認用テスト(別売)がセットになった、システム型小学教材
3.2. 中学受験用テキスト
中学受験用テキストは、難易度が高く、一般的な公立中学校の学習内容を大きく逸脱するものがほとんどです。高度な思考力や応用力が問われるため、専門性の高いテキストが選ばれます。
- 『中学受験新演習』(中央教育研究所): 基礎、標準、発展と段階を追った内容で解きごたえがあります。多くの中学受験の生徒が使います。
- 『サーパス』(中央教育研究所)中堅私立~有名国立私立の中学入試対策用演習テキストです。 実際の入試問題を中心に精選収録しました。 充実した別冊解答集がついています。
- 『計算日記』『漢字日記』(中央教育研究所):小4上下から小6上下まである計算系、漢字系の鉄板テキストです。
- 塾オリジナルのテキスト: 大手中学受験塾(SAPIX、四谷大塚、日能研など)は、長年の指導経験に基づいた独自のテキストを使用している場合が多く、その質の高さは折り紙つきです。これらのテキストは一般には入手困難ですが、塾のノウハウが詰まっています。
3.3. 中学生向けテキスト
中学生向けのテキストは、定期テスト対策と高校受験対策が主な柱となります。内申点対策や入試の出題傾向を分析したものが人気です。
- 『新中学問題集』シリーズ(教育開発出版): 中学生向け塾用テキストの定番中の定番です。基礎から応用、そして高校入試対策まで幅広く対応しており、多くの塾で採用されています。解説も丁寧で、自学自習にも適しています。
- 『Keyワーク』シリーズ(教育開発出版): 学校の教科書内容に準拠しており、定期テスト対策に特化しています。基礎固めを重視する塾におすすめです。
- 『シリウス』シリーズ(育伸社): 少しハイレベルな内容も含みます。難関高校を目指す生徒向けの演習問題が豊富に収録されています。基礎から標準、応用を学ぶのに最適で、私立中学での教科書として使われるケースがあります。
- 『iワーク』シリーズ(育伸社):教科書準拠教材として、採用している学習塾も多く、私立中学での学校利用テキストとして採択されているケースもあります。
- 『ウイニング』シリーズ(好学出版):基礎固めから高校入試対策まで 講義から家庭学習まで学力レベルにあわせて指導できる中学生用標準問題集。知識の習得から公立高校入試に向けた実戦的な演習までこの1冊にまとまっています。
- 『必修テキスト』シリーズ(日本教材出版):定期テストの得点アップを図る教科書準拠版テキストとして根強いファンがいます。
- 『必勝シリーズ』(日本教材出版): 東京、埼玉、千葉、神奈川の公立高校向けの直前対策として多く使われます。最後の仕上げを過去問と一緒に紐解いていくとよいです。
3.4. 高校生向けテキスト
高校生向けのテキストは、大学受験対策が中心となります。科目別に専門性の高いものが多く、志望大学のレベルや学部によって選ぶテキストが大きく異なります。
また、高校生の場合は、例えば単語系のテキストであれば、学校で指定されたものがあるため、学校で使っているものをそのまま使うことが出来ます。市販のテキスト、参考書でも秀逸なものがたくさんありますので、それらを選定するのも手でしょう。
- 『リード問題集』シリーズ(教育開発出版): 幅広いレベルに対応できる高校生指導書の基準書として、古くから多くの塾で採用されているテキストです。
- 『高校新演習』シリーズ(中央教育研究所):偏差値レベル別でベーシック、スタンダード、プログレスというシリーズがあり、難易度分けしやすいテキストです。
- 『Next Stage 英文法・語法問題』(桐原書店): 英文法・語法の問題集として絶大な人気を誇ります。大学入試の英語対策には必須とも言える一冊です。
- 『Vintage 英文法・語法』(いいずな書店): Next Stageと並ぶ英文法・語法の定番問題集です。解説が丁寧で、理解を深めるのに役立ちます。
- 『エバーグリーン』(いいずな書店):Next Stageと併用すると効果的です。英語の参考書として、英語が苦手な生徒にも覚えやすい仕組みで、熱烈なファンが多いです。
- 『速読英単語 必修編・上級編』(Z会出版): 長文読解を通して単語力を養うユニークな形式の単語帳です。実践的な英語力を身につけたい生徒におすすめです。
- 『河合塾シリーズ』『駿台シリーズ』などの予備校出版テキスト: 大手予備校が長年のノウハウを結集して作成したテキストは、大学受験の傾向を深く分析しており、非常に質が高いです。入試直前の演習にも最適です。
- 各大学の赤本・青本(教学社): 志望大学の過去問集は、高校生にとって最も重要なテキストの一つです。出題傾向や時間配分を把握するために不可欠です。
4. テキスト選定の具体的な進め方
上記で紹介したテキストはあくまで一部であり、世の中には膨大な種類の塾用教材が存在します。またテキストによっては、複数のテキスト販売会社から同様に購入できるものがあります。
非常に種類が多いため、あれも・・・これも・・と買ってしまいがちですが、あまりにもバラバラになってしまうと、管理も大変です。
近隣で使われているテキスト、評判の良いテキスト、そして何より一番いいのは、講師たちが「使いやすい!」「わかりやすい!」と感じるテキストは、いわゆる「当たりテキスト」だと思っていいでしょう。
集団塾の場合と個別指導塾ではアプローチ方法が異なります。集団塾の場合には、基本はみな同じテキストを使います。
個別指導塾の場合には、生徒の学力に合ったものを教室長、塾長、講師が協議して決めることになるでしょう。この場合の注意点は、生徒が30人いたら30人全員が異なるテキスト・・・となると、講師の混乱、管理のしにくさ、塾用テキストとして用意しなくてはならない、など非常に煩雑になります。これはかえって指導の質低下につながりかねませんので、大方のレベルに応じたものをメインテキストとして選定しておくとよいでしょう。
新規開校時に最適なテキストを選定するためには、以下のステップを踏むことをお勧めします。
- 塾のコンセプトとターゲット生徒層の明確化: どのような生徒を対象とし、どのような学力向上を目指すのかを具体的に設定します。「個別指導塾で基礎学力向上を目指す」「少人数制で難関校合格を目指す」など、明確なコンセプトがテキスト選定の指針となります。
- 教材会社の情報収集と資料請求: 上記で挙げた代表的な教材会社以外にも、多くの会社があります。インターネットで情報を集め、興味のある会社の資料を請求しましょう。
- 教材見本の取り寄せ・比較検討: 実際にテキストを手に取り、内容、レイアウト、問題数、解説の詳しさなどを比較検討します。講師陣がいれば、意見を募るのも良いでしょう。
- 生徒のレベルに合わせた複数種類の選定: 全ての生徒に同じテキストが合うわけではありません。基礎レベル、標準レベル、応用レベルなど、生徒の学力に合わせた複数種類のテキストを用意できると、よりきめ細やかな指導が可能になります。
- 定期的な見直しと改善: 開校後も、テキストの効果や生徒からのフィードバックを定期的に見直し、必要に応じて改善していくことが重要です。
☆テキストと連動した定期テスト対策用システム【公立中学向け】
こちらの情報は補足として書かせていただきます。
使用するテキストとして推奨されるのが
・学校の教科書準拠型の教材
・入試まで使える演習用の教材
この2系統を軸にすると、保護者の納得も得られやすいです。
公立中学では、三学期制もしくは、二学期制で試験実施の日程が異なりますが、ターゲットとなる公立中学の試験日程に合わせた定期テストの対策は必須です。
その際、テキスト、学校の教科書、学校で使っているワークなどを使って授業を組み立てていきますが、それだけでは不足の場合があります。
テキストに連動したテスト対策を作れる仕組みをもったテキスト会社がありますので、積極的に活用していくとよいです。
【実例(実話)】
①eトレ(教育開発出版)
小学生から高校生まで、問題の収録数は120万題というボリュームで提供されるプリント型の学習システムです。
【メリット】
・小中高と幅広く問題がありますので、こんな問題がほしいという場合に、ほぼ困ることなく抽出することが出来ます。例えば大学受験や中学受験の難易度高めの発展的問題や英検対策のプリントも出すこができます。
・教科書の準拠と、演習用と目的に応じてカテゴリ選択が出来、講師たちも特別なレクチャーなしに使いこなすことが出来ます。
【デメリット】
・年度契約です。つまり一度使い始めたら、年度途中解約ができません。途中で使用をやめても費用は払い続ける必要があります。月額の利用料としても高め設定となり、例えば3教室、5教室、10教室と拡大したときには、教室分だけの月間コストかかります。
イメージ的には、5教室で年間180万円弱ぐらいです。
②Hope Room(育伸社)
小中学生の内容で、高校内容がありませんが、中学生でしたら、教科書準拠の教材iワーク、演習用教材のシリウスに合致した内容で対策プリントが作れます。
【メリット】
・エディタ機能があるため、テスト範囲の細かい部分をカバーした対策問題が作成できます。
・著作権のある国語なども問題作成ができるため、重宝します。
・これだけの機能をもっていて料金が安価です。
【デメリット】
・高校生向けの内容がありません。
・中学受験向けの内容がありません。
私たちが教室運営業務を行う中で、業務的に時間がとられるのが、
・生徒ごとのカリキュラム作成
・定期テストの問題作成
・講習期間の予定づくり
この3つだと思います。
この中で、公立中学生向けの定期テスト問題作成という観点で言えば、上記のような補助的システムがあることで、作業効率はとてもあがります!
5. まとめ
学習塾の新規開校において、テキスト選定は塾の教育方針を具現化し、生徒の学力向上を左右する極めて重要な要素です。育伸社、好学出版、教育開発出版、中央教育研究所などの代表的な教材会社から、自塾のコンセプトやターゲット生徒層に合った最適なテキストを選びましょう。
小学生向けには基礎学力定着と学習習慣形成、中学受験用には高度な思考力養成、中学生向けには定期テスト・高校入試対策、高校生向けには大学受験対策と、各学年・目的に応じた人気テキストを参考に、生徒一人ひとりのニーズに応えられる教材ラインナップを構築することが、新規開校を成功させ、地域に根ざした学習塾として発展していくための鍵となるでしょう。入念な準備と継続的な改善を通して、生徒たちが目標を達成できる最高の学習環境を提供してください。
CROSS M&A(クロスM&A)は学習塾・習いごと専門のM&Aサービスで、業界ナンバー1の成約数を誇るBATONZの専門アドバイザーです。BATONZの私の詳細プロフィールはこちらからご確認ください。
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