初めての経営、初めての教室運営で注意すべき点(掲示物編)

学習塾経営をスタートされたオーナー様!大きな一歩を踏み出されたことに、心より敬意を表します。この新しい挑戦を成功させるためには、多岐にわたる準備が必要ですが、今回は特に生徒さんや保護者の方々が日常的に目にする「掲示物」に焦点を当て、注意すべき点と効果的な活用法について、詳しく解説していきます。
教室の「顔」としての掲示物:その重要性を再認識する
掲示物とは、ただの情報伝達手段ではありません。それは、教室の雰囲気、理念、プロフェッショナリズム、そして生徒への配慮を映し出す「教室の顔」ともなりうる重要アイテムです。
初めての運営では、つい教材準備や集客活動に意識が集中しがちですが、掲示物がおざなりになると、以下のような悪影響が出かねません。
- 信頼感の低下: 乱雑な掲示、古い情報、誤字脱字は「運営体制が整っていない」という印象を与え、保護者の信頼感を損ないます。
- 情報伝達の失敗: 重要なスケジュールやルールが生徒・保護者に伝わらず、トラブルの原因になりかねません。
- モチベーションの低下: 活気のない、殺風景な掲示物は、生徒の学習意欲や教室への愛着を削いでしまいます。
逆に、工夫された掲示物は、円滑な運営を支え、教室のブランド価値を高め、生徒の成長を後押しする、極めて重要なツールとなります。
たまに教室見学をすると、やたらに殺風景で掲示物がほとんどない(白い壁のほうが面積的に圧倒的に多い)まるで、どこかの大きなマンションのただの一室みたいな教室に出くわします。
驚いて聞いてみますと
「うちはそこに時間はかけないようにしているのです、殺風景でしょう?」
(いやいや、ただ面倒なだけだろう?)
と心の中で突っ込みを入れております。
掲示物で注意すべき「3つの原則」
掲示物を作成・設置するにあたり、経営者が常に心に留めておくべき「3つの原則」があります。
1. 「ターゲット」原則:誰に何を伝えたいかを明確にする
掲示物には、大きく分けて「保護者向け」「生徒向け」「講師(自分)向け」の3つのターゲットがあります。
- 保護者向け(例:入会案内、月謝袋の提出期限、自然災害時の休講基準)
- 注意点: 信頼性が最優先。丁寧な言葉遣い、正確な情報、日付や連絡先は必ず明記します。教室の理念や教育方針など、安心感につながるメッセージを意識的に盛り込みます。
 
- 注意点: 信頼性が最優先。丁寧な言葉遣い、正確な情報、日付や連絡先は必ず明記します。教室の理念や教育方針など、安心感につながるメッセージを意識的に盛り込みます。
- 生徒向け(例:今月の目標、ルール、イベント告知、成功事例の紹介)
- 注意点: 視覚的な楽しさ、分かりやすさ、前向きな気持ちを引き出すデザインを重視します。文字ばかりではなく、イラストや写真、色を使い、目線よりやや低めに設置するなど、生徒の視点に立ちます。
 
- 注意点: 視覚的な楽しさ、分かりやすさ、前向きな気持ちを引き出すデザインを重視します。文字ばかりではなく、イラストや写真、色を使い、目線よりやや低めに設置するなど、生徒の視点に立ちます。
- 講師(自分)向け(例:年間カリキュラム、生徒のカルテ、緊急連絡先リスト)
- 注意点: 生徒や保護者の目に触れない場所(バックヤード、デスクの裏など)に設置し、プライバシーとセキュリティを確保しつつ、自分の行動をサポートする実務的な情報を整理します。
 
- 注意点: 生徒や保護者の目に触れない場所(バックヤード、デスクの裏など)に設置し、プライバシーとセキュリティを確保しつつ、自分の行動をサポートする実務的な情報を整理します。
2. 「メンテナンス」原則:情報の鮮度と整理整頓を徹底する
掲示物は作って終わりではありません。「古い情報は、ない方がまし」と心得ましょう。
- 情報の鮮度を保つ: 期限が過ぎた告知(例:「先月のテスト結果」「〇月〇日締切のイベント」)は、速やかに撤去するか更新します。掲示物の「賞味期限」を意識する習慣をつけましょう。
- 掲示エリアの統一: 掲示板が複数ある場合、場所によって伝える情報を分け、エリアごとにタイトル(例:『保護者様へ重要なお知らせ』『今週の頑張り!』)をつけます。情報が混在すると、重要な情報が見逃されやすくなります。
- 「余白の美」: 掲示板を隙間なく埋め尽くすのは見栄え的にあまりよくありません。情報を絞り込み、余白を意識的に作ることで、一つひとつの情報が際立ち、見やすさが格段に向上します。しかしながら、掲示物は活気を表すものでもありますので、古いものをどんどん外して新しくしていく気構えがあれば、追加で余白を埋めていっても大丈夫です。
ここで言うところのメンテナンスの意識は、季節に応じたものでいいでしょう。
春=春期講習⇒1月に掲示物を春バージョンに切り替え
夏=夏期講習⇒5月に掲示物を夏バージョンに切り替え
冬=冬期講習⇒9月に掲示物を冬バージョンの切り替え
そうすると一年を3分割して4か月に一回の掲示物マイナーチェンジのサイクルが出来上がります。
秋は?と思われるかもしれませんが、個人的には「秋を吹っ飛ばして冬!」でいいと思います。9月に冬の掲示?とこの点でも少々抵抗あるかと存じます。
しかし、コンビニとかホームセンターに行ってみてください。9月段階でお正月のしめ縄とかおせち料理の予約を受け付けています。
全然早すぎることはありませんし、そのぐらいの季節の前倒しをしたとしても、皆さまご存じのとおり、一か月、三か月など、あっという間です。
夏がとんでもない猛暑だったとしても寒い冬がすぐにやってくるのです。
3. 「トーン&マナー」原則:教室のブランドを表現する
掲示物一つひとつが、教室の雰囲気を形作ります。
- 統一感: 教室のテーマカラー(例:情熱的な赤、落ち着いた青、親しみやすい緑など)やフォントを統一し、一貫性を持たせます。これにより、教室全体の「ブランドイメージ」が醸成されます。
- 言葉遣い: ルールを伝える際も、「〜してはいけません」といった禁止形よりも、「〜しましょう」「〜にご協力をお願いします」といった協力的・肯定的な言葉遣いを心がけ、教室の温かい雰囲気を壊さないように配慮します。
ただし、この点はあまりに気を遣いすぎる必要はありません。
黄色と青をテーマカラーにしていようと、赤系統、緑系統の掲示物があっても全然おかしくありませんので、あまり深く考えなくても大丈夫です。
言葉遣いは、公的なものの場合とか生徒向け、保護者向けなどありますから、ケースバイケースです。
生徒向けに手書きでメッセージを書く形式であれば、目の前の生徒に応援エールを送るような言葉でいいでしょうし、変に形式ばったものにしなくてもいいでしょう。
初めての教室運営で「必ず」掲示すべき重要情報
初めての運営で、特に情報伝達ミスを防ぐために不可欠な掲示物は以下の通りです。
1. 教室運営の基本ルール(生徒・保護者向け)
トラブルを未然に防ぐ「防波堤」となる情報です。
- 入退室・送迎時の注意点:
- 例:授業開始〇分前以降に入室可能、送迎時は近隣の迷惑にならないよう静かに、など。
 
- 欠席・遅刻・振替のルール:
- 最も問い合わせが多い項目です。「○日前までに連絡」「振替は年度内○回まで」など、具体的な条件を明文化します。
 
- 私物の管理:
- 忘れ物・紛失時の対応(「教室では責任を負いかねます」の一文も必要)や、スマートフォン持ち込みの可否など。
 
2. 「見える化」で安心感を与える情報(保護者向け)
保護者が「この教室はきちんとやっている」と安心できる情報です。
- 年間スケジュール(大きなカレンダー形式):
- 休講日、特別授業、長期休暇(年末年始、お盆など)の日程をまとめて示します。
 
- 緊急時の対応マニュアル(簡潔に):
- 地震・火災・台風時の休講判断基準や、避難経路図、連絡網を明示します。
 
- 運営者(あなた)のプロフィール:
- 簡単な経歴、教育への思い、顔写真などを添えることで、親近感と信頼感が生まれます。
 
保護者は、最初の面談時や季節講習前の打ち合わせ時に教室を訪れます。その際に見ていないようでしっかりと掲示物などをチェックしています。
やはり大切なわが子を預ける塾ですので、保護者の気持ちにたった掲示物の作成というのは大切です。
3. 生徒のモチベーションを高める情報(生徒向け)
学習意欲を向上させる仕掛けです。
- 「頑張り」を称賛する掲示:
- 目標達成者、テストで好成績を収めた生徒のイニシャルや作品を掲示し、オープンに称賛します。ただし、掲示前に必ず保護者・生徒の許可を得ましょう(特に成績関連)。
 
- 目標達成者、テストで好成績を収めた生徒のイニシャルや作品を掲示し、オープンに称賛します。ただし、掲示前に必ず保護者・生徒の許可を得ましょう(特に成績関連)。
- 目標設定エリア:
- 生徒自身が紙に書いた「今月の目標」「次のテストで目指す点数」などを貼るコーナーを設けます。自己肯定感と達成感を育むのに有効です。
 
- 生徒自身が紙に書いた「今月の目標」「次のテストで目指す点数」などを貼るコーナーを設けます。自己肯定感と達成感を育むのに有効です。
個人的には、このモティベーションを高める情報掲示が一番重要だと思っています。
最初のうちは生徒さんの事実情報を掲示できませんが、徐々に増えてテストの回ごとに成績優秀掲示が出来るようになってくると、生徒のモティベーションアップにつながります。
こちらも生徒は見ていないようで、全部しっかりと見ています。
入塾最初の段階で保護者から「個人情報保護」に関しての教室のスタンスについての重要事項にサインをいただいているのであれば、フルネームでも大丈夫です。
但し、SNSやサイトに紹介する際には、わからないようにして書いたほうがいいです。
掲示物のデザインと設置の具体的な工夫
1. 「3秒ルール」で情報を届ける
人は掲示物を流し読みします。立ち止まらずに3秒で内容が理解できるように工夫しましょう。
- 特大のキャッチコピー: 伝えたいことの要点を太字、大きな文字で示します(例:『【重要】テスト一か月前は学校指定ワークを持ってくること!』)。
- 箇条書きの活用: 長文は避け、必ず箇条書き(リスト)と数字(1,2,3…) を使い、簡潔にまとめます。
- アイキャッチ画像の活用: 関連するイラストや、温かい写真などを添えて視線を引き付けます。
2. 物理的な設置場所の最適化
- ゴールデンゾーンの活用: 人が必ず立ち止まる場所(玄関のドア付近、靴箱の上、保護者待合スペースの目線高さ)を、最も重要な情報の掲示エリアとします。
- 掲示物の保護: せっかく作った掲示物も、ヨレヨレでは効果半減です。すべてラミネート加工するか、クリアファイルに入れて掲示板に貼り付け、清潔感を保ちます。
3. デジタル掲示の活用も検討する
予算が許せば、小型のデジタルサイネージ(モニター)を導入するのも一手です。
- メリット: 複数の情報を自動で切り替え表示できるため、掲示スペースの節約になります。動画やアニメーションで、生徒の注目も集めやすいです。
- デメリット: 初期費用がかかる、データの更新の手間がある。
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【実例(実話)】
デジタルサイネージの件ですが、そんなに大仰なものを導入しなくても、例えば中古でも買えるアンドロイド端末など(ipadより安い)にスライド形式で画像などが移り変わるようにして、面談スペースに置いておくだけでも効果があります。
多くのAndroid端末に標準搭載されているギャラリーアプリでも、簡単なスライドショー機能が利用できます。
設定を確認する:設定項目に「ランダム表示」や「シャッフル」があれば、オンにしてランダムに写真を表示させることができます。
ギャラリーアプリを開く:端末に保存されている写真を表示するアプリを起動します。
アルバムを選択する:スライドショーにしたい写真が含まれるアルバムを選択します。
スライドショーを開始する:アルバム内の写真一覧で、メニューアイコン(縦に3つの点など)をタップし、「スライドショー」や「再生」などのオプションを選んで実行します。
AI学習のPRなどで有効です。
そのスライドが話のきっかけとなり、次の段階で、youtubeなどにupされている商品案内動画を見ていたぁく流れになると、非常に有効なのです。
何故なら、例えば、個別指導で1:1とか1:2の授業を体験授業設定するときには、新たに日取りを決めなくてはいけません。
ところが、AI学習であれば、そこに生徒用のタブレット、保護者が見るタブレットがあれば、すぐさま体験させることが出来るのです。
この形式を過去何回も実施しましたが、保護者と生徒が食い入るように画面を見て、その体験をもとに話が急展開プラスに動き出すことが多いです。
これは是非、私どもの学習塾モデルルームで体現してほしいです。
まとめ:掲示物は「最高の営業マン」であり「最強の助っ人」
初めての経営と教室運営は、毎日が学びの連続です。掲示物は、あなたの理念を代弁し、生徒・保護者に安心感を与える最高の営業マンであり、情報伝達のミスを防ぎ運営を円滑にする最強の助っ人です。
| 掲示物の目的 | 達成するための行動 | 
| 安心感・信頼の醸成 | 保護者向け掲示物に「統一感」と「正確性」を持たせる。 | 
| トラブルの予防 | 欠席・振替・災害時のルールを「簡潔に」「目立つ場所」に掲示する。 | 
| モチベーション向上 | 生徒の「頑張り」を承認し、「目標」を書き出すエリアを設ける。 | 
| 効率的な運営 | 期限切れの掲示物を「週に一度」必ず撤去・更新する。 | 
これらの原則と具体的な工夫を実践することで、あなたの教室は単なる学びの場ではなく、居心地がよく、信頼できるコミュニティへと発展していくでしょう。掲示物に愛情を注ぎ、新しくスタートした教室運営を成功させてください。心から応援しています!

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