初めての経営、初めての教室運営で注意すべき点(広告宣伝編)

初めての教室経営において、押さえておくべき「広告宣伝の注意点と実践的な戦略」を、解説していきます。
思えば、CROSS M&A(通称:クロスマ)のアドバイザーも遡ること2011年・・・あの年はどんな年だったのか・・・2月に最初の個別教室を開校しました。
今でも覚えています。
店舗用物件を借りるのは初めてではなかったので、アットホームで見つけました。早かったですね。
「あ、なんか雰囲気、ムードがいい!」物件からのオーラを感じ取り、坪数は小さめですが、駅徒歩1分物件をすぐに内見して、すぐに申込書を入れた記憶です。
あれこれと奔走して、気づけば開校日を迎えていた・・・そんな印象ですが、とにかく初めての教室経営、初めての教室運営でしたので、緊張しました。
さて、教室運営をスタートし始めると、新しい挑戦に胸が高鳴る一方で、特に集客という壁にぶつかるかもしれません。
教室の運営にとって、生徒さんを集めるための広告宣伝は、まさに血液のようなものです。
しかし、初めてとなると「何をどうすればいいのか」「お金をかけずに効果を出すには」など、悩みは尽きないでしょう。
広告宣伝を始める前に:最も重要な「土台作り」
いきなり広告を出す前に、まず「誰に」「何を」「どのように」提供するのか、その土台を固めることが最も重要です。
土台がグラついた状態でいくら広告費を投じても、砂漠に水をまくようなものです。そのために最初にやるべきことは、ターゲットです。
1. ターゲット(理想の生徒像)の明確化
あなたの教室は「誰の」「どんな悩み」を解決するための場所ですか?
- 誰に(ペルソナ設定): 年齢、性別、職業、住んでいる場所、なぜあなたの教室を必要としているのか、趣味や価値観まで具体的に想像し、そのうえで教室の売り込みをどのようにやっていくのか、までを想定していくといいでしょう。
 例えば、
 「半径1.5キロ圏に住む公立中学に通っているお子さんで、学校のテスト点数は500点満点で250点前後のため全体に底上げをしたいが、特に数学と理科が思うように点数化できないため、理系教科探求をテーマにしたサブプログラムをオプション設定してセット販売し、地域の理数系指導なら〇〇!と口コミがでるようにする」
 のように、細かく設定しましょう。
- なぜ重要か: ターゲットが明確でないと、広告のメッセージが誰にも響かない「最大公約数的な表現」になりがちです。
 ペルソナが具体的であればあるほど、「この教室は私のためのものだ!」と感じてもらえる、刺さるメッセージが生まれます。
2. 独自のウリ(USP)の確立
USP (Unique Selling Proposition)、つまり「競合にはない、あなただけの強み」を明確に言語化します。これは簡単に言えば、ナンバー1を狙うのではなく、オンリー1を狙うということです。
- 競合分析: 周辺にある似たような教室(オンラインも含む)の料金、カリキュラム、先生の質、立地などを徹底的に調べます。彼らが提供していないものは何ですか?
- あなたのウリ:
- 講師の専門性(例:国際コンクール優勝経験のある講師)
- 提供方法(例:完全個別指導、早朝/深夜対応、親子同時受講可)
- コストパフォーマンス(例:地域最安値だが、教材はプロ仕様)
 
- 注意点: 「アットホーム」「丁寧」といった抽象的な表現はウリになりません。誰もが言える言葉ではなく、
 「当教室のレッスン時間外でも、いつでもLINEで質問に対応します」
 「一般的な教材ではなく、生徒一人ひとりの進度に合わせて講師が毎週書き下ろすオリジナル教材を使います」
 など、具体的で他にはないサービスをウリにしましょう。
3. ゴール設定と予算の決定
広告宣伝の目的とゴールを決めます。
- 目的例: 「2ヶ月で体験授業の生徒10名を獲得し、そのうち5名を正規生徒にする。」
- 予算: 広告宣伝費にいくらかけられるかを明確にします。
 特に最初のうちは、費用対効果(CPA:顧客獲得単価)を常に意識し、無駄な支出をしないことが大切です。
この金額算定は、初めての経営、初めての運営では悩ましいところではないでしょうか。確かに支出したことは無駄にならないほうがいいです。
ただ、この広告という分野においては、何が無駄で何が実効なのかの線引きが難しいです。
結論から言うと、広告は必要です。
以下、とても大切な実例を書きますので、新規で教室を開校される方は、しっかりと押さえておいてください。
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【実例(実話)】
まず、大企業を考えてみましょう。トヨタやソフトバンク、楽天などをイメージしてみてください。テレビを見ればCMが流れます。あれって1本単価がとても高いのは皆さんご存じですよね。
どんなに売り上げが上がっている企業でも、浸透のためのイメージ戦略、広告戦略は止まりません。私たちは、毎日広告の渦の中にいるのです。
広告の頻度をあげたり、広告で有名な俳優さんなどに出演してもらうと一気に広告単価が上がります。
でもなぜそこまでして広告を打つのでしょうか。
答えは顧客獲得のため、顧客へのイメージ取得のため、ブランディングのためです。
最初に何かをスタートしたときには、やはり「広告コスト」は予算の中に入れておいたほうが良いです。
学習塾の場合には
・新規オープン
・リニューアルオープン
このいずれかで、実施していくといいでしょう。
新規オープン、これを塾っぽく謳えば、「新規開校」です。この4文字は、保護者にとっても嫌な響きではありません。
学習塾というものの全体的なイメージはすでに出来上がっている通り、勉強をする場所です。
学習塾に通う層は小学生から高校生(高卒生)です。自分の子供を学習塾に行かせようとした場合、最初は近所の塾を探すことになります。
保護者の思いと広告がうまくマッチすると、問合せてみようかしら・・・という行動につなげることが出来ます。
①では、金額はいくらぐらいかけるのが妥当か!?
このテーマに入ります。
50万円から100万円ぐらいはかけたいです。(広告は本当に必要!)
はい、わかります。新規開校で不動産の取得費用、内外装の費用、什器備品やその他の機器の費用、文房具屋やテキストの費用など、それなりにお金をかけたからあまり広告費用にはかけたくない・・・それは本音でしょう。
わかります・・・。
しかしながら新規で事業を開始したことを、誰が知っているでしょうか。最初はほぼ誰も知らない状態です。
「塾の看板を掲げたのだから、徐々に情報が拡散していくだろう」
という考えもわかります。
しかし、超強力なインフルエンサーが記事UPしてくれたり画像UPしてくれるのであればまだしも、そのようなコネクションもないのであれば、やはりなるべく早く、
「ここに〇〇という学習塾がオープンしましたよー」という内容をなるべく短期間でなるべく多くの人に知ってもらうほうがいいのです。
そこに
例えコストがかかってもです。
・・・と言いますか、そこの部分にコストはかけなければならないのです。
そしてここで、もっと重要なことを述べます。
②広告は継続しなければなりません。
広告を一回やったから、それで終わりという単発的考えになってしまう一番の理由は、、、、わかります。その一回の広告で目に見えた効果が出なかったからでしょう。
広告って、
「あまりやっても効果ないなぁ」
「次回からやめよう、やっても意味ないし」
「今年までは広告やったけれど、来年からはやめよう」
年間で数十万から数百万円と広告費用をかけている塾であれば、そのコストをカットしたくなる気持ちは痛いほどわかります。
でも・・・・
広告を止めたら顧客の足も途絶えます。
結果売上高はダウンし、顧客数も減少します。
今まで、多くの「閉校、閉鎖したオーナーさん」に経緯を伺って参りました。10人中10人が広告を途中でやめています。
10人中10人が、過去もっと顧客がいたとおっしゃいます。
そして
思い当たるフシはありますか?と伺うと、10人中10人が
「広告をやめたからかもなぁ」と回顧されます。
広告は一度やめると、再度復活させることがなかなかできないのです。
負のスパイラルになるからです。
広告をやめる→コストが減る→しかし顧客も減る→売上が減る→そのためコスト捻出ができない→広告が出来ない→売上、顧客数がともに減少する
「自分の実力が足らなくて・・・集客がなかなかうまくできなくなってしまって」
「社長、そうなった契機はなんだろ思います」
「どうだろう、ああ、コロナから新聞折込やめたんだよ・・・。」
「コロナ当時は、未曾有事態でしたが今はだいぶ落ち着いてきましたよ」
「わかってるよ。でももう広告をやる気にならないよ・・・」
この社長の気持ち、わかりますでしょうか。
負のスパイラルに一度陥ってしまうと、自力で脱出するのはなかなか難しくなるのです。
広告は大事です。
広告でコストをかけている分、新規顧客が必ず入ってくるので、そこからの新しい波を生み出すようにしましょう。
最後に
教室内にいつも同じメンバー、同じ生徒がいる塾は売上は伸びません。
これ、けっこう重要です。つまり新しい生徒が入る塾は黙ってても売上は伸びるのです。
授業予定を組んでいて、また同じメンバー・・・そう感じたときには何かが始まっています。
実践編:初めての経営者が取り組むべき3つの柱
初めての教室運営では、「費用をかけない(または低予算)」で「信頼性」と「地域性/パーソナル感」を訴求できる施策を打ち出すことも可能です。その場合は以下の3つの柱を中心に進めましょう。
1:自前の情報発信基地「デジタル資産」の整備
現代において、教室の顔となるのはウェブサイトやSNSです。これらは24時間稼働する無料の営業マンです。
(1) ホームページ/ランディングページの作成(無料または低予算で)
- 最低限の情報: 「誰のための教室か(ターゲット)」「何を学べるか(サービス内容)」「他の教室と何が違うか(USP)」「料金」「場所(アクセス)」「体験レッスンの申し込み方法」を、スマートフォンで読みやすいデザインで過不足なく記載します。
- 信頼性: 可能な限り、講師の顔写真とプロフィールを掲載するようにしましょう。実は生徒さんは「誰に」教わるかを非常に重視します。それは保護者も一緒です。
 また、モデルなのか、本物の講師(教室長)なのかは、誰でも見抜けます。モデルの写真は妙にきれいで、整いすぎてます。
 しかし、実際の講師の顔写真を使用する際には、その講師が辞めたときには削除しなくてはいけませんし、その後のメンテナンスが少々面倒です。
 ですから、この部分に思い切り拘りを入れる必要はありません。
 自分がオーナーでしたら、講師よりもオーナー自身が登場して、サイトでの記事にインパクトを与えるほうが良いでしょう。
 オーナーが辞める・・・というのは、新規開校したばかりではありえないので、そのほうが効果的です。
- 行動の促進(CTA): 「今すぐ無料体験を申し込む」「資料請求はこちら」といった、目立つボタンを各ページに設置します。
(2) SNSの活用(パーソナル感を出す)
- 選定: ターゲット層が多く利用しているSNSを選びます。例えば、主婦層ならInstagramやFacebook、若年層ならTikTokやX(旧Twitter)などです。
- 発信内容: 広告感の強い投稿ばかりではなく、「教室の雰囲気」「レッスンの様子(許可を得て)」「生徒さんの頑張り」「講師の日常や考え方」など、人間味のある投稿を心がけます。先生の熱意や人柄が伝わることで、「ここで学びたい」というエンゲージメントが高まります。
- ハッシュタグの活用: 「#〇〇教室」「#地域名〇〇」「#習い事〇〇」など、検索されやすいタグを必ずつけましょう。
(3) Googleビジネスプロフィールの登録(地域集客の要)
地域に根ざした教室にとって、最も費用対効果の高いツールの一つです。
- 基本情報: 住所、営業時間、電話番号などを正確に登録します。
- 写真: 教室の外観、内装、レッスンの様子など、質の高い写真を多くアップロードします。
- 口コミの促進と返信: 体験レッスン後や入会時に、生徒さんや保護者に口コミの投稿をお願いしましょう。そして、全ての口コミに丁寧に返信することで、真摯な運営姿勢が伝わり、信頼性が向上します。
2:地域密着型の「アナログ宣伝」と「口コミ」の最大化
ウェブでの集客に加えて、特に地域密着型の教室では、アナログな宣伝と口コミは欠かせません。
(1) 地域に特化した広報活動
- ポスティング/チラシ:ターゲットの居住エリアを絞り、自力または業者に依頼してポスティングを行います。
- 注意点: 漠然としたチラシではなく、「〇〇小学校から徒歩5分」「初回体験レッスン半額クーポン付き」など、具体的なメリットを記載し、期限や限定感を出すことで行動を促します。
 
- 掲示板の活用: 地域のスーパー、公民館、図書館、幼稚園/保育園などの掲示板にチラシを貼らせてもらう交渉をします。
- 地域メディアとの連携: 地域の情報誌やフリーペーパーへの掲載、自治会やPTAのイベントへの参加・協賛を検討します。
(2) 口コミ(紹介)キャンペーンの実施
最も強力で費用のかからない集客方法は口コミです。
- 既存生徒へのインセンティブ: 「お友達を紹介してくれたら、紹介者と入会者の両方に次月の月謝を10%割引」など、双方にメリットのあるキャンペーンを常に実施します。
- 体験レッスンの質: 体験レッスンを「即決」してもらえるよう、本レッスン以上に感動的な体験を提供することに全力を注ぎます。体験者にとって「価値がある」と感じてもらえれば、その場で入会しなくても、友人・知人への紹介につながります。
3:広告の効果測定と改善(PDCA)
広告宣伝は「打ったら終わり」ではありません。効果を測定し、改善し続けることが、費用対効果を高める唯一の方法です。
(1) 広告の効果測定を習慣化する
- 計測ツール: ホームページへの流入経路やコンバージョン(申し込み)を把握するために、Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを導入します。
- 問いかけ: 体験の申し込みがあった際、「何を見て当教室を知りましたか?」と必ず尋ねましょう(例:チラシ、Google検索、友人の紹介、Instagramなど)。
- CPAの算出: かかった費用(Cost)を新規獲得数(Acquisition)で割って**CPA(顧客獲得単価)**を算出します。
- 例:チラシに5万円かけ、5名入会→CPAは1万円。この単価が許容範囲内か常にチェックします。
 
(2) 失敗を恐れずにテストと改善(PDCAサイクル)
- 「このチラシのデザインは集客に繋がるか?」「このSNS投稿の時間帯は適切か?」など、小さなテストを繰り返します。
- A/Bテスト: 例えば、チラシを「特典を大きくアピールしたもの(A)」と「講師の情熱をアピールしたもの(B)」の2パターン作り、どちらが効果的だったかを検証し、より効果の高い方にリソースを集中させます。
広告宣伝における3つの最大注意点
最後に、初めての経営者が陥りがちな、広告宣伝における致命的な注意点をまとめます。
1. 誇大広告と過度な期待を持たせること
「誰でも簡単に〜」「〇日でプロに〜」といった、事実と異なる誇張した表現は絶対に避けてください。一時は集客できても、実際のレッスン内容とのギャップから早期退会や悪質な口コミにつながり、教室の信用を失います。
広告宣伝は「集客」だけでなく「期待値の調整」の役割も担います。ありのままの魅力と、生徒さんが努力すべき点を正直に伝えましょう。
2. 「ただの告知」で終わらせること
SNSやチラシで「〇〇教室開講!生徒募集中!」と告知するだけでは、誰も振り向きません。人は「あなた」の教室ではなく、「自分の未来」を買います。
- NG例: 「ピアノ教室が開講しました。指導歴20年の講師が教えます。」
- OK例: 「3ヶ月で簡単な曲が弾けるようになり、ご家族を驚かせませんか?多忙な大人向けの30分集中レッスンで、あなたの『弾いてみたかった』を叶えます。」
常に「生徒さんにとってのメリット」を主語にして語りましょう。
3. 初期段階での「大手広告媒体への依存」
初期の資金が潤沢でない場合、リスティング広告(Google/Yahoo!検索連動型広告)やSNS広告にいきなり大金を投じるのは危険です。
専門知識がないと、あっという間に予算を使い切ってしまう上、大手媒体は競合が多すぎて単価が高くなりがちです。
まずはGoogleビジネスプロフィールや地域に特化した活動、そして口コミといった「低コストで信頼性を高める」施策で土台を固めてから、必要に応じて効果測定を行いながらデジタル広告に挑戦しましょう。
終わりに
初めての経営・教室運営での広告宣伝は、「どれだけ生徒さんの立場になって考えられるか」にかかっています。焦らず、まずは目の前の理想の生徒像に響くメッセージを作り、地道な発信を続けてください。その熱意は必ず伝わり、あなたの教室を支える強力なファン(生徒)となってくれるはずです。

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学習塾・習いごと専門M&AサービスCROSS M&A(通称:クロスマ)は、業界ナンバー1の成約数を誇るBATONZの専門アドバイザーです。BATONZの私の詳細プロフィールはこちらからご確認ください。
また、弊社は、中小企業庁のM&A支援機関です。
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