学習塾のこれからの形は、受験対策の前に中間テスト・期末テスト対策重視。「内申点」「評定」対策=推薦対策。

学習塾業界は今、大きな転換期を迎えています。かつて、塾といえば「難関校への合格」を唯一の目標とする進学塾が主流であり、その成功はどれだけ多くの偏差値を引き上げられるかに集約されていました。しかし、少子化による入試形態の多様化、そして何より大学入試や高校入試における推薦・AO入試の比重増加により、塾に求められる役割が根底から変わりつつあります。
今、保護者や生徒が塾に求めているのは、短期的な偏差値の向上だけではありません。
学校の定期テスト、すなわち内申点や評定平均値を確実に積み上げ、希望する進路を「一般入試」というギャンブルに頼らず、「推薦・総合型選抜」という安定したルートで勝ち取るための戦略的なサポートです。
この変化を、これからの学習塾の新しい形として紐解いていきます。
なぜ今、内申点・評定対策が重要なのか
これまでの学習塾は「学力=試験当日の得点力」という図式で語られてきました。
しかし、現代の入試状況は劇的に変化しています。
特に大学入試において、指定校推薦や公募推薦、総合型選抜での入学者が定員の半数を超えるケースも珍しくありません。
推薦入試において最も強力な武器となるのは、
日々の努力の結晶である「内申点」や「評定平均値」です。
これらは一朝一夕で向上するものではなく、中学1年生、あるいは高校1年生からの「継続的な学校対策」が不可欠です。
保護者の意識も変化しています。
入試当日に体調を崩すリスクや、一発勝負の精神的プレッシャーを避けるため、「早い段階から学校の成績を最大化し、入試の選択肢を広げておきたい」というニーズが強まっています。塾側も、こうしたニーズに応える形で「学校密着型」の指導へと舵を切る展開になっています。
そしてこのことは、
夏以降の駆け込み一般受験の高校生も増加することが示唆しています。
駆け込み受講生
高校3年生たちが、ひとたび「学校推薦」や「総合型選抜入試」に受験方式を決定したからと言って、そこで高校生の塾需要、ニーズが一気にしぼむわけではありません。
全く逆です。
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【実例(実話)】
全く逆・・・とはどういうことでしょうか。
実は、
総合型選抜で不合格、学校推薦では評点平均が全く不足している高校生たちは、最後、好むと好まざるにかかわらず一般受験するルートになります。
これはほとんど高3の夏以降の駆け込み需要につながります。
あまりにも遅い通塾要望の場合は、ときとしてお断りする事案になるかもしれませんが、それは保護者と生徒本人との対話によって教室として方針を決めればよいでしょう。
CROSS M&Aの長年の塾経験からして、この事案は受けておいたほうが良いです。例えば高校受験のための短期通塾、大学受験のための短期通塾は、そのほとんどが超ギリギリの必要に迫られてのケースであるために、教室長の提案通りの設定が出来る可能性及び即決の可能性が非常に高いからです。提案通りの設定が出来るという面では、9割以上と言っていいでしょう。
何故なら、もう時間がない、今まで通塾させてこなかった保護者としての負い目、今まで通塾をさせたく何度もわが子に打診したが敵わなかったものの、ここにきて必要だからというギリギリ状態、これらの要件のため、ほぼ提案通りに設定できます。
そして、短期通塾者は短期で結果が出るため、保護者と生徒のいわゆる疲弊感よりも、短期合格を手にした喜びのほうが大きいため、高校受験での短期通塾合格者の場合は、高校生になっても継続受講の過の可能性が高く、大学受験のでの短期通塾合格者の場合は、そのまま講師登用も出来る可能性があります。
いずれの場合も保護者の満足度はとても高いため、良好な関係を保つことが出来ますし、紹介や弟や妹の入塾も促進されるのです。
7月、8月からの入塾でしかも受験生・・・その生徒さんだけで考えるのではなく、その生徒さんがその後どうなるか、またはその生徒さんや保護者さんの周りを取り巻く人たちが有力な見込み客になる可能性などを踏まえて、短期であろうと丁寧に接して対応したほうが良いのです。
さて、今までの塾の形式と微妙に変わってきたなぁ、そう考えるのは2年目、3年目のオーナーさん、教室長さんたちでしょう。
これから起こりうる塾のムーブメントという意味で以下を読んでみてください。
従来の進学塾と、これからの塾の比較
これまでの塾と、これからの塾がどのような対比構造にあるのか、以下の表にまとめました。
| 比較項目 | 従来の進学塾 | これからの塾(内申・推薦対策型) |
| 指導の中心 | 入試本番の得点力(偏差値) | 学校の定期テスト(内申・評定) |
| カリキュラム | 塾独自の先取りカリキュラム | 学校の教科書・ワーク・提出物重視 |
| 評価軸 | 模試の判定・合格実績 | 定期テストの点数・学内順位 |
| 入試戦略 | 一般選抜による一発勝負 | 推薦入試・総合型選抜の最大活用 |
| 生徒との関係 | 競争心・選抜の意識 | 伴走・学習習慣の定着・個別最適化 |
学校密着型指導の戦略的価値
内申点対策を重視することは、「テストの点を取る」こと以上に深い意味を持っています。学校の授業を丁寧に取り組む姿勢は、そのまま基礎学力の定着に直結するからです。
1. 提出物の徹底管理
定期テストの点数だけでなく、学校の提出物(ノート、ワーク、レポート)は内申点に直結する重要な要素です。これからの塾は、生徒の「学習の進捗」だけでなく「提出物の完了度」まで管理し、計画的に取り組ませるコーチングの機能が求められます。
2. 教科書準拠の徹底
多くの生徒が陥る罠は、塾の教材ばかりに夢中になり、肝心の学校の教科書やワークがおろそかになることです。学校の先生が作成する定期テストは、その教科書から出題されます。これからの塾は、塾独自の教材を押し付けるのではなく、学校の教材を完璧にするための「補助」に徹する柔軟性が必要です。
3. 学習習慣の個別最適化
内申点を上げるためには、一夜漬けではなく、日々の予習・復習が欠かせません。一人ひとりの部活動や習い事のスケジュールに合わせ、いつ、何を、どの程度学習すればいいのかを管理する「パーソナル・マネジメント」こそが、これからの塾の最大の価値です。
この管理は、文字起こしすれば、さして難題ではないように感じます。
では、中学生、高校生、または中学受験をされるお子さんたちに、計画の重要性を説いて「では計画を立ててください」と言って、作成できるお子さんはほとんどいません。
勉強しなくてはいけないのはわかっている・・・でも何をどんな順番で、どんなテキストを使って、どのぐらいのペースで、いつまでなすべきかを把握している生徒がいたら素晴らしいですが、
いないです。かなりレベルが高いだろうというお子さんでも、計画を立てるということについては、なかなか立てられないのが実際のところなのです。
従いまして、
この「パーソナル・マネジメント」は、保護者のご要望を形に表したものと捉えてみてください。
管理をしてくれる人、塾での学習も自宅での学習も自習も、そして場合によっては生活リズムなどもマネジメントしてくれて、尚且つ相談も出来るという安心感は、そのものが「商品価値がある」と思います。
たとえば、面談直後で、スポット的に、では今月の学習計画を再度練り直して、〇〇君用につくりましょう、なんていうことは、面談のホトボリがあるため、よくあることです。
しかし、それは一過性でその後数か月、数年という単位で無償で継続している塾長はそうそういないでしょう。
そうです。これが塾長、教室長の役割としたならば、講師はどのように変遷すべきか・・・。
塾が果たすべき新しいコーチングの形
「内申点対策」を重視するということは、塾講師が「教える先生」から「学習の伴走者(コーチ)」へと役割を変えることを意味します。
これまでは、「難しい問題をいかに解けるようにするか」が講師の腕の見せ所でした。
しかし今後は、「いかに生徒が学校の授業を大切にし、主体的に学習に取り組めるようになるか」を引き出す力が必要とされています。具体的には、以下のようなアプローチが重要になります。
- 学習のログ管理: テストまでの日数を逆算し、学校の課題をいつまでに終わらせるかの具体的なマイルストーンを提示する。
- マインドセットの醸成: なぜこの学習が内申点に結びつき、それが将来の進路の幅を広げるのかを生徒に言語化させる。
- 家庭との連携: 塾での学習状況だけでなく、家庭での学習環境や悩みまでを把握し、保護者と情報を共有する。
今後の展望:偏差値と内申の二軸で考える
もちろん、内申点対策を重視するからといって、入試に向けた高い学力が必要なくなるわけではありません。この点はどうかはき違えないようにしましょう。
推薦入試でも、出願資格として「英検」などの資格が求められたり、あるいは一般入試を見据えた応用力が必要になったりします。
これからの理想的な塾の形とは、
「学校の内申点を盤石にするための徹底的なサポート」と、
「その土台の上に乗せる、模試で結果を出すための応用演習」を
両立させることです。
これまでの塾は「偏差値という階段」を駆け上がることを求めました。
これからの塾は「学校生活という足場」を固め、その上で生徒一人ひとりに合った「進路という山」を登りきるための地図とコンパスを提供する場所になるはずです。
塾は今、単なる学習指導の場から、生徒の将来のキャリアを見据えた「ライフデザインのパートナー」へと進化しています。
受験対策と定期テスト対策は対立するものではなく、
どちらも「生徒の可能性を広げる」という目的に向かって統合されていくべきなのです。
この新しい潮流の中で、塾選びの基準は「どこの高校・大学に何人合格させたか」という数字の側面だけでなく、「いかに生徒の日々の学習に寄り添い、結果として満足度の高い進路を実現させているか」というプロセスへの評価へとシフトしていくでしょう。
これからの塾は、より個別的で、より人間的で、そしてより地域に根ざした存在へと変わっていかなければなりません。その変化の先にあるのは、生徒が自らの手で未来を切り拓くための、真に自立した学習者としての姿です。

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