学習塾の閉校と譲渡のイメージ:それぞれのプロセスを徹底解説

閉校のイメージ
譲渡のイメージ

学習塾にしても他の業種にしても経営者にとって、閉じたり、次の経営者に引き継いだりすることは、人生における大きな決断になります。

しかし、この二つのプロセスが具体的にどのような「イメージ」を持つのか、最初は何となくの印象でもいいので理解の補助になれば幸いです。

ここでは、CROSS M&Aが専門としている学習塾(習いごと教室)の「閉校」と「譲渡」について、その性質と実態を、身近な例を交えながらわかりやすく解説します。


1. 学習塾(習いごと)の閉校イメージ:完全に「店を畳む」という行為

閉校は、文字通り「完全に店を畳む」という言葉がぴったりくる、その事業を場所から完全に消滅させる行為です。

これは、事業の物理的・法的な痕跡をすべてゼロにするプロセスと言い換えられます。

例え話:車やバイクの売却と廃棄

閉校のイメージとして最もわかりやすいのは、車やバイクの売却、あるいは廃棄の感覚です。

あなたは長年愛用した車やバイクを手放すとします。

その際、年式、人気度合い、走行距離、そして車両の状態が良ければ、中古車業者や個人が買い取ってくれる可能性があります。つまり、売却を通じて少なからず金銭を得ることができます。これが、後述する「譲渡」に近い状態です。

しかし、もしその車両が非常に古く、故障が多く、修理に多額の費用がかかるような「商品価値が低い」状態であった場合はどうなるでしょうか。


業者は引き取りを拒否するか、逆に「廃車手続き費用」や「引取りのための費用」「解体費用」など名目は業者次第としても、あなたがお金を払って持っていってもらうことになります。
車にしてもバイクにしても、テレビやラジオ、ネットの広告で、「高値買取!」と謳っていますが、後述したような「商品価値が低い」車両は、そうそう高値買取が実現することはありません。

車なのに10,000円だとか、バイクでけっこう部品交換とか一生懸命やったのに、5,000円とか・・・ザラにあります。むしろ後述タイプの車両はそのケースがほとんどです。

要するに、0円で業者に引き取ってもらう、ときに業者次第で下取り、買い取りとして色をつけてくれる・・・そんな世界です。

学習塾の閉校とは、まさにこの「お金を払ってでもその場から何もかも無くす」イメージに近いのです。


事例(実話)コーナー

【実例(実話)】

実際、閉校となれば、0円でその場を退場することは出来ません。
確実に物件契約書(重要事項説明)でもあるように、原状回復義務が生じますし、中身のものを処分するにしても、0円で持って行ってくれるところなどありません。

机や椅子、キャビネットや書棚、パーテーションなど、そのまま持っていくとなれば、4トントラックでも足りませんし、多分コスト的に多大にかかります。
従って普通は、それらの什器は現場で、まさに解体のように全部を壊してトラックに乗せていく流れになります。
これは人件費や時期、依頼したトラックのトン数、処理する量にもよりますが、数千円、数万円では無理な相談になってしまいます。

構えている坪数、中身の物品の多さ、処理すべき量によるのですが、数十万円は覚悟しておいたほうがいいです。

超大型の店舗であれば、数百万に及ぶことでしょう。

この解体費用、物件から全部持ち出して、原状回復の前段階まで処理する作業で、CROSS M&Aアドバイザーの経験で、ズバリ金額を書いておきます。

これは、見積の重要性を示したものです。

私は、このサイトでも赤裸々に書いているように、

「閉校」の経験があります。この閉校にはトラブルがつきものですので、どうかご注意ください。
閉校を決めて、手順や相場がわからない方はすぐにこちらに連絡ください。

結論から言えば、
退場、閉校を決めたならば、内部のものを取っ払って全部解体し持って行ってもらう、つまり処理してもらうための費用を知っておいてほしいのです。

15坪クラスで18~60万円

20坪クラスで22~65万円

30坪クラスで25~80万円


ちなみに、この前半に表示した金額と後半に表示した金額は実際に見積をとってみた驚きの差を示すものです。

これ・・・実際のこと、本当のこと、こんな世界がまかり通るのか??というぐらいの差がある実態です。
当然ながら、出ていくのに、そんなにお金をかける道理がありません。同じような作業内容なのに・・です。
従って、一番安い業者に依頼していいでしょう。

何かをつくり上げるのではなく・・・・退場するための費用です。よほどのことがない限り、ここにコストをかけたくないです。



例え話:大型家具の処分

もう一つの身近な例は、引っ越しの際の大型家具の処分です。

まだ使える大型のソファやベッドがあったとしても、次の住居には持っていけない、あるいは不要になった場合、それがモノとして良いものだと思っていたとしても、ほとんどの業者は無料で引き取りはしてくれません。

リサイクルショップでも、運搬コストや再販の難しさから買取を断られることがしばしばあります。

結局、

自治体の粗大ゴミとして申し込むか、不用品回収業者にお金を払って、それらの大型の物体を「その場から消滅」させてもらうことになります。

学習塾の閉校プロセスも同様に、単なる看板を下ろすだけではありません。

  • 物理的な撤去と原状回復:教室内の机、椅子、教材、ホワイトボードといった資産(動産)をすべて運び出し、賃貸契約に基づいて入居時の状態(スケルトン、または最低限の内装)に戻す「原状回復工事」が必要です。この工事には多額の費用がかかります。
  • 法的・行政的な手続き:税務署への廃業届、各種許認可の返納、労働契約の解除、そして生徒や保護者への丁寧な説明と、残った費用の精算など、膨大な事務作業が発生します。
  • 負債の清算:もし借入金や未払い金があれば、それらをすべて清算する必要があります。

「閉校」とは、金銭の受領を目的とするのではなく、事業の痕跡を完全に消し去るために、むしろコスト(原状回復費用や処分費用)を支払う可能性があるプロセスなのです。


2. 学習塾の譲渡イメージ:不動産の売却のような事業承継

学習塾の譲渡は、主にM&A(企業の合併・買収)の一環として行われます。

多くの場合、「事業譲渡」という形式が取られ、特定の事業部門や資産、負債を切り出して買い手に売却します。

「株式譲渡」「持ち分譲渡」という会社まるごと形式もあり、実は手続き的にはそちらのほうが楽で、早いのですが、銀行から借り入れがあることが多く、その処理も含めて、実際評価は状況次第で雲泥の差があります。

昔はほとんどが株式譲渡だったのですが、M&Aがより身近になってくるにつれ、事業譲渡が増えてきた印象があります。事業譲渡は、負債を切り出しての売却であることがほとんどですから、買い手側の安心感があるということです。

この「譲渡」のイメージは、前述の「閉校」とは対照的に、「不動産の売却」に非常に似ています。

例え話:価値ある不動産の売買

不動産(土地や建物)は、売り手が「もう要らない」からといって、タダで手放すものではありません。買い手にとっては、その場所、建物の構造、立地、将来的な収益性といった「価値」が存在するからです。小さな土地、広大な土地も宅地であれ、山林であれ、例えば「がけ条例」に該当するような箇所であれ、売り手と買い手がマッチングによって売買成立になります。

人によっては、がけ条例?擁壁の問題があるのでは?と訝しがりますが、たいていそういう場所には、家が建つ下のところに、駐車場などを構えている形式が多く、自然の屋根付きとなっていることから、それをスタイルとして無駄がなくて良い!と捉える人もいるわけです。

人によっては、田舎の広大な山林込みの土地を買って、新しく事業を行ったりその土地形状を最大利用した自分の描く生活を成しえる場所として好むケースもあるのです。

学習塾の譲渡も全く同じ構造です。買い手は、単なる机や椅子、または内装を買うわけではありません。彼らが求めているのは、収益を生み出す事業という名の、目に見えない資産です。

さらに付け加えれば、学習塾にしても習いごと教室にしても、はたまた他の業種にしても買収を検討する人たちは、思いを抱いています。
この思いを実現できる場所として、人によっては駅の超至近を好むでしょうし、住宅地を選ぶかもしれません。ロードサイドの1階を条件にする人もいれば、見た目がきれいなビルの空中店舗でガラス広告が出来るところを選ぶ人もいるでしょう。

他人がいらないものは、誰にとってもいらないもの・・・ではないということです。

譲渡で評価される要素(買い手が「価値」とみなすもの)

不動産の査定が立地や築年数で行われるように、

学習塾の譲渡では以下の要素が詳細に評価され、売却価格を決定します。

  1. 場所・立地・看板(ブランド):駅からの距離、地域の評判、すでに地域に根付いた看板やブランド名そのものが持つ集客力。
  2. 生徒の残留(顧客基盤):最も重要な要素の一つです。現在通っている生徒の数、その生徒が将来的にどれだけ継続して通ってくれる見込みがあるか。これは安定したキャッシュフローの源泉となります。
  3. 講師・教室長の残留(人的資本):塾の質を担保するベテラン講師や、運営を熟知した教室長がそのまま残ってくれるかどうか。人の引き継ぎがスムーズであれば、事業継続のリスクが大幅に低下します。
  4. 売上の見込みとコスト構造の透明性:過去数年間ので、家賃、人件費、広告費などのコストが明確に計算されていること。将来の収益を予測できる確固たるデータが必須です。
  5. 内部の状態(教育資産):長年培ってきた独自の教材、カリキュラム、指導ノウハウといった無形の教育資産。

これらの要素が整い、買い手にとって「価値がある」と判断されれば、売却は成立し、売り手は金銭を受け取ることができます。


事例(実話)コーナー

【実例(実話)】

中古住宅の市場が非常に似つかわしいかもしれません。新築ではなく中古ですので、売主や仲介不動産会社のアピールの仕方が、マンションにしても戸建てにしても、その物件、物件で全く異なります。

・築年数
・間取り
・全体の広さ
・陽当たり
・駐車場有無
・リフォーム、リノベーション有無
・特筆事項


などが物件情報の中に明示されています。その情報は、知らしめなくてはならない内容として決まっているため、それらの比較がしやすいような構成になっています。
当然ながら、そこには住んでいる(住んでいた)人の名前とか、連絡先などの情報は書かれていません。
仲介を通しての取引をしているからです。(中には、不動産会社が売主のケースもありますが)

これと同じように、M&Aの情報でも、大方の概要が示されますが、なるべく多くの人の目にとまるように丁寧に書かれたノンネーム資料を開示します。

最初の段階では、そこには会社名や屋号なども書かれていません。

M&Aで事業を譲渡することや、会社を譲渡することは、通常その先行きが明確になるまで、従業員や顧客に知られることがないよう細心の注意を払って為されます。

ネットに一度出た情報は、まず消えませんので、ステークホルダーと言える人たちが何でも情報を得られるようにあれば、運営にも支障をきたしてしまうからです。

興味をもった買い手候補の方は、まずは売り手に連絡をして自分自身のことを明かします。
名前やどんな会社に勤めているのか、またはどんな会社を経営しているのか、などです。

そして、売り手の方に、もっと詳しい情報を求めます。

このように徐々に歩み寄りが強まっていき、お互いのニーズが合致すれば譲渡契約に至るという流れです。

売る案件は一つです(※不動産でもそうです。売る不動産は一つです)

しかし、買い手はいろいろ多岐に渡ります。

例えば不動産でしたら、投資用で買う人もいれば、自分の住まい用に買う人もいますし、セカンドハウスとして買いたい人、自分の子供や孫に買ってあげたい人もいることでしょう。
ですから、買い手の候補は複数いて、それぞれのニーズが皆さん違います。

その中で、たった一人が買うことになるのです(※ときにご夫婦で共同名義などもありますが)

再度、売る案件は一つです
今見ている売り案件はこの世にひとつしか存在しないということです。

同じような案件だ、似ている案件だ、そう感じることはあるかもしれません。しかし、存在しているM&A案件は、全部違うものなのです。
例えば、千葉県船橋市〇〇〇〇という住所にある 案件は一つです。
二つ存在することはありえないのです。

その一つの案件を複数の買い手候補の方がいろいろな角度から検討してくれて、「買収しよう」という決断に至る・・・という意味でも不動産の本当に似ています。

完全に1:1の取引だということです。

物件(案件)は一つ、契約者も一人ということです。

不動産もそうですが、売り案件にしても 契約がまとまれば、その物件(案件)は市場の「売り群」からなくなり、あらたな所有者がいるということになります。

この観点から言えば、M&Aは立派な経済行為であると言えます。




譲渡プロセスの期間

ただし、
不動産の売却がそうであるように、学習塾の譲渡も即座に完了するものではありません。

  • 買い手探し:興味を持つ潜在的な買い手(競合他社、異業種からの参入者、個人事業家など)を見つけるだけでも時間を要します。
  • デューデリジェンス(事業内容の精査):買い手は、提示された財務諸表や生徒数、契約内容などに偽りがないか、弁護士や会計士を使って徹底的に調査します。このプロセスは非常に厳密で、数週間から数カ月かかるのが一般的です。
  • 契約交渉とクロージング:価格、従業員の処遇、引き継ぎ期間など、細かい条件の交渉を経て、ようやく契約締結に至ります。

このため、学習塾の譲渡は、短くても1か月から半年、大きな案件では1年がかりになる可能性もあります。

これは、物品売買とは異なり、一つの事業とそこに紐づく人間関係、信用、未来の収益を売買する、複雑で時間のかかるプロセスだからです。


まとめ:閉校と譲渡の根本的な違い

学習塾の閉校と譲渡のイメージをまとめると、その根本的な違いは以下のようになります。

項目学習塾の閉校(イメージ:車や家具の廃棄)学習塾の譲渡(イメージ:不動産の売却)
目的事業の物理的・法的な消滅と、その場からの完全撤退。収益を生み出す事業の継続的な承継と、対価の獲得。
コスト撤去、原状回復、解体費用など、お金を支払う可能性がある。事業の価値に応じた対価として、お金を受け取る。
評価対象特になし(すべて廃棄)。立地、生徒数、講師の残留、収益性など、無形の資産。
期間撤去と手続きの期間(比較的短期間)。買い手探し、精査、交渉の期間(長期間)。

経営者にとって、

閉校は「終わらせる」行為であり、譲渡は「次につなげる」行為です。

その意味合いからして、自分の手を離れる部分は同じであってもその先が全く異なるものです。

勿論、譲渡のほうが金銭面でも有利ですし、その後の状況から事業承継出来たほうが気持ち的にもホッとするかもしれません。

しかし、この「譲渡」であっても 案件を市場に出してすぐに買い手が見つかる場合もあれば、時間がかかってしまう場合もあります。需要と供給の関係で見ても多くの案件が市場に出てくれば、そこには価格という面で買い手の皆さんが交渉材料にする可能性もあります。

さらに、そこに至るまでの期間があまりにも長期に及んだ場合は、売り手様のモティベーションの維持が難しいのではないでしょうか。

同時に、その状態を維持するためのコストもかかるわけですから、大所高所にたち、閉校したほうがいいのか、譲渡したほうがいいのかを考える必要があります。

その意味で、

自身の塾が持つ価値を正しく判断し、最適な道を選択することが、円滑な事業の結末へとつながります。


学習塾の譲渡を成功させるためには、正確な財務状況の把握と、生徒・講師の残留に対する徹底した準備が不可欠です。



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