学習塾M&A 売り手手数料ゼロの仲介で手厚いフォローを受けながら譲渡準備を進める手順

序章:手数料ゼロ仲介という選択肢の台頭
少子化による生徒数の減少、経営者の高齢化、後継者不足、教育業界の変動や各種物価高、競争激化など複合的要因が絡まって学習塾業界は、今、大きな転換期を迎えています。
このような背景から、事業承継や事業拡大を目的としたM&A(合併・買収)のニーズが加速して高まっています。
しかし、従来のM&A仲介サービスは、売り手である学習塾オーナーにとっても、規模によってではありますが、数十万円から時には数百万円、大型案件になりますと数千万円に及ぶ高額な仲介手数料が大きな負担となっていました。
特に小規模・中規模の学習塾にとって、手数料の負担は譲渡をためらう大きな要因の一つにもなっていました。
学習塾業界のオーナーたちは、
・個人事業主として勤務されている方が多い
・実直真面目で教育について真剣に考えていて経営よりも生徒主体の方が多い
・戦略よりも自分が持っている信念を貫こうとするあまり少々後手に回る方が多い
・オーナー自身がキーマンになっているケースが多い
・コスト削減で最後は講師がいない状態で日々の運営を成り立たせている
このような実情から、多くの塾経営者がギリギリの果てまで、つまりは行きつくところまでいってしまい、最後は廃業、閉校になってクローズという形になってしまいます。
「売ろう」と言う判断をするときが、本当に終わりの終わりに近い段階になっているということです。
しかし・・・このオーナー様たちの気持ち、心情は当然そうなります。
売る場合はモノでもサービスでもなるべく高く売りたいはずですが、実際にはなかなか、そのような割り切りは出来ません。
そして何よりも第一に・・・うまく行っているときに、自分の事業を売ろうという人は投資目的じゃなければいないからです。
まとめると、
・経営がうまく行っているときに売ろうとする人はいない
・少し状況が危うくなってきたときに考える人がほとんどである
・が、ゆえに「売る判断」をされたときの資金的実情は決して楽な状態ではない
近年、この状況を打破する「売り手手数料ゼロ」を掲げるM&A仲介サービスが登場し、特に教育業界に特化した形で注目を集めています。
買い手側からのみ手数料を受け取るビジネスモデルを採用することで、売り手オーナーは金銭的な負担なく、専門家による手厚いサポートを受けながら譲渡準備を進めることが可能になりました。CROSS M&A(クロスマ)も売り手手数料0円のサービスですので、ご確認ください。
本記事では、この「売り手手数料ゼロ仲介」を活用し、手厚いフォローを受けながら学習塾のM&Aにおける譲渡準備を成功させるための具体的な手順を、ステップバイステップで解説します。
第1章:譲渡準備の「心構え」と「初期設定」(ステップ1〜3)
M&Aは、人生をかけた一大決断です。手数料ゼロの仲介を活用するにしても、成功の鍵は「初期の準備」にかかっています。
ステップ1:譲渡目的と希望条件の明確化(M&Aの基本方針を設定)
まず、なぜM&Aを行うのか、その目的を明確に定義します。
- 後継者問題の解決:事業と生徒・従業員の未来を守る。
- 創業者利潤の確保:引退後の生活資金を確保する。
- 事業のさらなる成長:大手企業のノウハウや資金力を活用する。
- 健康問題や体力の限界:早期に事業を整理する。
「目的なんて・・」と思われるかもしれませんが、最初のとっかかりとして重要です。この項目以降は、全ての項目において「買い手」の気持ちについても考えながら読み進めて頂ければと思います。
買い手は「何故、事業を売るのだろう?」と考えるからです。そこに良くない要素が潜んでいるのかもしれない・・・これは人間の心理でもあります。
次に、以下の希望条件を整理します。
- 最低譲渡価格:いくらなら納得できるか。
- 従業員の雇用維持:雇用条件や役職をどうしてほしいか。
- ブランド名(屋号)の存続:屋号を残したいか、残さなくても良いか。
- 譲渡後の関与:引き継ぎ期間(PMI)としてどの程度関わるか。
この初期設定が曖昧だと、交渉過程で迷いが生じ、結果的に不本意な形でM&Aが終了するリスクが高まります。
特に以下の2点にはご注意ください。
①価格についてですが、説明出来る整合性ある金額にすべきです。確かになるべく高く売りたいのですが、買い手はなるべく安く買いたいわけですから、乖離が大きすぎれば案件はまとまりません。
「何故、その金額なのか?」の説明は大切です。
②軽視してはいけないのが、引継ぎです。
売る側としたら、売れたので気持ちがせいせいした!ホッとした!と、なるかもしれません。売り手としてはそこが終着点になりがちです。
しかし、買い手は、そこがスタート地点になります。
ステップ2:手数料ゼロの教育業界特化型仲介会社の選定と相談
「売り手手数料ゼロ」を掲げる仲介会社は複数ありますが、特に教育業界に特化している仲介会社を選ぶことが極めて重要です。
教育業界特化の仲介会社は、学習塾特有の「許認可」「生徒情報保護」「講師の流動性」「地域の評判」といった特殊な事情や、買い手候補のリストを豊富に持っています。
- アドバイザーとの相性:自身のM&Aに対する考え方を理解し、親身になってくれる担当者を選ぶ。
- 実績:特に学習塾M&Aの成約実績や専門性を確認する。
- 秘密保持の徹底:情報が外部に漏れないよう、セキュリティ体制を確認する。
無料相談の段階で、自社の現状と希望を率直に伝え、仲介会社のアドバイスが的確かを見極めましょう。
ステップ3:アドバイザリー契約の締結と情報提供
信頼できる仲介会社を選定したら、アドバイザリー契約(または仲介契約)を締結します。売り手手数料ゼロの仲介会社の場合、この契約において売り手側の報酬が「ゼロ」または「完全成功報酬(ただし成功報酬もゼロ)」であることを明記されているか確認します。
契約締結後、仲介会社に以下の必要情報を提供します。
- 財務情報:直近3年程度の決算書、試算表、税務申告書。
- 事業情報:生徒数・在籍年数・退塾率・単価、講師の構成(正社員・アルバイト)、カリキュラム、強み、競合優位性。
- 固定資産:所有不動産、リース契約、設備一覧。
- 契約関連:テナント契約書、重要な取引先・講師との雇用契約書。
仲介会社は、これらの情報に基づき、後の「企業概要書」や「ノンネームシート」を作成します。
第2章:企業価値の算定と買い手候補の探索(ステップ4〜6)
仲介会社の本格的なサポートが始まり、市場での価値を最大化する作業に入ります。
ステップ4:企業価値(売却価格)の算定と交渉戦略の策定
仲介会社は提供された情報をもとに、学習塾の企業価値(Valuation)を算定します。学習塾M&Aでは、以下の要素が特に重要視されます。
- 収益力:EBITDA(税引前利益+支払利息+減価償却費)などの実態収益力。
- 非財務的要素:優良な立地、優秀な講師陣、地域でのブランド力、独自の教材やシステム。
- 潜在的なリスク:簿外債務、訴訟リスク、特定の講師への依存度など。
仲介会社のアドバイザーは、この算定価格をベースに、市場の相場やオーナーの希望価格を加味し、買い手候補への提示価格と交渉の落としどころを戦略的に策定します。手数料ゼロでも、このバリュエーション(評価)の精度と戦略立案の質は、M&Aの成否に直結します。
ステップ5:ノンネームシート・企業概要書の作成と買い手候補の探索
提供情報に基づき、仲介会社は以下の資料を作成し、買い手候補にアプローチします。
- ノンネームシート(Non-Name Sheet):社名や個人名が特定できないよう抽象化した事業概要資料。仲介会社が持つ全国的なデータベースやネットワークを通じて、買い手候補に広く情報を提供します。
- 企業概要書(IM: Information Memorandum):ノンネームシートに関心を持った候補企業と**秘密保持契約(NDA)**を締結した後、初めて開示される詳細資料。事業内容、財務状況、組織体制、M&Aスキームの概要などが記載されます。
売り手は、この段階で仲介会社からの報告を受け、アプローチ対象や件数について確認を行います。手厚いフォローとは、この候補先の選定プロセスにおいて、自社の理念や教育方針と合致する企業を慎重に見極めるサポートを受けることを意味します。
ステップ6:トップ面談と基本合意書の締結
企業概要書をもとに具体的な検討を進めたい意向を示した買い手候補と、トップ面談を行います。この面談は、財務諸表だけでは測れない「経営哲学」や「人間性」の確認の場であり、M&Aを円滑に進める上で最も重要なフェーズの一つです。仲介会社は、面談の日程調整、会場手配、質疑応答のサポートを行い、オーナーが安心して本音で話し合える環境を整えます。
面談を経て、両者がM&Aの実行に前向きになった段階で、以下の主要項目を定めた基本合意書(LOI: Letter of Intent)を締結します。
- 買収価格の目安(暫定的な合意価格)
- M&Aスキーム(株式譲渡、事業譲渡など)
- 今後のスケジュール
- デューデリジェンス(DD)の実施許可
- 独占交渉権(一定期間、他の候補者との交渉を停止する約束)
基本合意書は、最終契約に向けた「意志の確認」であり、価格や条件は後のDDの結果次第で変更される可能性があることを理解しておく必要があります。
第3章:最終準備とクロージング(ステップ7〜9)
基本合意を経て、M&Aは最終段階へと移行します。この段階は専門的な手続きが多く、仲介会社の手厚いフォローが最も重要になる局面です。
ステップ7:デューデリジェンス(DD:買収監査)への対応
買い手候補が、基本合意の内容(特に買収価格)を確定させるために、売り手学習塾の事業・財務・法務などを詳細に調査する工程がデューデリジェンス(DD)です。
- 財務DD:公認会計士や税理士が担当。簿外債務、偶発債務、実態的な収益性などを調査。
- ビジネスDD:コンサルタントが担当。市場環境、競合優位性、生徒の属性、講師の定着率などを調査。
- 法務DD:弁護士が担当。契約書の有効性、許認可の状況、訴訟リスク、労働環境などを調査。
売り手オーナーは、仲介会社のアドバイスを受けながら、買い手側のDDチームからの質問や資料要求に対応します。手数料ゼロの仲介でも、このDD対応のサポートは手厚く行われるべきポイントであり、迅速かつ正確な対応が、買収価格の維持や交渉のスムーズさに直結します。
ステップ8:最終契約(SPA)の交渉と締結
DDの結果、問題がなければ、基本合意の内容を最終的に確定させるための最終契約書(SPA: Share Purchase Agreement または Asset Purchase Agreement)の交渉に入ります。
仲介会社は、オーナーの代理人として、以下の重要事項について買い手側と細部にわたって交渉を行います。
- 最終的な譲渡価格
- 表明保証:契約締結時点での事業の状況に関する売り手側の保証(DDで発見されなかった簿外債務などに対する責任範囲)。
- クロージングの前提条件
- キーパーソン(オーナーや重要な講師)の引継ぎ後の処遇
この最終契約書は、法的拘束力を持ち、M&Aの成功を決定づける文書です。売り手手数料ゼロの仲介会社でも、専門的な法律・財務知識に基づいた適切なサポートを受けられることが、安心感につながります。
ステップ9:クロージング(決済・引き渡し)とPMI
最終契約書に署名捺印した後、クロージング(決済)が行われます。一般的に、以下の手続きと同時に、買い手から売り手オーナーへ譲渡対価が支払われます。
- 株式の引き渡し(株主名簿の書き換え)または事業資産の引き渡し
- 役員の変更登記、その他行政手続き
- 債権債務の精算
クロージング後、M&Aの成果を最大化するためのPMI(Post-Merger Integration:統合プロセス)が始まります。
学習塾M&AにおけるPMIは、生徒や保護者、講師の動揺を防ぐことが最優先となります。
仲介会社は、必要に応じて、新体制への移行や生徒・保護者への説明方法についてのアドバイスも提供し、円満な事業承継をサポートします。
結び:手数料ゼロ仲介のメリットを最大限に活かす
「学習塾M&A 売り手手数料ゼロの仲介」は、資金的な不安なく、M&Aという複雑なプロセスを専門家の助けを借りて乗り越えるための強力な選択肢です。
オーナーは、金銭的な負担がないというメリットを活かしつつ、手厚いフォローを通じて、本業である教育事業の整理や、自身の将来設計に集中することができます。
しかし、手数料ゼロだからといって、サポート内容が劣るわけではありません。むしろ、教育業界に特化し、買い手からの手数料でビジネスを成立させている仲介会社は、質の高いサービスを提供し、高い成約率を維持する必要があります。
成功の鍵は、オーナー自身の「譲渡目的の明確化」と、信頼できる「教育業界特化の仲介会社」を選ぶことです。適切なパートナーと共に、あなたの築き上げた学習塾の未来を、最も理想的な形で次世代へと引き継ぎましょう。

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