学習塾の「赤字売上」は捨てる覚悟も必要!JAL再建に学ぶ、利益を残すための非情な決断術

学習塾の経営者にとって、長年手塩にかけて育ててきた教室を手放す決断は、身を削るような思いでしょう。
特に、譲渡した後の生活費や新たな収入源に対する不安は、経営者として当然の感情です。
しかし、赤字が続いている状態であれば、話は別です。
現在の「売上」が実は自分の首を絞めていることに気づかなければなりません。本稿では、赤字教室における売上の切り離し、すなわち「売上を切る」という決断の重要性と、その具体的な手法について、事例を交えて詳しく解説します。
1. 売上を切るとは、負の連鎖を断つこと
一般的に経営において売上は「正」の要素と捉えられます。しかし、赤字経営における売上は、時として「毒」に変わります。
赤字の教室を維持している場合、入ってくる月謝(売上)よりも、講師への給与、テナント料、広告宣伝費、光熱費といった経費(コスト)が上回っています。
この状態では、運営を続ければ続けるほど、経営者の手元からは現金が流出していきます。
日々、お金勘定をしていて、入ってくるお金と出ていくお金をシビアに記録している経営者なら別ですが、通常はなかなか日々の管理までは難しいのではないでしょうか。
週次で気づけるのも稀だと思います。
たいていは、月次で会計ソフトに入力しているときや、税理士との打ち合わせのときに目の前に広げられた会計データで現実の厳しさを知ります。
何となく頭の中で計算していたこと、何となく生徒の問い合わせが少なくなったこととか、体験授業から生徒できる率が前よりもダウンしたこと・・このような感覚と共に「以前と異なる」ことをうっすらと認識し始める。これが第一段階ではないでしょうか。
しかし当初は、それは気のせいだろう、それはたまたまだろうと、現実をなかなか受け入れられません。
そして、夏や冬の講習時期が終わり、集計をとってみたときに、かなり数値が悪いということに気づくのです。
この段階で気づければいいのですが、たいていの経営者はなかなか現実を受け入れることが出来ないのです。
そうすると、
・数か月すればまた生徒も入るだろう
・または次の講習のときにはきっと盛り返せるだろう
このように短絡的に物事を処理してしまいがちです。
今起きているリスクに向き合うことが怖いのです。
売上高の数字は、時として人の感覚を狂わせてしまいます・・・・。
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【実例(実話)】
例えば、月間で200万円の売上高があったとします。その200万円というのは、口座に入った瞬間から、特に個人事業主は、自分裁量で色々な支払いなどに回すことができます。
入ってきた200万円は、自由に使えるということです。
しかし、事業を運営していれば、必ず支払いがあります。地代家賃、人件費、支払い手数料、光熱費、通信費、広告宣伝費、雑費、福利厚生などなど・・・普通に息をしているだけでもコストがかかるのです。
その支払い計が仮に250万円だとします。
そうすると単月で50万円の赤字です。そのペースで一年が過ぎれば600万の赤字になります。売上高は年間で2400万円あったとしても、コストが年間で3000万ということです。
売上高だけを見ると2400万円は決して悪い数字ではありません。そして実際には振込であろうが、手渡しであろうが、paypay経由であろうが、2400万というお金は入ってくるのですから、そこそこに使えるお金はあるということになります。
ところがここに悪魔が潜んでいるのです。2400万あっても、3000万円飛ぶのですから、その2400万は、悪い売上高ということになります。
この処理を後回しにすると、かなり手痛いことになってしまいます。
「売上を切る」とは、単に収入をゼロにすることではありません。売上を獲得するために発生している膨大なコストと、経営者の精神的・時間的リソースをセットで切り離すことを指します。
赤字維持の心理的罠
多くの経営者が赤字教室を切り離せない理由は、数字上の不安だけではありません。
- 生徒や保護者への申し訳なさ
- 講師やスタッフの雇用維持
- 過去の投資(内装や備品)への未練
- 地域社会でのメンツ
これらの感情が混ざり合い、損切りが遅れます。
し赤字を垂れ流しながら運営を続けることは、最終的には全教室の共倒れや、経営者個人の資産破綻を招くリスクを孕んでいるのです。
2. JAL(日本航空)に学ぶ不採算路線の撤退
売上を切ることで劇的な復活を遂げた象徴的な事例が、JALの経営破綻とその後の再生です。
2010年、日本航空は多額の負債を抱えて会社更生法の適用を申請しました。
当時のJALは、世界中に張り巡らされた巨大な路線網を誇っていました。
しかし、その中には売上はあっても利益が全く出ない「不採算路線」が数多く存在していました。
実行されたのは徹底した「選択と集中」
当時の会長として再建を担った稲盛和夫氏は、全路線の収支を細かく分析しました。そして、売上があるにもかかわらず赤字を出し続けていた不適切な路線を次々と廃止しました。
- 地方路線の整理: 搭乗率が低く、飛ばせば飛ばすほど赤字になる国内地方路線から撤退。
- 機材の小型化: ジャンボジェットのような大型機を売却し、効率の良い小型・中型機へシフト。これにより、1便あたりのコストを大幅に削減。
- 採算管理の徹底: 路線ごとの採算をリアルタイムで把握し、現場の社員が数字に責任を持つ仕組みを構築。
結果として、JALの売上規模は一時的に大きく減少しました。
しかし、利益率は劇的に改善し、わずか2年足らずで再上場を果たすほどの高収益体質へと生まれ変わったのです。
学習塾経営においても、この「不採算路線の廃止」という考え方はそのまま当てはまります。
10教室運営していても、そのうち3教室が赤字であれば、その3教室の売上を「捨てる」ことで、
全体のキャッシュフローは確実に改善します。
3. 学習塾の事例:多角化の失敗とコア事業への回帰
もう一つの事例として、ある個別指導塾を運営する個人経営者のケースを紹介します。
この経営者は、本業の個別指導塾が順調だった時期に、隣接する駅で「プログラミング教室」と「幼児向け知育教室」を新規に開設しました。売上を拡大し、事業の柱を増やそうと考えたのです。
膨らむコストと低下する質
しかし、新事業は思うように生徒が集まりませんでした。
- プログラミング講師の採用難による高賃金化。
- 幼児教室専用の備品や内装への追加投資。
- 経営者の意識が分散し、本業の個別指導塾の退塾率が上昇。
合計の売上高は以前より増えていましたが、会社全体では毎月数十万円の赤字に転落していました。経営者は「いつか当たれば回収できる」と耐えていましたが、手元の現預金が底をつきかけ、ついに決断を下しました。
実施した「売上の切除」
この経営者は、赤字の原因となっていたプログラミング教室と幼児教室を、同業他社に事業譲渡しました。あるいは、譲渡先が見つからない教室については、契約期間の満了を待たずに閉鎖しました。
その結果、以下の変化が起こりました。
- 固定費(家賃・人件費)が月額150万円削減された。
- 経営者が本業の個別指導塾の現場に集中できるようになり、退塾率が劇的に改善した。
- 赤字補填のための借入を考えるストレスから解放され、前向きな販促に投資できるようになった。
売上高はピーク時の30%減となりましたが、営業利益は過去最高を記録しました。まさに、負の売上を切り離したことで、本業が呼吸を取り戻した事例です。
4. 売上を切るための判断基準
どの売上を切り、どの売上を残すべきか。
その判断基準を整理するために、以下の表を参考にしてください。
事業別採算チェックシート
| チェック項目 | 継続すべき売上(優良) | 切るべき売上(赤字・停滞) |
| 貢献利益 | 経費を引いても利益が残っている | 売上が経費を下回っている |
| 経営リソース | 少ない労力で高い成果が出る | 経営者の時間が過剰に奪われている |
| 将来性 | 地域のニーズが増加傾向にある | 市場が飽和し、競合に勝てていない |
| スタッフの士気 | 活気があり、自律的に動いている | 疲弊しており、離職率が高い |
| 相乗効果 | 他の教室や事業に良い影響がある | 他の教室の利益を食いつぶしている |
5. 譲渡後の不安を解消する思考法
「売上をなくす」ことへの恐怖は、一種の喪失感から来ます。
しかし、
学習塾の譲渡は「終わり」ではなく、資産を現金化し、不採算というリスクを他者に引き受けてもらう「リスクヘッジ」の側面が強いのです。
手元に残る現金を活用する
赤字教室を譲渡して得られた譲渡代金、あるいは閉鎖によって流出が止まった現金は、次のような用途に活用できます。
- 高利回りの金融商品での運用(インカムゲインの確保)。
- 成長性の高い他事業への投資。
- 経営コンサルタントやアドバイザーとしての知見の販売。
特に、長年、学習塾を経営してきた経験は、これから塾を開業しようとする人や、経営に悩む若手オーナーにとって非常に価値のある「無形資産」です。形のある教室(売上)を切り離しても、あなたの経験という資産がなくなるわけではありません。
6. まとめ:勇気ある撤退が未来を作る
JALの例でもわかる通り、一度膨らんだ組織や事業を縮小させるには、拡大させる時以上の勇気が必要です。しかし、赤字状態の売上に執着し続けることは、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるようなものです。
「売上を切る」とは、失敗を認めることではありません。むしろ、次の成功のために戦う場所を選び直すという、極めて戦略的な意思決定です。
もし今、あなたの運営する教室の中に、利益を生まずにあなたの時間と資産を削っている場所があるのなら、まずはその売上を「捨てる」シミュレーションをしてみてください。その決断の先に、より健全で、ストレスのない新しい経営者人生が待っています。
売上という数字の呪縛から逃れ、本当の意味での「利益」と「平穏」を追求することが、今求められているのかもしれません。
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