個別指導塾の譲渡を考えているオーナーへ:生徒数20名ぐらいが売れやすい!

「そろそろ塾を誰かに譲ろうか」

そうお考えの塾オーナーや法人の皆さまへ。

近年、学習塾の譲渡は活発化しており、特に個別指導塾は買い手からの需要が非常に高まっています。その背景には、売り手と買い手、双方のニーズが合致する時代が到来したことが挙げられます。

事業譲渡というと、大規模な塾や多額の売上がある塾でなければ難しいと思われがちですが、実はそうではありません。

特に個別指導塾の場合、生徒数が20名という一つの目安が、スムーズな譲渡を可能にする重要な指標となります。

この記事では、学習塾の譲渡・買収が増えている背景から、売れやすい塾のスタイル、そして生徒数20名という数字が持つ意味について、詳しく解説していきます。


学習塾の譲渡が増えている背景:売り手の事情

近年、学習塾の譲渡を検討するオーナーが増えています。その背景には、主に以下の3つの要因が挙げられます。

  • 後継者問題の深刻化 多くの個人塾では、オーナー自身が高齢化し、引退を考えても後継者が見つからないという課題に直面しています。親族が事業を継ぐケースは減り、従業員も経営を引き継ぐことに抵抗がある場合が少なくありません。これまでの経営努力を無駄にせず、生徒や従業員の将来を守るために、事業譲渡という選択肢が現実味を帯びてきています。
  • 事業の選択と集中 複数の事業を手掛ける法人の場合、時代の変化に合わせて経営資源を再配分する「選択と集中」の動きが加速しています。本業に経営資源を集中させるために、非中核事業となった学習塾部門を譲渡するケースも増えています。譲渡によって得た資金を、新たな成長分野への投資に回すことができます。
  • 業界の競争激化 少子化が進む一方で、オンライン教育や多様な学習サービスが登場し、学習塾業界の競争は激化しています。生き残るためには、デジタル化への対応や新しい教育コンテンツの開発など、多額の投資が必要となります。こうした投資負担や、日々の経営に対する疲弊から、事業の継続を断念し、譲渡を選ぶオーナーも少なくありません。

これらの背景から、自身の塾を次のステージへと託したいと考える売り手が増えているのです。


学習塾の買収が増えている背景:買い手の事情

一方、学習塾を買収したいと考える買い手も増加しています。買い手の多くは、成長が見込める新規事業を探している異業種からの参入企業や、既存の事業を拡大したい同業他社です。

  • 安定した収益モデルへの魅力 学習塾は、入塾金や月謝が継続的に得られるストック型ビジネスであり、比較的安定した収益が見込める事業です。不況時でも教育への投資意欲は衰えにくく、景気変動の影響を受けにくいという特徴も魅力的です。
  • 既存の事業とのシナジー効果 異業種からの参入企業にとっては、既存事業とのシナジー効果を狙えることも大きな魅力です。例えば、IT企業が学習塾を買収すれば、自社のテクノロジーを活用した新しい教育サービスを展開できます。また、不動産会社が所有する物件を塾として活用する、といったケースも見られます。
  • 初期投資やリスクの低減 ゼロから学習塾を立ち上げる場合、物件探し、内装工事、生徒募集、講師採用など、多大な時間と費用がかかります。しかし、既に生徒や講師、運営ノウハウが揃っている既存の塾を買収すれば、これらの初期投資や立ち上げリスクを大幅に削減できます。買収後すぐに事業を開始し、収益を上げられる可能性が高いのです。

このように、売り手は「事業の選択と集中」「後継者問題の解決」といった課題を抱え、買い手は「新規事業への参入」「安定した収益モデルの獲得」といった成長機会を求めています。

この双方の思いが、まさに今、活発な譲渡市場を形成しているのです。

・・・とは言え、なんでもかんでも売れているかというとそうではありません。


売れやすい学習塾のスタイルとは?

それでは、具体的にどのような学習塾が買い手から見て魅力的で、売れやすいのでしょうか。この項目はとても重要ですので、もう少し詳細述べて参ります。

  • 小規模かつ専門性が高い塾 大規模な塾よりも、地域のニーズに特化した小規模な塾の方が、買い手にとっては買収しやすい傾向にあります。例えば、特定の科目(数学や英語など)に特化した塾や、特定の学年層(高校生専門、中学受験専門など)に絞った塾は、その専門性が高く評価されます。

まず、なぜ「小規模?」と思われますでしょうか。
事業をこれからスタートしようとされる方は、たくさんの層の方がいらっしゃいますが、最初から大きくスタートしようという方は少ないです。資金の問題もありますし、マネジメントの問題もあります。

学習塾の場合には、個人の方が検討されるケースもとても多いのです。例えば、脱サラして自分の教室を持ちたい、定年退職後のセカンドライフとして今度は子供たちとともに楽しく過ごしていきたい、法人の方が異業種だけれど、最初はスモールスタートで様子を見ながら拡大をしていきたい、すでに学習塾を経営されていて、2号、3号と教室数を増やしていきたい、

そのような需要がある中で、小規模で専門性の高い塾は想定以上にニーズがあります。

  • 個別指導形式の塾 特に買い手からの需要が高いのが、個別指導塾です。個別指導は、生徒一人ひとりの学力や進捗に合わせたきめ細やかな指導が可能であり、保護者からのニーズも高いスタイルです。また、大規模な集団授業の塾に比べ、生徒一人あたりの売上単価が高い傾向にあり、収益性も魅力です。

こちらはもう最後の行に書いた通りでもあるのですが、それ以外にも要素があります。学習塾のオーナーになろうと考えている人たちの不安要素のナンバー1は何だと思いますか?

それは、自分に教えられるだろうか?質問がきたらどうしよう?このような教務関連に絡んだ不安です。個別指導塾の場合には、マネジメントを行うマネージャー(教室長)と授業を実施する講師陣(先生)が完全分業がしやすいのです。
そして実際に、講師にかかるコスト面でとらえても学生講師をメインに雇うことが出来ますので、社会人講師よりも比較的低コストで運営が出来ます。

イメージ的には、1:2スタイルの学習塾の場合で、生徒数の20~30%ぐらいの講師を学生講師で雇えればしっかりと回せます。
これが1:3スタイル、1:6スタイルによって、講師数をコントロールすることが出来ます。

  • 運営ノウハウが標準化されている塾 マニュアル化された運営ノウハウやカリキュラムが整備されている塾は、新しいオーナーが引き継ぎやすく、安定した運営が期待できます。特定のオーナーの個性やスキルに依存しすぎないビジネスモデルは、買い手にとって安心感があります。

この部分は意外と重要視されたほうがいい要素です。
自分なりのスタイルを自由に創造し、形にしていくことも運営としては面白いのですが、顧客目線で見た場合、メソッドは確立されていたほうが安心感があります。
あまりに突飛な発想では、顧客がついていけないのです。

やはり「学習塾とはどんなところ?」という基本路線があって、そこにしっかりとしたノウハウがあれば生徒たちの学習効果もあがります。

  • 収益構造が明確で、財務状況が健全な塾 安定した収益が見込めることはもちろん、人件費や家賃などの経費が適切に管理されており、健全な財務状況であることが重要です。透明性が高く、説明しやすい収益構造は、買い手の判断を後押しします。

どのぐらいのコストがかかり、どのぐらいの生徒数になったら、講師数をどの程度増やしたらいいのか、などなど学習塾の収益構造が明確にわかれば、戦略も立てやすくなります。
利益を計上するためにどのようなことが必要なのか、この点を買い手は知りたいのですから財務状況をもとにしたしっかりとした説明ができるぐらいになっていると尚良いです。


生徒数20名が譲渡の鍵を握る理由

先ほどもお伝えしたように、特に個別指導塾の場合、生徒数20名という数字が譲渡の際に重要な指標となります。なぜ、この数字が譲渡をスムーズに進める鍵となるのでしょうか。

生徒数20名という規模は、売り手にとっても買い手にとっても、いくつかのメリットがあります。

  • 買い手にとって「初心者でも運営しやすい」規模 初めて学習塾を運営する買い手にとって、生徒数が20名という規模は、無理なく事業をスタートできる絶妙な人数です。生徒数が多すぎると、引き継ぎ作業が複雑になり、運営ノウハウの習得に時間がかかります。しかし、20名であれば、一人ひとりの生徒の状況を把握しやすく、講師との連携も密に取ることができます。

実際に個別指導塾を運営された経験のある方でしたら、この20名の意味合いも何となくわかると思います。特に個別指導塾塾を新規開校されたオーナーが最初に目標にするのがだいたいこの20名です。
買い手にとって、最初からこの20名がいれば、本当に運営が楽しみですし、楽になります。そして早く慣れてきます。
対応は最初は大変ですが、すぐに20名の顔と名前が一致していい雰囲気の教室にすることが出来るのです。

  • 「2号店目の選択」としてちょうどいい人数 既に学習塾を経営している事業者の場合、生徒数20名の塾は、自社の2号店目として検討しやすい規模です。既存のノウハウを活かし、スムーズに事業を拡大できます。また、運営ノウハウが確立されているため、引き継ぎ後の手間が少なく、すぐに利益を出すことに集中できます。

1号店を成功させたオーナーが2号店を考えるときに、新規で立ち上げてもいいのですが、その際は20坪クラスから40坪クラスを想定するでしょう。
その際のコストは800~1200万ぐらいはかかると思います。

ところが、買収によって2号店を開始するのであれば、そのコストは大幅にカットできます。このメリットがとてつもなく大きいです。
そして!20名という生徒数が非常に運営しやすい生徒数で、そこからまた増やして30名、40名にしやすいちょうどよい母体となるです。

  • 「利益化させやすい人数」 個別指導塾の場合、生徒数20名であれば、家賃や人件費といった固定費を十分にカバーし、安定した利益を生み出せる可能性が高い人数です。もちろん、売上や利益は立地や月謝設定によって異なりますが、この規模であれば、しっかりと収益モデルを確立しやすいのです。これにより、買い手は事業買収後のリターンを具体的に見通すことができます。

先ほど述べましたように、20名を最初の目標にするオーナーは多いです。しかし通常、20名を突破したら、30名まではさほど時間かからずに達成できます。
利益化しやすい、させやすい人数であると言えます。これも実際に運営していくと、その意味がよくわかると思います。

  • 「発展性のある人数」 生徒数20名という規模は、まだまだ成長の余地を多分に残しています。教室のキャパシティや立地条件にもよりますが、適切なマーケティングや営業活動によって、さらに生徒数を増やすことが可能です。買い手は、単に既存の事業を引き継ぐだけでなく、事業を拡大していく楽しみや可能性をこの規模の塾に見出します。

個別指導教室で生徒が20名でしたら、講師の数は運営スタイルにもよりますが、6名前後いれば十分に回ります。30名になったら、10名はいたほうがいいです。だいたい生徒数の3分の1ぐらいです。

これは1:2指導の場合ですので、1:3とか1:4,1:6授業を想定するのであれば、もっと少ない講師数で回せます。
ただ、個別指導教室と銘打った場合、どこまでを「個別」と呼べるかです。
このあたりは運営方針や実際の生徒状況、保護者の受け状況を見ての判断になります。

最後に

学習塾の譲渡は、単なるビジネスの売買ではありません。オーナーがこれまで培ってきた教育に対する情熱や、生徒や保護者との信頼関係を、次世代に引き継ぐことでもあります。

もし今、個別指導塾の譲渡を考えているのであれば、あなたの塾が持つ**「生徒数20名」という価値**を改めて考えてみてください。それは、買い手にとって、手軽に始められ、利益を出しやすく、さらに成長の可能性を秘めた、非常に魅力的な事業なのです。

あなたの熱意と努力で育ててきた塾を、次のステージへと引き継ぐために、専門家への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

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