2026年の学習塾運営を占う:激変する教育環境と生き残りのための戦略的展望

※こちらの記事は、現時点で学習塾のオーナー様向け、または、これから「買収」によって学習塾を開始される方向けの内容です。
少子化という抗いようのない潮流に加え、AI技術の爆発的進化と学習指導要領の改訂が重なる2026年、学習塾業界は大きな転換点を迎えます。
本記事では、高校生、中学生、小学生の各カテゴリーにおける動向と、業界全体を席巻する新しいムーブメントについて、詳細な分析を行います。
これらの分析は、適当な想像で御伝えするものではありません。
2011年2月のまさに大地震の直前に一番最初の教室を開校してから今に至るまで、平均勤務時間 12時間/1日を通してきた学習塾経営のオーナーが真剣に分析したものです。
時代の変化とともに変遷を遂げてきた学習塾経営をつぶさに見てきて、まさに今は潮目の状態であると言いきれます。
変化のギヤが入ったのは、間違いなく2020年の新型コロナウィルスの蔓延であったことは言うまでもありません。
2021年、2022年と年度ごとに少しずつコロナ禍における経済が落ち着きを取り戻し、同年11月にはchat GPTが誕生しました。生成AIという言葉が闊歩し、あっという間に、AIという文字を見ない日はないぐらいになって参りました。
そして、教育改革は淡々と進められ、一言でいえば「多様化重視」になってきたのです。
この「多様化」というものが一つの大きなキーワードであることを是非捉えておいてください。
それでは、
まずは、高校、中学、小学校教育の変化及び、何が主流になっているのかを振り返ります。
1. 高校生(大学受験):一般選抜の形骸化と情報1への適応
2026年度入試は、新学習指導要領に基づく共通テストが実施される2カ年目にあたります。前年の2025年度入試は、科目再編や情報1の導入に対する警戒感から浪人生が減少し、安全志向が強まる年となりました。
しかし、2026年はその反動として、上位校への挑戦が再び活発化すると同時に、入試形態のさらなる多様化が進行します。
[総合型選抜・学校推薦型選抜の主流化]
もはや大学受験は、1月や2月の筆記試験だけで決まるものではありません。
文部科学省の方針もあり、私立大学のみならず国公立大学においても総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜の枠が拡大し、年内に合格を決める年内入試の比率が5割から6割を超えていくでしょう。
これに伴い、塾に求められる役割は、教科指導は勿論のこと、小論文指導、面接対策、そして何より重要な、高校3年間の活動実績(ポートフォリオ)の構築支援へとシフトします。
2026年の塾運営において、まず教科指導については、高校で実施される定期考査の対策が大きな比重を占めることとなります。
そして生徒一人ひとりの探究学習をどうサポートし、志望理由書をどう磨き上げるかというコーチング能力が、合格実績を左右する最大の要因となります。
[情報1という新教科の壁]
2026年は、共通テストにおける情報1の出題難易度が上がる年と予測されます。
導入初年度の易化傾向から一転し、プログラミングやデータサイエンスの深い理解を問う問題が増えるでしょう。
これにより、文系・理系を問わず情報の対策を専門的に行える塾へのニーズが急増します。
デジタルネイティブ世代であっても、試験としてのプログラミングは別物であり、これをいかに効率的に、かつ得点に結びつける形で教えられるかが、集客の鍵となります。
2. 中学生(高校受験):公立高校改革とキャリア教育の需要
中学生部門においては、少子化による公立高校の再編・統合が全国で加速します。
定員割れを起こす高校が増える一方で、人気のある伝統校や特色ある新設校への集中が強まり、倍率の二極化が一段と顕著になります。
[内申点制度の変容と定期テスト廃止への対応]
一部の中学校で進む定期テストの廃止や単元未満テストへの移行は、塾にとってのペースメーカーを奪う形となります。
2026年には、従来の定期テスト対策だけに頼った運営は通用しなくなります。
生徒が学校でどのような評価基準(主体的に学習に取り組む態度など)で採点されているかを精緻に分析し、デジタル教科書やタブレット学習と連動した指導を提供する必要があります。
[公立・私立の逆転現象]
授業料無償化の進展により、私立高校が公立高校の滑り止めではなく、第一志望として選ばれるケースが一般的になります。
2026年の中学生指導では、
5教科の偏差値を上げるだけでなく、併願戦略の高度化や、私立高校特有の単願推薦基準を満たすための戦略的な成績管理が求められます。
また、不登校生徒の増加に対応した、通信制高校への進学支援を組み込んだ個別指導モデルも、無視できない市場となります。
3. 小学生:二極化する教育投資と学校補習の再定義
小学生のマーケットは、中学受験を目指す層と、公立中学校への進学を前提とした学校補習層との間で、かつてないほど明確に分断されます。
保護者が我が子の特性をいち早く察知して、低学年からの学習が大きく躍進する可能性が高いです。この動きは残念ながら所得の多寡との比例関係になるかもしれません。
今は、少子化ですが、子どもにかける教育費は増加しています。その一つの傾向が「教育の低年齢スタート化」にあると思います。しかし、これは2026年に初めておこるムーブメントではなく、以前からその兆候はつよく見えていました。
低年齢化には、いくつかの「流派」的なものが存在します。
①中学受験を念頭に入れて早いうちから中学受験のための学習をスタートしたい意向
②中学受験よりも英語のスキルをUPさせていくことために、英語を習わせる意向
③算数と国語は小学生の胆となる教科として位置づけ、特に算数のリテラシーへの拘りを持つ意向
とりわけ小学生の場合には、自分自身の意思ではなく保護者の意思と決定が色濃く反映されますので、その点から考えてみても少子化がゆえに、1人当りの教育費が大きく上昇していることも頷けます。
[中学受験の加熱と低年齢化]
首都圏や近畿圏を中心とした中学受験ブームは、2026年も沈静化する兆しを見せないでしょう。
むしろ、大学入試改革への不安から、大学付属校への早期入学を希望する層が増加します。
特筆すべきは入塾時期のさらなる早期化です。小学3年生からの通塾が標準となり、一部では低学年向けの思考力養成コースが主要な収益源となります。
ただし、2026年は過熱する中学受験による児童のメンタルヘルスや親の負担が社会問題化し、詰め込み型ではない、体験型・探究型の受験指導を行う塾が注目を集めるでしょう。
[学校補習型の付加価値化]
一方で、中学受験をしない層向けの塾運営は、単なる計算や漢字の反復練習だけでは生き残れません。・・・と言いますか、小学生向けの学習塾で計算とか漢字の練習を授業として実施しているところがあるのでしょうか。
其の点がとても不思議です。
計算はまだわかるような気がしますが、漢字の練習をさせて月謝を頂くという感覚が、フィットしません。
それなら、漢字の練習の仕方を保護者さん、そして子にしっかりとレクチャーすればいいと思います。
さて、今日からの様相ですが、
2026年は、2020年代前半に導入されたGIGAスクール構想が完全に定着し、子供たちはタブレットを使いこなしています。
塾の役割は、学校の宿題を手伝うことではなく、学校ではカバーしきれない英語のスピーキング能力や、論理的思考力を養うプログラミング教育といった、習い事要素の強いプラスアルファの教育を提供することへと変化します。
個人的には、「英語」だと思います。
プログラミングも習いごととして、それなりに人気がありますが、もし学習塾とプログラミング教室をうまく融合させていきたいという考えがあるのであれば、
最初に「教科学習ありき」で、二次的要素として「プラグラミング」と考えたほうが無難です。
これを、逆にするとどうなるか・・・
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【実例(実話)】
では、教科学習とプログラミングの関係性で、順番を逆にしないほうが良いという実例、実話を紹介します。
教科学習が最初で、二次的要素がプログラミング「など」です。
これを逆にしたバージョンとして、プログラミングを入口として、教科学習へいざなうやり方は、成功はゼロではありませんが、期待、想定していたほどにはなりません。
特に「プログラミング教室を呼び水にして、教科学習へ誘導しようという考え」は、多くの人が普通に思います。
それが出来るものと妄想してしまうのです。
そして、プログラミング教室は、さほど手がかからない・・・自走式で対応できる・・・という甘言には決して騙されてはいけません。
手はかかりますし、自走で出来るはずがありません。自走というのは、子どもが勝手に進めてくれるし、教室長は何もしなくていい・・・そう取られかねません。
プログラミングの自走と言うのは、トラブルの元になるので、「自走」という言葉は封印したほうが良いと思います。
・単価が安い
・期待した教科学習への誘導は非常にレア
・自走などできない
・手がよけいにかかる
したがって、プログラミングを、学習塾で取り入れようとする場合には、これを「主」においたら非常に確率高く失敗します。
それまでの教科学習を「主」として、プラグラミングは「副」としておきましょう。
「副の副」「副の副のさらに副」としておいたほうが無難です。
手がかかり、コストもかかり、なおかつ実入りがすくなければ、確実に教室長が疲弊してしまうのです。
自分がオーナーで、自分が疲弊するのなら、痛みはわからないでしょう。
しかし、教室長を雇い入れて、その教室長が疲弊した場合は、早晩その人は辞めます。
同じ副なら、それはひどい副産物、副作用として痛い思いをすることになります。
よって、経験上、申し上げますが元々学習塾ならば、「学習」としての5教科を軸に組み立てたほうが無難です。
さりとて、高校生の項目のところに書いた「情報Ⅰ」については、共通テストどころか、今後社会に出てからも必要なスキルになります。
よってプログラミングスキルが全く不要と言ってるわけではありませんので、誤解ないようお願いたします。
4. 2026年の新しいムーブメント:AIとヒューマンタッチの融合
2026年の学習塾運営において、最も大きな変革をもたらすのは、生成AIの完全なる実装です。
これは効率化の道具ではなく、教育の本質を書き換えるものになります。
[パーソナライズの極致:AIチューター]
生徒一人ひとりの弱点をリアルタイムで分析し、その瞬間に最適な問題を生成して提示するAIチューターが、あらゆる塾の標準装備となります。
講義形式の授業は価値を失い、生徒はAIを使って自習し、人間の講師は生徒のモチベーション管理や、AIでは対応できない記述問題の添削、感情的なケアに専念する「コーチング・スタイル」が確立されます。
[サードプレイスとしての塾の再定義]
人口減少により地域のコミュニティが希薄化する中で、塾は単なる学習の場を超え、子供たちの居場所(サードプレイス)としての機能を強めます。
オンライン指導が普及したからこそ、対面でのコミュニケーションや、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨する環境の価値が見直されます。
2026年に選ばれる塾は、学力を上げるだけでなく、生徒の自己肯定感を高め、将来のキャリアについて対等に語り合える大人(講師)がいる場所となります。
[データ駆動型運営と経営の透明化]
入退室管理や成績推移だけでなく、自習室の利用頻度や、どの教材を何分解いたかといった細かな学習ログが保護者に共有されます。
2026年の保護者は、目に見えるエビデンスに基づいた指導を求めます。
感覚的なアドバイスではなく、データに基づいた科学的な指導を行えるかどうかが、塾の信頼性を左右します。
2026年 学習塾運営のチェックリスト
以下に、今後の運営で注目すべきポイントをまとめます。
| カテゴリー | 2026年の重点課題 | 具体的な対策案 |
| 高校生 | 総合型選抜の対策強化 | 探究学習のサポート体制と小論文専門講師の配置 |
| 中学生 | 公立高校再編への対応 | 地域別の志望校動向の精緻な分析と進路指導の早期化 |
| 小学生 | 中学受験の低年齢化 | 低学年向け思考力プログラムの開発と募集開始の早期化 |
| 共通技術 | 生成AIの本格導入 | 事務作業の自動化と生徒用AI学習ツールの導入 |
| 施設価値 | サードプレイス化 | 居心地の良い自習空間と対話型コーチングの実施 |
結論:淘汰の時代を勝ち抜くために
2026年の学習塾運営は、かつてのような「良い授業をすれば生徒が集まる」という単純な構造ではありません。少子化という市場の縮小に対し、客単価を維持・向上させるためには、圧倒的なパーソナライズと、AIには代替不可能な人間的魅力の双方が不可欠です。
特に、新しいムーブメントとしてのAI活用は、もはや選択肢ではなく前提条件となります。しかし、どれほど技術が進化しても、最後の一歩を生徒に踏み出させるのは、講師との信頼関係に他なりません。2026年に繁栄する塾とは、最新のテクノロジーを使いこなしながら、誰よりも生徒の未来に真剣に向き合う、アナログとデジタルの高度なハイブリッドを実現した塾であると断言できます。
今後、教育業界のボーダレス化はさらに進みます。
英会話スクール、プログラミング教室、そして学習塾。
これらの境界線が溶け合い、総合的な教育サービスを提供する形態が主流となるでしょう。
2026年は、その変革の波に乗り遅れることなく、自塾の強みを再定義し、地域の教育インフラとしての地位を確立する最後のチャンスとなるはずです。

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