成約事例04|一日の乗降者数が数十万人規模のターミナル駅のロータリー内、少し手狭だが、とにかく人は多い地域の空中店舗案件
最初にロケーションの説明を伺ったときには、駅前で人がうじゃうじゃいるから、生徒集めには最高ですよ、という内容でした。
ネットで一日の乗降者数も調べましたが、数字を見て驚きました。東京の新宿、渋谷、池袋などと比べたらもちろん比較対象外ですが、それでもかなりの多さです。
物件周辺の人や車の通りというのは、重要なファクターになるのですが、この規模になるとレベルが違います。しかもロータリー内ということでしたので、集客という部分ではとても良い条件がそろっているのではないかというのが、電話でご相談を承ったときの印象です。

譲渡案件概要
■教室所在地
千葉県
■指導形態
個別指導塾(FC)
■生徒数
21名
■売上高
1550万円
■営業利益
390万円
■譲渡金額
280万円
事業譲渡 ご決断の理由
お問合せ内容
とても物腰がソフトなオーナーさんでした。
教室周辺のロケーションや、どんな場所なのかという説明はだいたい伺ってわかったのですが、数字面のお話の際は、
教室のことは教室長に全部任せてあるので、ということで、細かい部分の話が電話ではなかなか見えない感じがしました。
もちろんこれは、普段から教室内部に入り込んでいるわけではないですから、仕方ないことではあります。
そのためアポイントを取って実際に現場に行ってお話をすることにしました。ただし、まだ教室長には譲渡の話をしていないため、近くの喫茶店でのお話となりました。
オーナーさんからのお話は比較的ゆっくりとしてペースで進みました。最初からの流れを噛みしめながら、おもいだしながらしっかりと伝えたいという気持ちが伝わりました。
以前は教室長を社員として雇って運営をしていたものの、その方が「独立」するということで退職されたことから、別の方を雇い入れて約1年ほど業務を行っているということでした。どうやら、この「以前の教室長」という方が、バイタリティという面では物凄く頼れる存在で、全部任せてもどんどん自分でアイディアを出す人だったようで、この時代と今の新しい方との比較をされている・・・そんな印象を受けました。
「自分は教室のことはあまりよくわからないから、教室長さんに任せている」
とのことで、ここでのお話でも具体的な数値データは伺うことが出来ませんでした。しかしながら、喫茶店から外を行き交う人々の様子や、確かにロータリー内ですので、ちょっと見上げたら看板が目立つ・・・ということで、案件としての成約はすぐに決まるのでないだろうかという個人的な見立てを持った次第です。
とは言え、数字データがない状態では買い手募集は難しいので、オーナーさんとアドバイザーが一緒に入室できる日でしかも現在の教室長が来ない時間帯に再度、今度は教室内でお話をすることにしました。
事前にオーナーさんから教室長に指示をしてくださったようで、経営的な資料として、「年間売上高」と「コストが分かる資料」及び「現状の生徒数や属性の一覧資料」「講師の資料」の4つを用意してくれていました。
資料はとても見やすく、まとまっているものでしたので、アドバイザーが自分でもしっかりと分析できるものでした。
ついでに、教室内の写真の撮影許可をもらい、生徒名が見える箇所を除いて20枚ぐらい撮影しました。
その後落ち着いた状態で話をさせていただくと、
オーナーさんが売却しようとしているいちばんの理由は、「全部任せていて楽は楽だけど、実感がわかない」ということに行き着くのかなと感じました。
ですから時折見せる寂しげな雰囲気もこの「実感がわかない」という部分につながっていたのでしょう。
ご自身は、もともと親の代から受け継いだ不動産をお持ちでそのオーナーとしての収入もあることから、FC加盟して学習塾の仕事を始めたそうです。以前の教室長は面接で最初に出会った人のようで、すぐにその人に運営を任せることにしたらしく、楽だけど・・・なんとなく実感がわかないというのは、最初の最初からそういう土壌があったのかもしれません。
売却の希望金額はいくらぐらいですか?
そう伺った際も、首をかしげて、「う~ん、いくらが妥当なんだろう・・・」ということでしたので、家賃とか本部への支払い金額と直近売上高から、アドバイザー提案で300万円前後が相場だと思いますと素直な感想を述べました。
募集開始
買い手様の募集
こちらの案件は、FCでしたので、一番早い方法としてはFC間譲渡という流れになります。ところがオーナーさんは、FC加盟はしたものの、最初から教室長にほぼすべてを任せていたため、本部との接点がほとんどなく、今を迎えたようです。
最初の教室長も今の教室長も本部との対応においても業務の一環としてきちんとしてくれたこともあり、いざ売却しようとなったときに、オーナーさんが本部内で頼れる人がいない・・・と言いますか、誰が担当のスーパーバイザーなのかも知らないということでした。
ですから通常このケースはFC間譲渡で本部を交えたほうが早く進みますし、FC案件は契約時の決まり事で、勝手に譲渡してはいけないという条項もおそらくあるだろうということから、オーナーさんにまずは、この話を本部に通してくださいとお願いしました。
筋道をきちんと立てておきませんと、あとで無用なトラブルになりますので、必要な措置をとっていきました。
アドバイザー経由、本部経由の紹介、どちらでも対応できますよということで、買い手募集がスタートしました。
予想通り、早く挙手してくれた方がいました。同一ブランドで運営しているやはりFC加盟の方でした。
初期面談
買い手候補の方は住まいも近いということと、「その場所は知っているし見たことがある」ということでした。ロケーション的なことやターミナルのロータリー内案件であることを知ってためか、かえって「売ってしまうのですか!?」という驚きの声もあげていました。
空中店舗ではありますが、とにかくこれだけの人通りがあるターミナルのロータリー内でしたら!ということで、最初の最初から乗り気でした。
大方の提示資料も最初から提示していましたし、売上高から計算した譲渡金額もすんなり受け入れてくれました。
ただし、とても気にされていたことがあります。
①教室長は継続してくれるのか
②あのあたりは自転車は置けないのではないか
この2つです。
教室長の継続については、まだ話をしていないためわからないということを伝えました。問題は2つ目です。自転車は周辺のどこにも置けない地域です。
たいていこのようなターミナル駅には、不法に駐輪している自転車を巡回して監視されている人たちが多いため、自転車を置くことは不可能です。
この点は実は最後の最後までネックポイントになっていました。
学習塾というと、
生徒たちは「自転車で通ってくる」ことが多いからです。
買い手候補の方もすでに2つの教室を運営されていましたので、こだわりポイントがあります。
第一は看板を掲げられること、第二は自転車が置けること、この2つです。
ロケーションは最高で、外からの視認性もよく、窓枠に貼ってあるガラス看板も遠くからも見えるということで、気に入ってくれていましたが、「自転車が置けない」という点については、唸り声をあげていました。
面談後から基本合意
条件のすり合わせ
基本合意前の打ち合わせも現場周辺の喫茶店に集合して行いました。オーナーさんとしては、譲渡が決まるかどうかまだわからないうちに今の教室長に伝えることはできないという意向もありました。
条件のすり合わせ事項はほとんどありませんでした。オーナーさんが早めに終着地点を見出したい意向もあったのか、現場での話し合いの際には、「少しは金額を下げてもいいですからね」ということをおっしゃっていました。
案の定、買い手候補の方からは、自転車はどこにも置けない感じですか?との質問がありましたが、これについては、アドバイザーも周辺探索をしましたが、無理そうでした。無理やりおいてもきっと、自転車を持っていかれてしまいそうです。
素朴な疑問として
「今いる生徒さんとか、今までの生徒さんとか自転車はどうされていたのですか?」と投げてみました。オーナーさんは教室状況は把握していないことがわかっていたのにも関わらず思わず聞いてしまったということです。
ただこの件については当初の物件選定時の不動産会社さんとのやり取りがあって、近くに置くところはないということを知っていたので、それなりの回答でした。同時に・・
「いや、ここは学校帰りに来る子が多いみたいですよ」
「あ、もしかして電車で学校に通っている生徒が多いという意味ですか」
なるほど、謎が解けました。ターミナル駅で、路線がたくさん通っていますから東西南北、いろいろな学校に電車通学している生徒が多いのです。
その瞬間
買い手候補の方も
「そういうことでしたか!まぁこれだけ人通りが多いわけですが、たいていこういう駅は自転車なんか置けませんからね、電車通い・・・そうでしたか!」と懸念点が氷解したようです。
この日、あらたにオーナーさんが持ってきてくれた資料の中に、問合せ件数を示すデータがありました。
これを見た買い手候補の方は、けっこう驚いていました。
きっと、この電車通学している生徒が多い事実と、問合せ件数を示すデータ一覧を見て、完全に決心がついたようです。
基本合意
お互いのムードもよかったので、もうこれで合意契約にしませんか?とふってみたところ、お二人とも異論が全くない様子で、うなづいてくださいました。
一番の決め手は、ひっかかりのあった「自転車問題」の思わなぬかたちで理由が分かった点、それから、「問い合わせ件数」がかなり多かった点の2つであることは間違いないでしょう。
アドバイザーもそのデータを見ましたが、やはり問合せ件数はかなり多いので、運営次第で大きく化ける可能性があると感じました。
すでに口頭でOKの状態でしたので、正式な基本合意書をメールで送信する旨を伝えて、この日のミーティングは終了しました。
譲渡契約締結からフォローアップ
デュー・デリジェンス
FC案件の良いところは、DDが滞りなく行える点です。本部へのロイヤルティの支払いがあるということは、その反面、使っているシステムにすべて残っているからです。
後は、現金勘定部分と実際の入金経路をチェックし、支払いコストについてをまとめていけば総体的なものが見えてきます。
こちらも現教室長がかなりしっかりとされた方なのか、整った資料をすぐに抽出することが出来ました。
譲渡契約
とんとん拍子で譲渡契約まで進みました。
そろそろ教室長へ正式に譲渡になってオーナーがチェンジすることを伝えたほうが良いでしょうということになり、オーナーさん自らがきちんと現教室長に話をしてくれたようです。
また現教室長も継続で運営してくれることも決定しました。オーナーさんとの人間関係はとても良好のようでしたので安心しました。
フォローアップ
譲渡契約が終わり、支払いが終わった直後から、新オーナーとなる方が教室で現教室長とお話をすることになりました。
ここからスタートです!
新オーナーさんは、すでに同一ブランドのFC加盟をされているのでシステムの使い方やマニュアルは把握されていますので、移行はさほど難しい問題ではありませんでした。

CROSS M&A (クロスM&A)の本気の取り組み
学習塾や習いごと教室を売ろうと考えている方、買おうと考えている方、双方それぞれに「思い」があります。
私たちは、まずこの「思い」を大切にしたいと考えています。
M&Aだからです。
機械的に、事務的に、アンハートフルにはやりたくない。
人として血の通った一人の人間として、心を込めて誠意をもって正しいやり方で進めてまいります。
そのために最初に伺う「思い」
お互いの思いをきちんと丁寧にすり合わせていけば、必ずまとまるのです。
そして!
一番大切にしたいのは、途中経過の契約ごとよりも譲渡契約がなされたあとのアフターフォロー、アフターケア、アフターサービスです。
仲介者、アドバイザーとして
しかも学習塾、習いごと教室専門特化したアドバイザーとして名乗りをあげている以上、
教育業界の内情をよく知るものとして
売り手様も買い手様も必ずご満足いただけるような、譲渡契約「後」にこだわりをもって、これがCROSS M&A(クロスM&A)のサービスの真髄なのだと自信をもってお伝えし続けていきます。