成約事例03|事前確認で譲渡を講師たちにオープンにしていたためか、講師全員が残留してくれた案件。

2025年06月20日

譲渡成約事例

運営開始から9年が経過し、オーナー様は新しい事業を本格的に実施したい(すでに一部は仕事を始めている)ということが譲渡決心の一番の理由でした。最初か買い手候補の方と金額的なすり合わせで少し難航するのかもと予想したのですが、意外と二つ返事でよい回答をくださいました。

買い手は法人としてすでに学習塾を営んでいて、場所的にも希望立地と近かったということが決め手だったようです。

この案件がスムーズ成約に至ったのは、講師たちが全員残留してくれることが初めから決定ていたからという点と、オーナー様が相当オープンな性格で、譲渡することをそうそうに宣言しながらも講師たちとの信頼関係をつくりあげていたという点が大きいと思いました。

譲渡案件概要

■教室所在地
東京都

■指導形態
個別指導

■生徒数
16名

■売上高
900万円

■営業利益
0万円

■譲渡金額
76万円

事業譲渡 ご決断の理由

お問合せ内容

特に譲渡を大急ぎで終わらせたいという意向もなく、こだわりのポイントもさほど多くありませんでした。ただオーナーとしては、正直な気持ちとして「違う仕事をやってみたくなった」というのが本当のところでした。
理念とか生き甲斐とか、そういうものよりも、自分の性分にあった仕事をやってみたい。その気持ちが強かったようです。実際に教室でお話しを伺った際にも、違う仕事(簡易的なリフォームのお仕事)に関してのパンフレットや、顧客名簿?のようなものも教室長机にポンと置いてあるぐらいですから、相当 あけっぴろげな性格でした。
そしてすべてにおいて正直な方でした。

スタートした9年前の頃の写真も見せてもらいました。ロードサイドの教室ですが、自転車がおけるぐらいの入り口前のスペースがあります。そこに所せましと自転車がずらりと並ぶ様子の写真でした。時刻は夕方というか夜の写真で中からの光がいい感じで外に漏れ出て、自転車が並ぶ様子が少し幻想的にさえ見えるいい写真だったのです。

Aさんは目を細めながら色々なことを話してくださいました。気持ちが一番張り切っていた頃つまり9年前が一番やりがいがあって、一番燃えていて、それなりにうまくいっていて、そのあと2年目も3年目のけっこう生徒の問合せもあって、東大の講師とかもいたので、何もしなくても口コミが拡大していったそうです。

そして4年目から8年目ぐらいまでの話は、勢いよく端折って、直近の話は、違う仕事を「本格的に」やりたくなったという内容でした。
厳密には、違う仕事はすでに始めていて、小さいリフォーム案件で、午前中早い時間が多いので、塾の仕事を掛け持ちしているとのでした。

なるほど、だから机の上にそういう名簿やパンフレットがあったのです。

「Aさん、もしかして譲渡のご意向は講師?先生たちはみんな知っているのではありませんか?」

聞いてみると
「ああ、うん、みんな知ってるよ」との回答でした。隠してもしょうがないし、たまに自分がこの仕事(小さいリフォーム)で出勤がおそくなるとは、講師が助けてくれるのだそうです。

(これは今までにないケースだ)と思いつつ、この偽りなく現状を伝えてくれるところから、個人的にAさんには好感が持てました。

理由が明確で、オブラートに包まれる部分がありませんでした。

ただ、売上高に対して最初Aさんがお望みの金額は、相場よりも高く、現状を考慮すると、ちょっと買い手がつかない可能性もありますが、打診してみます!ということでそこからお仕事をお受けした次第です。

募集開始

買い手様の募集

東京23区内の案件でしたので、個人的なつてで、数人の方に声掛けしておきました。この人たちは自分が買い手として名乗りをあげているのではなく、そういう買おうかなという人たちを多く知っているというという内容です。

長年、学習塾業務をやっていると、自然と横のつながりで仲間が増えてくるのです。

具体的に食指がわいた感じの方がいらっしゃいました。同じ東京ですでに教室を運営されている方です。法人でやっていて、代表自らも教室運営(一つの教室の教室長を兼任されている)をやっているため、大方の概要を伝えると話を来て下さることになりました。ただ、最初の段階から「ちょっと金額が高いのでは」という懸念をされていました。昨年実績と一昨年実績、及び今年の実績、それから直近3ヶ月の実績を分析していきました。

またこの話の段階で2名のご退塾が決定していましたので、この部分は一つ材料にならざるを得ないかなとは思っていました。

初期面談

比較的、お住まいが近かったこともあり、買い希望の社長とは実際にお会いして話をすることにしました。メールと現地にお伺いした際に、現オーナーから受けていた資料をもとにお話しをしてきました。
写真はちょっと少な目だったのですが、外観の写真3枚と、内部の写真4枚をみせつつ、アドバイザーが現地で感じた人通りや車通り、駅からの徒歩圏の状況、周辺環境、比較的問合せが多い学校の情報、そしてオーナーの今の心境なども伝えていきました。

社長ということもあって、決断がとても早い印象の方でした。
「話はわかりました。とりあえず現地見学してみましょうか」という内容でした。同時に「ただ、やっぱりちょっと譲渡金額が少し高い」ということではありました。

面談後から基本合意

条件のすり合わせ

こういう場合、小手先で遠回しに伝えるのではなく、直接的にストレートに、そして具体的に言ったほうがいいという長年の経験則がありましたので、
売上高の側面と、すでに2名の退塾が決定しているということも踏まえて、提示金額から24万円を差し引いてもらえませんかとお願いしました。

ここには根拠があります。

まず2名の生徒さんの月間の授業料等はお二人合わせて約8万円でした。売上の3か月計算をしていましたので、ご希望金額から24万円をひいた金額をという内容です。

Aオーナーは、「確かにそれは根拠あるな」ということで、当初から値段を下げて申し訳なかったのですが、これはフェアな取引になると直感しました。

基本合意

この値下げ打診をAオーナーが快諾してくれた後になるのですが、買い手の社長と現地待ち合わせで、教室見学をしました。
教室内部の形が、ほぼ凸凹のない長方形でしたので、物件的には使いやすいということと、いま雇い入れている講師たちが全員残留確定していることが、社長から見て魅力的だったようです。

講師は全部で8名いて全員が大学生でした。彼らの履歴書やデータ情報を見た際に、粒ぞろいだと感じたのだと思います。
それもそのはず、東京という土地柄だからでしょうか。全員高学歴で、8名中6名が5教科指導が出来るという内容だったのです。

講師を採用するためのコストから計算しても一人当たりの採用コストは、成功報酬型で概ね35万円かかります。
その分の採用コストがまるたま浮いた形になるのです。
すこし懸念されていたのは、テキストはあるにはあるけれど、ちょっと年度が古いという点と、長年運営のためか、箇所箇所で汚れが目立っていた点です。

これもAオーナーはご案内時も丁寧に誠意をもって、買い手社長に伝えていましたで、これはこれで良かったと思います。

メールで双方の方に伝えておいたのも奏功したのか、現地で基本合意書を頂くことが出来ました。

譲渡契約締結からフォローアップ

デュー・デリジェンス

DDの資料は、丁寧につくってくれた3年分がありましたので、ひとまずは譲渡金額の算出根拠になっている売上高を通常記帳内容と一緒に確認しました。
相違ない金額でしたので問題はありませんでした。何でもオープンに話をするAオーナーのことですから、買い手社長もかなり安心してくれたようでした。

譲渡契約

合意契約書とDDのあと、zoomで意思確認をすることにしました。譲渡契約まで進めるために、お二人の方とアドバイザーの3人でzoomミーティングを開催しました。
そこでは、質問を受ける形にしました。
買い手の社長からの何個かの質問に対して、Aさんは、とても丁寧に説明してくれました。

zoomのチャット欄に譲渡契約書を電子署名するためのURLを御伝えして、「〇日までに結論を出してこちらにサインと押印をお願いしますと伝えました。

実際の電子契約書は、内容を確認して、ダウンロードして保管してきます。

フォローアップ

Aさんの教室は、フリーダイヤルの契約もされていました。いずれにしても譲渡ですので、名義変更が必要です。これは前回も少々行き違いが発生した経緯もありましたので、慎重に確認しながら進めました。
あとは複合機です。

複合機については買い手の社長が、会社として付き合いのある業者へ依頼するということでしたので、入れ替えとなりました。その際、古い複合機をAさんが契約していた先に引き取ってもらう内容で進めようと思ったのですが、どうやらリース契約を5年か6年で組まれその後、複合機を買い取って保守だけ依頼していたようです。
こちらも問い合わせをして、保守サービスをやっている会社が低額の引取り料で受けてくれました。

Aさんは、ご自分の新規で始めた事業もあるため、いろいろな連絡先への対応や、解約などもクロスM&Aアドバイザーと、買い手の社長とでどんどん進めていった次第です。

何より心強かったのは、講師たちの存在です。8名残ってくれて、みんな優秀で協力的だと感じました。彼らが業務フォローをしてくれたことが、本内容がきれいに整った一番の理由です。