学習塾譲渡における電話番号の引き継ぎ:詳細解説

2025年07月08日

譲渡

学習塾の譲渡において、電話番号の引き継ぎは、生徒や保護者とのコミュニケーションの生命線であり、事業の継続性を担保する上で極めて重要な要素です。このプロセスを円滑に進めることは、顧客満足度を維持し、譲渡後の混乱を最小限に抑えるために不可欠です。

譲渡では特別な事情がなければ電話番号をそのまま引き継いだほうがよい

なぜ学習塾の譲渡で電話番号の引き継ぎがこれほど重要なのでしょうか。

  • 顧客接点の維持: 生徒や保護者は、塾への連絡手段として既存の電話番号を記憶しています。番号が変われば、連絡が取れなくなり、問い合わせ機会の損失、ひいては生徒の離反に直結します。
  • 信頼感の継続: 変わらない電話番号は、塾が安定して運営されていることの証であり、生徒や保護者に安心感を与えます。急な番号変更は、不安や不信感につながりかねません。
  • 既存広報物の活用: 名刺、パンフレット、ウェブサイト、看板、塾内掲示物など、あらゆる既存の広報物に記載されている電話番号をそのまま利用できることは、新たな広報物作成の手間とコストを大幅に削減します。
  • 緊急連絡網の維持: 災害時や急な休講などの緊急連絡網としても電話番号は機能します。既存の連絡網を維持できることは、危機管理の観点からも重要です。

これらの理由から、電話番号の引き継ぎは、譲渡交渉の初期段階から具体的に検討し、計画的に進めるべき課題であると言えます。

また、学習塾の場合、意外と多い需要が兄弟姉妹や紹介の入塾です。連絡先が変わらず、教室の雰囲気ムードが変わらず、教室長もそのまま居てくれたら、一気に話が進むはずです。
「変わらない」ということは、いつの時代でも「安心感」に繋がります。

電話番号を変える場合(新規取得の場合)

学習塾においては、番号変更は極力避けるべき選択肢であり、慎重な検討が必要です。

しかしながら、何らかの事情があり、既存の電話番号の引き継ぎが困難な場合や、譲受側が事業の刷新を意図して敢えて新しい番号に変更したいと考える場合もあります。

メリット(限定的):

  • イメージの一新: 新しい出発を示す象徴として、新しい電話番号を採用する場合があります。
  • 通信コストの見直し: 新規契約により、より安価な通信プランを選択できる可能性があります。

デメリットと対策:

  • 顧客への周知徹底: 最も大きな課題は、生徒や保護者への新しい電話番号の周知です。
    • 複数チャネルでの告知: 塾内掲示、生徒・保護者への個別配布文書、ウェブサイト、SNS、メールマガジンなど、考えうる全てのチャネルで繰り返し告知します。
    • 旧番号からの転送サービス: 旧電話番号が一定期間維持可能であれば、新番号への転送サービスを設定し、着信があった際に自動音声アナウンスで新番号を伝えるようにします。これは、生徒・保護者にとって最も親切な方法です。ただし、旧番号をいつまで維持できるか、転送費用はどれくらいかを確認が必要です。
    • 移行期間の設定: 電話番号の切り替えには、一定の移行期間(例えば3ヶ月~6ヶ月)を設け、旧番号と新番号を併記する、旧番号からの転送アナウンスを流すなどの工夫が必要です。
    • 既存広報物の更新: 名刺、パンフレット、看板など、記載されている電話番号を全て新しいものに更新するコストと手間が発生します。
  • 顧客離反リスク: 周知不足や手間により、塾への連絡が困難になった顧客が、退塾を検討するリスクがあります。
  • 緊急連絡網の再構築: これまでの緊急連絡網の基盤となっている電話番号が変更されるため、再構築が必要になります。

事情があったにせよ、なるべくなら電話番号は継続したほうがいいと改めて思わせるデメリット群です。但し、コストを全体的に見直していく過程で「通信費」というのは、見直しすればコストカット効果が即日出ますので、経営面で見ると有効なこともあります。

電話番号をそのまま使う場合(引き継ぎの場合)

学習塾の譲渡において最も推奨されるのは、既存の電話番号をそのまま引き継ぐ方法です。これにより、事業の継続性を最大限に確保し、顧客への影響を最小限に抑えることができます。

引き継ぎ方法の選択肢:

電話番号の引き継ぎ方法は、現在利用している通信サービスの形態によって異なります。

  1. 固定電話(アナログ回線・ISDN回線)の場合:
    • 名義変更: 基本的には、現在の契約者(譲渡側)から新しい契約者(譲受側)への契約名義変更手続きを行います。これは最もシンプルな方法ですが、通信事業者(NTTなど)によって手続きが異なります。
    • 注意点: 未払い料金がある場合、名義変更ができないことがあります。また、譲受側が新たに法人として契約する場合など、必要書類が多岐にわたる場合があります。
  2. ひかり電話・光電話の場合:
    • 同一回線事業者内での名義変更: 同じ光回線事業者(NTT東西フレッツ光+ひかり電話など)を利用している場合、名義変更が可能なケースが多いです。ただし、回線事業者とプロバイダが別の場合、プロバイダ契約の引き継ぎも同時に検討する必要があります。
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      この点は要注意です。
      回線とかプロバイダとか、話がこんがらがってくることが多いので、まずはNTTに連絡をすることをお勧めします。
    • 回線事業者変更の場合: 譲受側が別の光回線事業者を利用したい場合、現在の電話番号を新しい回線事業者に引き継ぐ「番号ポータビリティ(LNP)」制度を利用できるか確認します。ひかり電話の場合は可能なケースが多いですが、一部制約がある場合もあります。
    • 注意点: 光回線の契約そのものを引き継ぐのか、電話サービスだけを引き継ぐのかによって手続きが異なります。工事費が発生する場合もあります。



      NTT東日本 0120-116-00
      NTT東日本・西日本共通のフレッツ光に関する問い合わせ 0120-373-116


  3. IP電話の場合:
    • プロバイダによる: プロバイダが提供するIP電話サービスの場合、プロバイダの規約によって引き継ぎの可否が大きく異なります。多くの場合、名義変更は難しいか、一度解約して新規契約となる可能性があります。
    • 050番号の場合: 050から始まるIP電話番号の場合、番号ポータビリティが適用されないケースが多いため、番号を変えざるを得ない可能性が高いです。

引き継ぎ手続きのポイント:

  • 通信事業者への事前確認: 譲渡の話が具体化したら、まずは現在利用している通信事業者(NTT、KDDI、ソフトバンク、各光コラボ事業者など)に、「事業譲渡に伴う電話番号の引き継ぎについて」と伝え、具体的な手続き方法、必要書類、所要期間、発生する費用(名義変更手数料、工事費など)を詳細に確認します。

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ネットで書かれている情報を追うよりも、通信事業者に連絡するほうが早いです。

この電話の名義変更手続きは、事業者から見ても間違えがあってはならない重要な手続きのため、確認につぐ確認があります。
そのため、この手続きを後回しにしてしまうと、実際の譲渡が完了して明日から新オーナーが運営開始という段になって、いまだに電話の譲渡が完了していない・・・
そのような事態になってしまいます。

電話の譲渡は早めに着手しましょう。

【法人から法人への譲渡】

履歴事項全部証明書
現在事項全部証明書
登記簿謄本(抄本)
印鑑登録証明書資格証明書
地縁団体台帳
などの本人確認書類が 譲渡側も買収側も両方必要です。
3か月以内のもので、※法人名・住所・設立年月日等が記載されているものが必要です。

  • 旧契約者(譲渡側)と新契約者(譲受側)の協力: 名義変更手続きには、両者の書類提出や同意が必要不可欠です。スケジュールを共有し、協力して手続きを進める体制を構築します。
  • 契約内容の確認: 現在の通信契約がどのような内容になっているか(固定電話、ひかり電話、ADSL、光コラボなど)、付帯サービス(FAX、Wi-Fi、フリーダイヤルなど)は何があるかを正確に把握します。

NTT東日本の各種変更手続きについてはWEB手続きがあります。少しでもわかりにくいと感じたら、上記の連絡先に電話しましょう。

ややこしいのが、CAFから始まる番号です。

CAFから始まる番号は、NTT東日本・NTT西日本との契約時に発行されるお客さまID」または「回線ID」のことです。具体的には、フレッツ光や光コラボレーション回線の契約時に「開通のご案内」という書類に記載されています

これ、一番最初の開通時のご案内書類なのですが、どこに保管したか忘れてしまったとか、捨ててしまったということがあります。
こういう番号は電話で問合せても絶対に教えてくれません。

その際は、再度、「開通のご案内」を再発行してもらうしかありません。

このように、意外と、電話の名義変更はサクサクできるものではありません。従いまして、まずは電話で問合せて、どんな手続きをどのような手順でやるべきなのかを聞いたほうがいいのです。

付属サービスとしてのWi-Fiはどうするか

多くの学習塾では、生徒用や講師用のインターネット接続としてWi-Fiを導入しています。このWi-Fiサービスも、電話番号と同様に引き継ぎを検討する必要があります。

引き継ぎの選択肢:

  1. 既存の回線とWi-Fiサービスをそのまま引き継ぐ:
    • 最もスムーズな方法: 現在利用しているインターネット回線(光回線など)と、それに付帯するWi-Fiルーター等の機器を含めて引き継ぐのが最もスムーズです。電話番号の引き継ぎと同時に、通信回線の名義変更や移転手続きを行います。
    • 注意点: プロバイダ契約も同時に引き継ぐ必要があります。譲受側が既存のプロバイダに不満がある場合、プロバイダのみ変更することも可能ですが、その場合は設定変更や機器の交換が必要になることがあります。
  2. Wi-Fiサービスのみ新規契約する(回線はそのまま/回線も新規):
    • 回線は引き継ぎ、Wi-Fiルーターは譲受側で用意: 既存の光回線は引き継ぐものの、Wi-Fiルーターは譲受側で別途用意し、新たな設定を行うケース。設定変更の手間はかかりますが、機器の老朽化や性能に不満がある場合に有効です。
    • 回線ごと新規契約: 既存の回線契約を解除し、譲受側が新たな通信事業者と光回線およびWi-Fiサービスを契約するケース。電話番号の引き継ぎが困難な場合や、大幅な通信コスト削減を目指す場合に検討されますが、工事が必要になることが多く、一時的なインターネット不通期間が発生するリスクがあります。

Wi-Fi引き継ぎの注意点:

  • 回線とプロバイダの紐付け: Wi-Fiは基本的にインターネット回線に接続して利用するため、回線契約とプロバイダ契約がどのように引き継がれるかが重要です。
  • 機器の所有権: 現在設置されているWi-Fiルーターが、譲渡側の所有物か、通信事業者からのレンタル品かを確認します。レンタル品であれば、通信事業者との契約変更に伴い返却や再レンタル手続きが必要になる場合があります。
  • 設定情報: Wi-FiのSSID(ネットワーク名)やパスワードなど、生徒や講師が利用している接続情報が変更になる場合、周知徹底が必要です。
  • セキュリティ: 古いWi-Fiルーターのセキュリティパッチが適用されているか、最新のセキュリティ基準を満たしているか確認し、必要に応じて新しい機器への交換や設定の見直しを検討します。

フリーダイヤルは必須か

学習塾において、フリーダイヤル(0120、0800で始まる番号)の導入は必須ではありませんが、導入している場合はその引き継ぎも重要になります。

フリーダイヤルのメリット:

  • 顧客の利便性向上: 生徒や保護者が通話料を気にせず気軽に問い合わせできるため、問い合わせのハードルが下がります。
  • 集客効果: 特に新規生徒獲得に向けた広告などでフリーダイヤルを掲載することで、電話での問い合わせが増える可能性があります。
  • 信頼性・プロフェッショナルな印象: フリーダイヤルを設置していることで、企業としての信頼性やサービスの質が高いという印象を与えることがあります。

フリーダイヤルの引き継ぎ:

  1. 既存のフリーダイヤル番号の引き継ぎ:
    • 番号ポータビリティ: フリーダイヤル番号も、NTTコミュニケーションズなどの提供元によっては、名義変更や他社への番号ポータビリティが可能な場合があります。
    • 契約プロバイダの確認: どのようなサービスと連携しているか(通常の電話回線に付帯しているのか、クラウドPBXなどのサービスの一部か)を確認し、提供元に引き継ぎの可否を確認します。
    • 注意点: フリーダイヤルの契約者変更には、通常の電話番号とは異なる手続きが必要になることがあります。
  2. 新規にフリーダイヤルを契約する場合:
    • 既存のフリーダイヤル番号が引き継げない場合や、譲受側が新しいフリーダイヤル番号を取得したい場合は、通信事業者やフリーダイヤルサービス提供会社と新規契約を行います。
    • 費用: 月額基本料金や通話料など、通常の電話番号とは異なる料金体系となるため、費用対効果を検討します。

フリーダイヤルの要不要の判断:

  • 現状の利用状況: 現在の塾でフリーダイヤルがどの程度利用されているか(新規問い合わせの何割がフリーダイヤル経由かなど)を分析します。利用頻度が低い場合は、必須ではないと判断できます。
  • 譲受側の戦略: 譲受側が今後、積極的な集客戦略を展開し、電話問い合わせを重視するのであれば、フリーダイヤルは有効なツールとなります。
  • 費用対効果: フリーダイヤルには月額費用や通話料が発生します。そのコストが、期待される集客効果に見合うか検討します。
  • 代替手段: ウェブサイトの問い合わせフォームやメール、SNSのDMなど、フリーダイヤル以外の問い合わせ手段が充実しているかどうかも考慮します。

まとめ:電話番号引き継ぎ成功のためのロードマップ

学習塾の譲渡における電話番号の引き継ぎは、以下のステップで進めることが成功の鍵となります。

  1. 現状把握の徹底:
    • 現在利用している電話番号(固定、ひかり電話、IP電話、フリーダイヤルなど)の全てをリストアップする。
    • それぞれの番号の通信事業者、契約形態、契約名義人、契約内容(付帯サービス含む)を正確に把握する。
    • Wi-Fiサービスについても、契約している回線、プロバイダ、機器の所有権を確認する。
  2. 通信事業者への早期相談:
    • 譲渡の意向が固まったら、速やかに各通信事業者に連絡し、「事業譲渡に伴う電話番号・通信サービスの引き継ぎ」について相談する。
    • 可能な引き継ぎ方法、必要な手続き、書類、所要期間、発生する費用(名義変更手数料、工事費、解約金など)を全て確認し、書面で控えておく
  3. 譲受側との情報共有と調整:
    • 通信事業者から得た情報を譲受側に共有し、どの電話番号をどう引き継ぐか(名義変更か新規取得かなど)を合意する。
    • Wi-Fiサービスやフリーダイヤルについても、引き継ぎの要否と方法を決定する。
    • 手続きに必要な双方の協力体制(書類準備、担当者窓口など)を確立する。
  4. 移行計画の策定と実行:
    • 電話番号や通信サービスの切り替え日時を明確にし、具体的な移行スケジュールを策定する。
    • 番号変更が発生する場合は、生徒・保護者への周知方法と期間を十分に確保する。
    • 万が一のトラブルに備え、代替の連絡手段や緊急対応策を準備しておく。
  5. 引き継ぎ後の確認:
    • 譲渡完了後も、電話番号が正常に機能しているか、Wi-Fiが安定して利用できるかなどを定期的に確認する。
    • 生徒や保護者からの連絡で問題が発生していないか、フィードバックを収集する。

電話番号は、学習塾の事業継続において不可欠なインフラです。その引き継ぎは、譲渡プロセスの中心的な課題の一つとして、細心の注意と計画性をもって取り組むべきです。これにより、生徒や保護者への影響を最小限に抑え、譲渡後のスムーズな事業運営を可能にします。


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