夏期講習商戦とM&A:成功への道筋は潜在的価値をどう見極めるか!

学習塾業界にとって、夏は最大の書き入れ時です。

特に夏期講習は、多くの生徒が新たな学びを求める時期であり、塾の売上を大きく左右する重要なイベントです。この時期にどのようなキャンペーンを展開し、どれだけの生徒を獲得できるかは、塾の経営状況を測るバロメーターとなります。そして、この「夏の盛り上がり方」を知っている学習塾こそが、M&A市場において高い評価を得る傾向にあります。

学習塾の買収をご検討中の方は、まずは学習塾の売上高は、月間売上高の12倍ではなく16倍で計算するという基準の考えを押さえておいてください。

学習塾M&Aの今

近年、少子化による生徒数の減少や競争激化を背景に、学習塾業界ではM&Aが活発に行われています。後継者不足に悩む小規模塾の事業承継、経営基盤強化を目指す中堅塾の規模拡大、あるいは異業種からの教育事業参入など、M&Aの目的は多岐にわたります。

特に「異業種からの参入」が目立っており、引き合いが活発です。これから数年のうちに、全く新しい個性を持った学習塾が突如現れるかもしれません。

学習塾という業種はこうだ!という既成概念に捉われないユニークなアプローチ手法を持った学習塾が誕生するかもしれません。
とは言え、やみくもにただ学習塾を買えばよいというわけではありません。

成功するM&Aと失敗するM&Aを分けるのは、対象となる塾が持つ「潜在的な価値」をどれだけ正確に見極められるかにかかっています。

そして、教育業界の動向や地域の需要を理解し、学習塾の市場ポジションを評価することが必要です。

塾のカリキュラムや教師陣の質、学生の成績向上率など、教育の質を示す指標を確認することも重要です。さらに、生徒数の推移や口コミ評価、保護者の満足度など、コミュニティ内での評判を調査することで、その塾が持つブランド価値を見極めることができます。

これらの要素を総合的に分析し、将来的な成長性や収益性を見通すことで、M&Aの成功につながるでしょう。

さて、この「潜在的価値」の分析として、オススメの方法は、

年間売上高を単純に合計して分析するよりも、通常の売上高と講習売上高それぞれを分けて考察する方法です。夏期講習のキャンペーン戦略とその成果は非常に重要な要素となるからです。


そして、もっと重要なのが、伸びしろがあるかどうかの予想分析です。
このあたりは、CROSS M&A(通称:クロスマ)のアドバイザーの得意な領域です。

学習塾は特殊なサービス業であり、ツボをしっかりと押さえておけば、必ず売上をアップさせることが出来るのです。

では、夏期講習の数字を分析すればいいのか

いえ、実は違うのです。
話の流れ的には、何となく「夏期講習」の合計数字だろう!?と思われたかと存じます。確かにそれは重要です。
しかし本当に意味のあるテーマは、「潜在的価値」を見抜くために、どこを見るべきなのか!というところにあります。

この答えは、下の方に書いてありますが、流れが大切ですので、是非我慢されてご一読ください。45000時間以上の実務実績を積んできたアドバイザーが自信をもって「見るべき数字」を御伝え致します。

夏期講習キャンペーンの重要性

夏期講習は、塾にとって生徒を獲得し、売上を最大化するための絶好の機会です。

新規生徒の獲得はもちろんのこと、既存生徒の囲い込み、さらには季節講習をきっかけとした通常コースへの入塾促進など、その目的は多岐にわたります。

優れた夏期講習キャンペーンは、単に短期的な売上を上げるだけでなく、塾のブランドイメージを高め、生徒や保護者からの信頼を構築する上で不可欠です。いわゆる広告活動、広報活動の一環として「夏」のイベントを盛り上げていく必要があるのです。

M&Aを検討している買い手側からすれば、対象となる学習塾が過去にどのような夏期講習キャンペーンを実施し、どのような成果を上げてきたかは、その塾のマーケティング力や集客力を判断する重要な指標となります。効果的なキャンペーンを展開し、安定的に生徒を獲得できる塾は、M&A後も収益を上げ続ける可能性が高いと評価されるでしょう。

個別指導塾30社の夏期講習キャンペーン事例に見る成功のヒント

今回、個別指導塾30社の夏期講習キャンペーン施策を調査しました。その結果、各社が様々なアプローチで生徒獲得に注力していることが明らかになりました。ここでは、主なキャンペーンの種類と、M&Aの視点から見たその重要性について考察します。


ところで、なぜ 他社のキャンペーン概要が必要?

競合他社がどのような戦略を打ち出しているのかをリサーチするのは、学習塾業界だけでなく、全業界必須です。

「そんなスパイみたいなことは性に合わないなぁ」

などとおっしゃらないでください。

知彼知己、百戦不殆。不知彼而知己、一勝一負。不知彼不知己、毎戦必殆。

これは孫子の兵法における「敵を知り、己を知れば、百戦殆うからず」の原文です。何かしらのビジネス書籍を読まれた方は、この文章に出くわすことが多いでしょう。

競合他社がどのような夏期キャンペーンを実施しているのかを確認し、自社における夏期講習生向け、通常の入学生向けの特典や商品設定を戦略として打ち出していくと良いでしょう。

チラシや、ハンドビラ、ホームページ、SNSなどを使って多角的に訴求していくことになります。

さて、上記のPDFの個別指導塾30社の状況を見てみると、約8割の塾が夏期のキャンペーンを設定しています。


どのようなキャンペーンが設定されているか


①レギュラー入学特典4コマ無料(指導コマのプレゼント)…65%の塾で設定

②夏期講習の受講コマ数に応じた指導コマのプレゼント
※共に適用条件が設定されていることが多いです。(通常入学は週2回以上、夏期講習12回以上など)

③ギフトカードプレゼント…2,000~5,000円が多い…25%の塾で設定


見ると、この3つがキャンペーン設定されているようです。

学習塾が実施するキャンペーンをここでまとめていきましょう。

1. 無料体験・授業キャンペーン

最も一般的で効果的な施策の一つが、無料体験授業の提供です。多くの塾が「〇日間無料体験」「〇コマ無料授業」といった形で、気軽に塾の雰囲気を体験できる機会を提供しています。

M&Aにおける重要性: 無料体験は、新規生徒獲得の入り口として非常に重要です。無料体験からの入塾率が高い塾は、効果的なカウンセリングや授業内容を提供できている証拠であり、M&A後の事業拡大において高いポテンシャルを持つと評価されます。

体験授業を通じて生徒が塾の質の高さを実感できれば、そのまま正規の入塾につながる可能性が高まります。これは、塾のブランド力と指導力の高さを示す強力な指標となり、M&Aにおける価値を高める要素となります。

2. 割引キャンペーン

入塾金無料、授業料割引、教材費割引など、金銭的なインセンティブを提供するキャンペーンも多数見られました。

  • M&Aにおける重要性: 割引キャンペーンは、短期的な集客効果が期待できます。

    入会金無料は、入塾へのハードルを下げる上で有効ですが、少し形骸化しているのか、最初から入会金を取らない塾も多いです。

    M&Aを検討する際には、割引に依存しすぎた集客モデルではないかを見極める必要があります。割引なしでも生徒を集められるブランド力や指導力があるかどうかが、長期的な塾の成長性を測る上で重要です。過度な割引は、塾の収益性を圧迫する可能性もあり、M&A後の財務健全性にも影響を与えるため、慎重な評価が必要です。

3. 特典付きキャンペーン

図書カードやクオカードのプレゼント、友達紹介特典、兄弟姉妹割引など、付加価値を提供するキャンペーンも多く見られました。

  • M&Aにおける重要性: 特典付きキャンペーンは、生徒や保護者の満足度を高め、口コミによる紹介を促す効果が期待できます。特に、友達紹介特典は、既存生徒を巻き込みながら新規生徒を獲得できるため、コストパフォーマンスの高い集客方法と言えます。M&Aの観点からは、このような特典が、単なる一過性の集客手段ではなく、長期的な生徒定着やブランドロイヤルティの向上に貢献しているかを評価することが重要です。

4. 成績保証・合格保証キャンペーン

一部の塾では、「成績保証制度」や「志望校合格保証」といった、成果にコミットするキャンペーンを展開しています。

  • M&Aにおける重要性: 成績保証や合格保証は、塾の指導力に対する自信の表れであり、保護者にとって大きな安心材料となります。M&Aを検討する買い手側にとっては、このような保証制度が、実際の指導実績に裏打ちされているかどうかが重要です。高い保証制度を掲げながらも、実態が伴わない場合は、M&A後のブランド価値低下やクレームにつながるリスクがあります。一方で、実績に基づいた保証制度は、塾の教育品質の高さを証明し、M&Aにおける高い評価に繋がります。

5. 目標達成応援キャンペーン

夏期講習中の目標設定支援、学習計画作成サポート、特別講習の無料提供など、生徒の学習意欲を高めることを目的としたキャンペーンも見受けられました。

  • M&Aにおける重要性: これらのキャンペーンは、生徒一人ひとりに寄り添う個別指導塾の強みを活かした施策と言えます。生徒の学習意欲を引き出し、自己肯定感を高めることは、長期的な生徒定着に繋がります。M&Aの観点から見ると、このようなきめ細やかなサポート体制は、塾の教育理念や指導体制の充実度を示すものであり、M&A後の事業シナジーを創出する上で重要な要素となります。

6. オンライン夏期講習キャンペーン

コロナ禍を経て、オンラインでの学習機会を提供する塾も増えています。オンライン夏期講習の割引や、オンライン自習室の開放などが見られました。

  • M&Aにおける重要性: オンライン対応は、場所を選ばずに生徒を獲得できるだけでなく、将来的な事業拡大の可能性を秘めています。M&Aを検討する買い手側からすれば、オンライン教育への対応状況は、塾のDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組み姿勢や、将来的な市場変化への適応能力を示す指標となります。オンラインとオフラインのハイブリッド型指導を提供できる塾は、M&A市場で高い競争力を持つと言えるでしょう。

M&Aを成功に導く夏キャンペーンの要素

学習塾のM&Aを検討する上で、夏期講習キャンペーンは集客施策以上の意味を持ちます。それは、塾の経営力、ブランド力、教育品質、そして将来性を映し出す鏡だからです。M&Aを成功に導くためには、以下の要素を意識した夏期講習キャンペーンの実施が不可欠です。

1. 明確なターゲット設定とメッセージ

誰に、何を伝えたいのかを明確にしたキャンペーンは、高い集客効果を発揮します。M&Aの買い手側は、その塾がどのような生徒層をターゲットにし、どのようなニーズに応えているのかを重視します。ターゲット層が明確で、そのニーズに合致したメッセージを打ち出せる塾は、M&A後も安定した生徒獲得が見込めると判断されます。

2. 効果測定とデータ分析

キャンペーンの成果を定量的・定性的に測定し、次回の施策に活かすPDCAサイクルを回せているかどうかも重要です。



【実例(実話)】

恒例のCROSS M&A(通称:クロスマ)がお送りする、実例実話のコーナーです。
ズバリ、どんなキャンペーンが一番効果があるのか、効果が出るのか!についてお答え致します。

結論から申し上げて、年間を通してという視点に立つと、最も効果が高いのは「紹介キャンペーン」です。
夏であれ、冬であれ、春、秋であれば、通年の実績データから断然「紹介キャンペーン」です。

例えば、

・ちょっといつもより金額を多くしたプレゼント的なキャンペーン
・期間を長くしたキャンペーン
・いつもとプレゼント内容を変更したキャンペーン
・けっこう太っ腹なキャンペーン

色々やりました。思いつくことは全部!とはいわずとも、アレやコレやとやりました。しかし、一番効果があり、一番集客につながったのは、間違いなく「紹介キャンペーン」です。


3. ブランドイメージの向上

キャンペーンは、単なる生徒獲得だけでなく、塾のブランドイメージを向上させる機会でもあります。一貫したブランドメッセージの発信や、質の高い教育サービス提供を通じて、保護者からの信頼を獲得することが重要です。M&Aでは、ブランド力が高い塾ほど、M&A後のシナジー効果が大きく、買収価格も高くなる傾向にあります。

4. 継続的な生徒定着への貢献

夏期講習で獲得した生徒を、いかに通常コースへ繋げ、長期的に定着させるか。これが、塾の持続的な成長には不可欠です。M&Aを検討する際には、夏期講習から通常コースへの移行率や、生徒の継続率が重要な指標となります。短期的な集客だけでなく、長期的な視点での生徒マネジメントができている塾は、M&A後の事業安定性が高いと評価されます。

つまり、通常の生徒さん以外に、「夏期講習だけ」を目的とした顧客をどう継続してもらうかという意味です。これは余計なアプローチと思われるでしょうか?

実は、夏期講習からスタートして、そのまま継続して通常の授業を実施する生徒さんになることは、かなり多いのです。
ですから、「夏期講習をやりっぱなし」ではなく、きちんと夏期講習が終わる前に保護者と生徒を交えた三者面談の日程を組むべきです。
このフォローがあるかないかで、結果が大きく変わります。

5. スタッフの意識と実行力

どんなに素晴らしいキャンペーンも、それを実行するスタッフの意識と能力が伴わなければ成功しません。夏期講習は、塾全体の士気を高め、スタッフのチームワークを強化する機会でもあります。M&Aにおいては、従業員の定着率や、教育への情熱、そして変化への適応能力なども評価の対象となります。夏期講習キャンペーンを通じて、スタッフの育成やエンゲージメントを高めている塾は、M&A後の組織統合もスムーズに進む可能性が高いです。

学習塾M&Aの際、潜在的価値はここを見る!

お待たせいたしました。夏のキャンぺーンの重要性をずっと述べて参りましたが、潜在的価値はここを見る!という重要なテーマの答えをここに書かせて頂きます。
それは、
「次年度を占うことが出来る在籍バランスか」ということです。

もっと具体的にいうと、

①小中高校生のバランス
②受験生・非受験生のバランス


この2つです。その中でも後者を重視しましょう。

例えば、いま教室の在籍が40名だとします。受験生が30名、非受験生が10名だとしましょう。これは次年度を占ううえで、どうなりそうか何となく予想つきますよね。

割合は「M&Aで買収」するのであれば、逆がいいです。
受験生は10名、非受験生が30名のほうが伸びしろは、抜群にあるはずです。

これが答えです。

まとめ:M&A成功の鍵は「夏の盛り上げ方」にあり

学習塾業界におけるM&Aは、今後も活発に展開されることが予想されます。少子化という逆風の中で、勝ち残る塾、そしてM&Aによってさらなる成長を遂げる塾は、常に変化に対応し、新たな価値を提供できる塾です。

夏期講習は、その塾が持つマーケティング力、教育力、そして経営力を試される絶好の機会です。効果的なキャンペーンを展開し、生徒を惹きつけ、その後の学習へと導くことができる塾は、M&A市場において高い評価を得るでしょう。

もし今この記事をご覧頂いている方が学習塾のM&Aを考えているのであれば、
夏のキャンペーン戦略の重要性と同時に、「潜在的価値」についてもどうか覚えておいてください。

塾の持つ真の価値は、ゴーイングコンサーンです。継続企業です。
単なる売上や生徒数だけでは計れない部分もあるのですが、やはり「夏の盛り上げ方」であったり、先を見通すことが重要で、年度単位で継続して安定した実績を残せるのが一番いいのです。

これらの塾の状況をよく知った上で、買収をするのであれば、間違いなくM&Aの成功への道筋を照らす光となるでしょう。



CROSS M&A(クロスM&A)は学習塾・習いごと専門のM&Aサービスで、業界ナンバー1の成約数を誇るBATONZの専門アドバイザーです。BATONZの私の詳細プロフィールはこちらからご確認ください。
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