学習塾・習いごと教室を新規開校する際の成功の鍵:商圏分析とネットリサーチの徹底攻略
はじめに
学習塾や習いごと教室の新規開校。
新たな夢と希望に満ち溢れた瞬間がたくさん待ち受けている!そんな想像をするだけでも心がウキウキします。
但しその規模の大小関わらず事業を起こしたわけですから、色々な責任が付加されて、良いことも良くないこともすべて自分にかかってきます。
成功への道を切り開くためには、闇雲に開校するのではなく、入念な準備と戦略が不可欠です。その中でも特に初期段階・・・「開校しようかな・・・」そう思った段階において重要なのが、「商圏分析」と「ネットリサーチ」です。
この2つの分析は、物件という箱ものの「前に」、開校を検討している地域の特性、競合の状況、ターゲットとなる顧客状況を深く理解するために必要な動作なのです。
これらの情報を正確に把握することで、どのような塾・教室が求められているのか、どこに開校するのが最適なのか、どのような集客戦略を立てるべきなのかといった具体的な方針を導き出すことができるのです。
本稿では、学習塾や習い事ごと教室を新規開校する際に不可欠な商圏分析とネットリサーチについて、それぞれの分析で「見るべきポイント」を詳細に解説します。さらに、これらの分析結果をどのように診断し、どのような具体的戦略を展開するのか!についても掘り下げていきます。

第1章:商圏分析の徹底攻略
商圏分析とは、店舗や施設が顧客を獲得できる地理的な範囲(商圏)を特定し、その範囲内の人口構成、世帯構成、競合状況、交通量などを詳細に分析することです。学習塾や習い事教室の場合、特に「子ども」をターゲットとすることから、その特性に合わせた分析が求められます。
それなりに学校の数は多いけれど、よく見たら学校一つ一つの人数が少ない!
住民数はそれなり多いが、実際に現調してみると老齢人口が多い!
このように、想像とは異なる現実もあるかもしれません。物件を選定して各種業者を入れてからでは遅いので、物件を選ぶ前に行うこと、それが商圏分析とネットリサーチです。
1.1 商圏設定の考え方
商圏を設定する際、一般的には「徒歩圏」「自転車圏」「公共交通機関利用圏」といった区分で考えます。学習塾・習い事教室の場合、特に子どもの通塾・通学手段を考慮することが重要です。
- 徒歩圏(半径500m~1km): 小学校低学年が自力で通える範囲。この範囲にどれだけの潜在顧客がいるかが重要です。
- 自転車圏(半径1km~2km): 小学校高学年~中学生が自転車で通える範囲。地域によってはこの範囲がメインの商圏となることもあります。
- 公共交通機関利用圏(半径2km~5km以上): 路線バスや電車を利用して通塾・通学する生徒が想定される範囲。特に駅前立地の場合、この範囲が広くなります。
これらの距離はあくまで目安であり、地域の地形(坂が多いか、広い道路があるかなど)や治安状況によっても、実際に子どもが通える範囲は変動します。
例えばターミナル駅であれば、近隣に物件があったとしても自転車が置けない場合があります。そのような大きな駅の場合は、中高生などは電車で通学しているケースも多く、自転車が置けないことが完全なマイナス要素にはならないこともあるのです。
また、地図上では、四方八方にターゲットとなる小中高校が点在していたとしても分断要素が通塾経路を阻害しているケースもあります。
それは、
・線路
・高速道路
・大きな道路
・高低差
などです。
特に地図で確認する場合には、このような要素もよく見て、「線路」や「高速道路」がある場合は、たいていは分断されてしまう可能性として捉えておいたほうがいいでしょう。
極端な話、
例えば教室所在地が駅の西側にあったとします。駅チカでしたら、そういうシチュエーションは多くあります。
その場合、東側からの集客は少し難しくなります。駅東側にはまた別の教室が存在している場合などは分断要素がより濃くなります。
このように、地図やデータだけでは計り知れない部分もありますので、必ず現調(現地調査)は必要です。
まずは、開校できる可能性のある場所をピックアップしていき、データやネットによる情報収集で、リサーチしていきますが、
いよいよ「ここは!」という場所がありましたら、現調へGOです!
1.2 人口統計・世帯構成の分析
商圏内の人口構成や世帯構成は、塾・教室のターゲット層がどれだけ存在するかを直接的に示します。
- 子ども(0歳~18歳)人口の動向:
- 絶対数: 商圏内にどれだけの子どもがいるのか。市区町村の統計データや国勢調査の結果を活用します。
- 増減傾向: 過去数年間の子ども人口の推移を確認し、今後増える傾向にあるのか、減る傾向にあるのかを把握します。少子化が進む中でも、特定の地域では子育て世帯の流入により子ども人口が増加しているケースもあります。
- 年齢構成: ターゲットとする学年(例:小学生、中学生、高校生)の人口比率を確認します。例えば、幼児教室であれば未就学児の比率が重要になります。
- 世帯構成:
- 核家族世帯の割合: 子どもを持つ世帯がどれだけいるのか。
- 共働き世帯の割合: 共働き世帯が多い地域では、学童保育的な要素や送迎サービスなど、保護者のニーズに合わせたサービス提供が有効になる場合があります。
- 所得水準: 世帯年収のデータは直接得られにくいですが、周辺の住宅情報(マンションの価格帯、一戸建ての広さなど)や、高級スーパーの有無などから間接的に推測できます。高所得者層が多い地域では、より専門性の高い、あるいは高額なサービスでも受け入れられやすい傾向があります。

↑ こちらの画像は年齢別人口、世帯数などのデータを示したものです(sample)
1.3 競合の分析
競合の有無とその内容は、開校戦略を大きく左右します。競合は必ず存在します。しかし一方では、競合が存在するということはイコール、商売になるということに繋がります。
商圏的に魅力があるから他塾、他の教室も出店しているのだろうという感覚をもってもいいでしょう。
それから、コンビニエンスストアがある場所(特にセブンイレブン)は、利益ある場所選びとして立地に厳しい見方を持っているため、これもまたオススメポイントです。
- 競合施設のリストアップ:
- 大手学習塾
- 地域密着型の中小学習塾
- 個別指導塾
- 英会話教室、ピアノ教室、スイミングスクール、プログラミング教室などの習い事教室
- 公立・私立学校の補習や受験対策の実態
- 競合施設の詳細分析:
- 立地: どこに位置しているのか。駅前、住宅街、幹線道路沿いなど。
- 規模: 生徒数、教室数、講師数など。
- 提供サービス・カリキュラム: 小学生専門、中学受験専門、高校生向け大学受験、個別指導、集団授業、英会話、プログラミングなど。どのような強みを持っているのか。
- 料金体系: 月謝、入会金、教材費など。高額なのか、リーズナブルなのか。
- ターゲット層: 成績上位層向け、苦手克服向け、中学受験向けなど。
- 評判・口コミ: インターネット上の口コミサイトやSNSでの評判をチェックします。良い点、悪い点、保護者の声などを把握します。
- 空き状況: 生徒募集の状況や、満席に近い状況なのか、まだ余裕があるのか。これは直接尋ねることは難しいですが、説明会参加や電話での問い合わせを通じて間接的に探ることも可能です。
競合分析を通じて、自社がどのような「差別化」を図るべきか、あるいは「ニッチ市場」を見つけるヒントが得られます。競合が多いエリアでも、特定のニーズが満たされていない場合はチャンスとなります。

↑ こちらは商圏内の人口ピラミッドです。

↑ こちらは、1人当りの年収額や年収の年代別人口などが表とグラフになった分析資料です。
1.4 地域特性・インフラの分析
商圏内の生活環境やインフラも、塾・教室の運営に影響を与えます。
- 交通量・人通り:
- 昼間・夜間の交通量: 特に、子どもが通塾する時間帯(夕方~夜)の交通量を把握します。駅からの導線、バス停からの距離なども重要です。
- 人通りの多さ: 商店街の中、住宅街のメインストリートなど、人通りが多い場所は認知度を高めやすいです。
- 公共施設・教育機関の分布:
- 学校(小学校・中学校・高校)の位置: ターゲットとする学校の近くに開校することで、通いやすさという点で優位に立てます。学校のイベントや長期休暇のスケジュールに合わせたプロモーションも可能になります。
- 公園、図書館、病院など: 周辺環境の利便性も、保護者が通塾を検討する際の判断材料となります。
- 治安状況:
- 犯罪発生率: 地域ごとの犯罪発生率を自治体のホームページなどで確認します。子どもが夜間に通塾することを考えると、治安が良いに越したことはありません。
- 不審者情報: 地域の掲示板や防犯情報なども確認します。
- 土地利用規制:
- 用途地域: 開校予定地が、学習塾や習い事教室の営業が認められている用途地域であるかを確認します。住居専用地域などでは、制限がある場合があります。
- 地域イベント・コミュニティ:
- 地域の祭り、イベント: 地域に根ざした活動に参加することで、地域住民との関係を築き、認知度向上に繋がる可能性があります。
- PTA活動、自治会活動: 保護者のコミュニティへの参加や情報提供も有効です。
徒歩圏、自転車圏にどのぐらいの学校があるのかはとても重要です。
小学校、中学校、高校がどのぐらいあるのか、学習塾や習いごと教室のターゲットは小学生から高校生であることが多いのですから、その数は実際の児童、生徒数なども調査しましょう。

↑
こちらは実際の商圏分析の小中学校リストという項目です。教室所在地からどのぐらいの距離があって、どのぐらいの人数が通っているのがわかります。
一つの学校の実際の人数がかなり少ない場合(例えば全校生徒で100人ぐらいとか)は、将来的には併合の可能性があります。
そのような学校が多く存在したとしても、学校の生徒数が多いところよりも競争原理が働きにくいため、集客難易度は少し高くなります。
大学の最寄り駅の教室も集客、講師応募に期待が出来ますので、これも是非覚えておいてください。

↑ こちらは商圏内の年齢別人口を表した表が書かれた画像です。(sample )ターゲットとして小中高校生となりますので、ここの合計にある4,861名という子供たちが顧客になる可能性のある潜在的なターゲットということになります。
この数が2000名とかですと、ちょっと商売的にはきついと思います。
1.5 独自のアンケート・ヒアリング調査
データだけでなく、生の声を聞くことも重要です。
- 保護者へのアンケート:
- 「塾や習い事に求めること」「現在困っていること」「理想の学習環境」「通塾・通学手段」など、具体的なニーズを探ります。
- オンラインアンケート、街頭アンケート、既存の顧客(知人など)へのヒアリングなど。
- 子どもへのヒアリング(保護者の同意の上):
- 「どんな習い事をしたいか」「どんな先生に教えてもらいたいか」「どんな場所で勉強したいか」など、子どもの目線からの意見も貴重です。
- 地域住民へのヒアリング:
- 地域の課題、子育て環境に関する意見など、客観的な情報を得ます。
第2章:ネットリサーチの徹底攻略
ネットリサーチは、商圏分析で得られた定量的な情報に加えて、ターゲット顧客の具体的な行動、嗜好、そして潜在的なニーズを掘り起こすために不可欠です。特に現代において、情報収集の多くはインターネット上で行われるため、オンラインでの存在感を把握し、適切な情報発信を行う上で非常に重要です。
2.1 検索エンジンの分析
ターゲット顧客がどのようなキーワードで情報を検索しているのかを把握することで、ホームページや広告の戦略を立てられます。
- キーワード検索ボリュームの調査:
- 「地域名 + 学習塾」「地域名 + 習い事」「中学受験 + 地域名」「英語教室 + 子ども + 地域名」など、ターゲット顧客が検索しそうなキーワードの月間検索ボリュームを、Googleキーワードプランナーなどのツールで調査します。
- 検索ボリュームが多いキーワードは、それだけニーズが高いことを示しています。
- 関連キーワードの把握:
- メインキーワードだけでなく、「個別指導」「少人数制」「英検対策」「プログラミング」など、より具体的なニーズを示す関連キーワードも抽出します。
- 検索結果上位サイトの分析:
- 検索結果で上位表示されている競合サイトの内容(提供サービス、料金、特徴、強み、ブログ記事など)を詳細に分析します。
- どのような情報が検索ユーザーに求められているのか、どのようなコンテンツが評価されているのかを把握します。
2.2 SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の分析
SNSは、顧客の生の声やリアルタイムな情報を得る上で非常に有効なツールです。
- 主要SNS(X、Instagram、Facebook、TikTokなど)での情報収集:
- 「地域名 + 塾」「地域名 + 習い事」などで検索し、どのような会話がなされているかを確認します。
- 競合塾や教室がどのような情報を発信しているか、フォロワーの反応はどうかを分析します。
- 地域のイベント情報や子育てに関する話題など、地域住民の関心事を把握します。
- インフルエンサー・地域アカウントの特定:
- 地域に影響力を持つ子育て系インフルエンサーや、地域の情報発信を行うアカウントを特定し、彼らがどのような情報を発信しているか、どのような層に支持されているかを分析します。
- ハッシュタグの分析:
- 「#地域名ママ」「#地域名子育て」「#地域名学習塾」など、関連性の高いハッシュタグを検索し、利用状況や投稿内容を分析します。
2.3 口コミサイト・レビューサイトの分析
口コミサイトは、顧客がサービスを評価する際の具体的な判断基準や、不満点などを知る上で非常に重要です。
- Googleビジネスプロフィール:
- 競合のGoogleビジネスプロフィールのレビュー内容を詳細に確認します。良い評価、悪い評価、共通して言及されている点などを把握します。
- 特に悪い評価は、顧客が何を不満に感じているのかを知る貴重な情報源となります。
- 塾・教育系口コミサイト:
- 「塾選びの口コミ」「塾ナビ」「テラコヤプラス」など、学習塾や習い事教室に特化した口コミサイトで、競合の評価や評判をチェックします。
- 「先生の質」「授業内容」「料金」「サポート体制」「教室の雰囲気」など、具体的な項目ごとの評価に注目します。
- 地域情報サイト:
- 地域の情報サイトや掲示板などで、学習塾や習い事に関する投稿や相談がないかを確認します。
2.4 ポータルサイト・情報サイトの分析
学習塾や習い事の情報をまとめたポータルサイトは、顧客が比較検討する際に利用する重要な情報源です。
- 掲載されている競合の情報:
- 各ポータルサイトに掲載されている競合の塾・教室が、どのような情報(コース、料金、特徴、写真など)を掲載しているかを分析します。
- 特に、どのような「強み」をアピールしているのかに注目します。
- ポータルサイトの集客力:
- 特定のポータルサイトが、地域でどの程度の集客力を持っているのか、利用者が多いのかを推測します。新規開校時に掲載を検討する際の判断材料になります。
2.5 オンラインアンケート・モニター調査
より具体的なニーズやペルソナ(仮想の顧客像)を深掘りするために、オンラインでアンケートやモニター調査を実施することも有効です。
- ターゲット層に特化したアンケート:
- SNS広告やWebサイトを通じて、開校予定地域の保護者や学生を対象にアンケートを実施します。
- 「どんな悩みを抱えているか」「どんなサービスを求めているか」「どこで情報を収集しているか」など、具体的な質問でニーズを探ります。
- オンライン座談会・グループインタビュー:
- 少人数を対象にオンラインで座談会やグループインタビューを実施し、より深い意見や本音を引き出すことも有効です。
上記2章の内容を全部やろうとしても時間的に、コスト的に難しいと思います。自分に合ったもの、自分にあったやり方で情報を収集していければいいと思います。
どれぐらいの見込みが立つかについては、一概に何かに完全比例とは言いにくい要素が複雑に絡み合うのですが、
物件前の人通りは、重要なポイントではないかと思います。
しかもそれは、生活道路における人通りという観点です。
駅チカから徒歩5分圏内を立地として選定した場合は、「駅の乗降者数」も一つの指標になります。これは「●●駅 乗降者数」と検索すればすぐにわかります。イメージ的に、地域密着型で運営していくという観点であれば、2万人程度いたら十分に商売として成り立っていくと思います。
この10倍、50倍の駅もありますが、それは完全にビジネス街だったりします。
第3章:商圏分析とネットリサーチの統合と戦略立案
商圏分析で得られた客観的なデータと、ネットリサーチで得られた顧客の生の声やオンライン上の動向を統合することで、より具体的で実効性の高い開校戦略を立案できます。
3.1 ターゲット顧客の明確化とペルソナ設定
分析結果に基づき、どのような層の生徒・保護者をターゲットとするのかを明確にします。
- 年齢層・学年: 小学生低学年、中学受験を目指す小学生、定期テスト対策に悩む中学生、大学受験を控える高校生など。
- 学習目的: 成績向上、受験合格、苦手克服、習い事スキル習得、才能開発など。
- 保護者のニーズ: 共働き家庭のサポート、送迎サービス、進路相談、費用対効果など。
また、時代の変化とともにこんな風になってきたなぁという部分を思い起こしてみると新しいアイディアが浮かぶかもしれません。
例えば
・最近はほとんどのお母さんがパートで働いている
・最近は学校に行けなくなってしまった子たちが増えている
・最近は中学受験率が高くなっている
などなどです。
3.2 自教室の独自の強みを開発・設定
競合が多い中で、自塾・教室が選ばれる理由となる「差別化された独自性を持つ教室」を開発・設定していくのも大きな一手となります。
- 競合との差別化ポイント:
- 指導方法: 完全個別指導、少人数制グループ指導、AIを活用した個別最適化学習など。
- 専門分野: 特定の学校の受験対策専門、理数系特化、英会話に特化したプログラミング教室など。
- サービス内容: 送迎サービス、自習室完備、オンラインでの質問対応、保護者面談の充実など。
- 料金体系: 定額制、成果報酬型など、他にはない料金プラン。
- 講師の質: プロ講師のみ、難関大出身者揃いなど、講師の専門性や指導経験。
- 雰囲気・環境: アットホームな雰囲気、集中しやすい環境、カフェのような空間など。
- ターゲットのニーズとの合致: 設定したターゲット顧客のニーズを最も満たす強みを打ち出します。
3.3 立地戦略の決定
商圏分析の結果に基づき、最適な立地を決定します。
- 候補地の選定: 子ども人口が多いエリア、学校や駅からのアクセスが良い場所、競合との差別化が図れる場所など。
- 物件の選定: 教室の広さ、内装、設備、家賃、治安、駐車・駐輪スペースの有無などを総合的に判断します。
- 視認性・集客性: 大通りに面しているか、看板が目立つか、人通りが多いかなども重要な要素です。
3.4 サービス内容・料金体系の具体化
ターゲット顧客のニーズと競合の状況を踏まえ、具体的なサービス内容と料金体系を決定します。
- コース設定: 例えば、「小学生低学年向け思考力育成コース」「中学生向け定期テスト対策コース」「高校生向け大学別対策コース」など。
- 教材選定: ターゲット層やコース内容に最適な教材を選定します。
- 時間割: 学校の終業時間や習い事のスケジュールなどを考慮し、通いやすい時間帯を設定します。
- 料金体系: 入会金、月謝、教材費、季節講習費など、明確な料金体系を設定し、保護者が理解しやすいように提示します。競合との比較も重要です。
3.5 集客・マーケティング戦略の策定
商圏分析とネットリサーチで得られた情報に基づいて、効果的な集客戦略を策定します。
- オフライン戦略:
- チラシ・ポスティング: 商圏内のターゲット世帯に直接アプローチします。
- 地域情報誌への掲載: 地元のフリーペーパーや情報誌への広告掲載。
- 学校前でのビラ配り: 許可を得て、ターゲット校の周辺でPR活動を行います。
- 地域イベントへの参加: お祭りやフリマなど、地域のイベントに出展し、塾・教室の存在をアピールします。
- 口コミ・紹介キャンペーン: 既存生徒や保護者からの紹介を促すキャンペーンを実施します。
- オンライン戦略:
- ホームページ(HP)制作: 塾・教室の強み、サービス内容、料金、アクセスなどを分かりやすく掲載します。SEO対策(検索エンジン最適化)を意識し、ターゲットキーワードで上位表示されるようにコンテンツを充実させます。
- Googleビジネスプロフィールへの登録・最適化: 地域の検索で上位表示されるよう、正確な情報を登録し、写真や説明文を充実させ、積極的に口コミを促します。
- SNS運用: ターゲット層が利用するSNS(Instagram、Facebook、Xなど)で、授業風景、生徒の活躍、教育に関する情報などを定期的に発信し、エンゲージメントを高めます。
- Web広告: Google広告、SNS広告など、ターゲット層に絞り込んだ広告配信を行います。特に地域ターゲティングを活用します。
- ポータルサイトへの掲載: 塾・習い事系のポータルサイトに情報を掲載し、潜在顧客との接点を増やします。
- オンライン説明会・体験授業: Web会議システムを活用したオンライン説明会や体験授業を実施し、遠方の顧客にもアプローチします。
3.6 開校後の継続的な分析と改善
開校したら終わりではありません。常に市場の動向や顧客のニーズを把握し、サービスや戦略を改善していくことが重要です。
- 生徒数・入会率の推移分析:
- アンケート・ヒアリングの継続: 定期的に生徒や保護者へのアンケートやヒアリングを実施し、満足度や改善点を把握します。
- 競合の動向チェック: 新規参入や既存競合のサービス変更などを常に監視します。
- Webサイトのアクセス解析・SNSインサイト分析: オンライン上の反応を分析し、コンテンツや広告戦略を改善します。
まとめ
学習塾や習い事教室の新規開校は、多岐にわたる準備と戦略が求められる事業です。しかし、本記事で詳述した「商圏分析」と「ネットリサーチ」を徹底的に行うことで、成功への確度を格段に高めることができます。
最終判断は現地調査を行った後になりますが、様々な場所をリサーチしていくことで、商売の勘みたいなものも同時に養われていきます。
商圏分析を通じて、地域の「見える」データを深く掘り下げ、ターゲットとなる子ども人口の構成、競合の具体的な状況、そして地域の特性を明確に把握します。これにより、どこに、どのような規模で開校すべきかの基本的な方向性が見えてきます。
一方で、ネットリサーチは、ターゲット顧客の「見えない」ニーズや行動パターン、オンライン上での情報収集の実態を浮き彫りにします。彼らが何を検索し、どのSNSで情報を得ているのかを知ることで、最適な集客戦略や情報発信の方法を確立することができます。
これらの分析は、単なるデータの収集に留まらず、それらを統合し、具体的な「ターゲット顧客の明確化」「独自の強み(USP)の設定」「最適な立地戦略」「魅力的なサービス内容と料金体系」「効果的な集客・マーケティング戦略」へと落とし込むことで、初めてその真価を発揮します。
新規開校はゴールではなく、スタート地点です。開校後も継続的に市場の変化を捉え、顧客の声に耳を傾け、サービスと戦略を改善していく姿勢が、長期的な成功を確実なものとします。
この詳細な記事が、あなたの学習塾・習い事教室の新規開校における羅針盤となり、地域の子どもたちの成長に貢献できる素晴らしい教育機関の誕生に繋がることを心から願っています。
