なぜ保育園は倒産ラッシュなのか?待機児童ゼロの裏で起きた構造変化と、少子化時代に勝つ学習塾の生き残り戦略5選

何かが、、、以前と違う・・・
これが構造変化なのか!

まず初めに・・・

「保育園の倒産・廃業が過去最多」のミステリーを解く

ここから入りましょう。
こちらの記事をご覧いただくその前に、

「保育園」の倒産・廃業、3年連続で最多更新へ 保育所不足から一転、地方の園で消滅相次ぐ

こちらのヤフーニュースの記事からご確認ください。

この記事を見たときに、ちょっと前まで「待機児童」とか、子どもを預けられない内容の記事を見ていましたので、少々度驚きました。それでは、紐解いていきましょう。そして、少子化時代の学習塾というテーマにも入っていきます。

待機児童問題の裏で起きた構造変化と、少子化時代における学習塾の生き残りをかけた再定義

「かつてあれほど『待機児童問題』が叫ばれ、保育所不足が社会問題化していたのに、なぜ今、保育園の倒産・廃業が過去最多を更新しているのか?」

連日報じられるニュースを目にして、このような疑問や矛盾を抱く人は少なくなかったのではないでしょうか。

国や自治体が総力を挙げて整備を進めてきたはずの保育インフラが、今や相次ぐ倒産や事業撤退という急転直下の事態に直面しています。

この現象は一過性の不況や事業者の経営失敗ということでしょうか?

背景や掘り下げた記事を読み解いていきますと、

「国策による急激な供給拡大」
「加速する想定以上の少子化」
「深刻な人手不足」
「物価高騰」

という複数の要因が重なり合ってしまっているのがわかります。要するに・・・構造的な需給ギャップの問題が表面化したのだと思います。

今回の記事では、このような「待機児童ゼロの影で起きている倒産急増」の実態を紐解き、保育業界の今後の展望を予測します。

さらに、同様に「子供の減少」という共通の荒波に晒されている小中高生向けの教育事業・学習塾業界がどうあるべきかについて、今後の生き残り戦略と事業展開を考察して参ります。

第1章:なぜ「待機児童問題」から「保育園の倒産ラッシュ」へ一転したのか?

「待機児童が多かったはずなのに、なぜ倒産するのか」という疑問を解き明かすには、過去10年間の保育行政と人口動態のギャップを理解する必要があります。

そうすると、主な要因は以下の4点に集約されます。

1. 整備ラッシュによる「供給過剰」と「需要の急減」の交差

2010年代半ばから、政府は待機児童解消に向け「子育て安心プラン」などを推進し、株式会社などの民間事業者の参入規制を緩和しました。助成金や補助金が手厚く支給されたこともあり、小規模保育や企業主導型保育を中心に新規参入が相次ぎ、保育施設数は爆発的に増加しました。

しかしその一方で、日本の出生数は国の想定を遥かに上回るスピードで激減しました。

2016年に初めて100万人を割った出生数は、2023年には70万人台前半にまで急落しています。 結果として、施設が増えきったタイミングで利用する子供の数が急激に減少する「需要と供給の逆転(ミスマッチ)」が各地で発生しました。

2. 「待機児童ゼロ」の達成とミスマッチの露呈

国や自治体の取り組みが実を結び、全国の9割以上の自治体で「待機児童ゼロ」が達成されました。一見すると喜ばしい成果ですが、これは「定員に達しない不人気園や立地の悪い園が溢れるようになった」ことを意味します。

都市部であっても、駅から遠い施設や設備が不十分なビルの一画にある施設などは選ばれなくなり、定員割れ(定員充足率の低下)が深刻化しました。

保育園の収益構造は「在籍児童数」に連動した公定価格(補助金)に大きく依存しているため、定員割れはダイレクトに収支悪化へと直結したという流れです。

補助金や助成金などは、それ自体が国の制度として実施されるのですが、やはり要件がかなりシビアです。
前提としては、しっかりと基準をクリアしていることですし、しっかりとした事前のプラン、及び事後の報告(実態に即しているか、そもそも実態なのかどうかなどのリサーチ)があります。

3. 保育士不足による「募集制限」と人件費の高騰

保育事業における最大の固定費であり、同時に事業の根幹であるのが「保育士(人件費)」です。

空前の人手不足の中、保育士の奪い合いが激化しました。人材紹介会社に支払う高額な紹介手数料が経営を圧迫したほか、十分な保育士数を確保できないために「園児を受け入れる余裕(キャパシティ)があるのに、法律上の配置基準を満たせないため園児募集を制限せざるを得ない」という本末転倒な経営不振が多発しました。

4. 物価高騰・光熱費上昇と公定価格のギャップ

昨今の世界的なインフレに伴い、給食の食材費や施設光熱費、備品代が高騰しています。

しかし、保育園の収入源である公定価格は国によって定められており、民間企業のように「明日から売上価格を10%値上げする」といった柔軟な価格転嫁が不可能です。

上昇するコストを自社で吸収しきれなくなった中小規模の運営会社が、資金ショートを起こして倒産するケースが増加しています。

ここまでの要因の4点として自分で文字を書いているうちに、なるほど・・・と理解納得できる部分がある反面、抗えない需給原則があるのだということがわかります。

第2章:保育業界の今後(中長期的な展望)

では、急激な構造変化を迎えた保育業界は今後どのようになっていくのでしょうか。今後5〜10年で予想される展望を整理します。

【保育業界の再編構造】

[量的な拡大期(〜2020年代初頭)]
↓ (少子化加速・待機児童解消)

[淘汰・淘汰の激化(現在)] → 倒産・廃業の過去最多更新
↓ (質の選別・財務体力の差)

[業界再編と質的転換(今後)]
・M&Aや大規模グループへの統合
・「預かる場」から「教育・選ばれる場」へ
・多角的な子育て支援拠点化

恐らくはこのような流れになるのではないでしょうか。ここで書いていることも要するに「需給調整」のようなものを事業単位として書いてあります。
多すぎるものを減らして需給バランスを取る、その一環としてというのは言葉として正しくありませんし、保育園経営を一生懸命やっている人たちに申し訳ないのですが、
最初の起点が「待機児童が多いぞ!何とかしよう」という掛け声のため、「我先に」と設立が急がれた時期があったということですね。

保育園の場合は、学習塾と違って、設立要件があります。


大きく分けると、
「物件・場所」「設備・建物」「人的要件(人員)」の3つのです。下記のとおり、かなり細かい「届出」「認可業務」であることがわかります。

■ 保育園設立の主な要件

【1. 物件・立地の要件】
・安全な立地環境(危険物施設や著しい騒音・排ガスがない場所)
・耐震性(1981年6月以降の新耐震基準を満たしていること)
・避難経路(災害時に円滑に避難できる道路環境)
・避難階の制限(原則1~2階。3階以上の場合は耐火構造や屋外避難階段等が必要)

【2. 設備・建物の面積要件】
・乳児室(0歳児):1人あたり 1.65平方メートル以上
・ほふく室(1歳児):1人あたり 3.3平方メートル以上
・保育室・遊戯室(2歳以上):1人あたり 1.98平方メートル以上
・屋外遊戯場(園庭):2歳以上児 1人あたり 3.3平方メートル以上(※近隣公園で代用可能な自治体あり)
・調理室(園内で給食・離乳食を調理できる専用設備)
・医務室・事務室、児童用手洗い・便所

【3. 人的・人員配置の要件】
・施設長(園長):保育事業への理解と一定の管理能力を持つ者
・調理員:1人以上(委託も可能)

<保育士の配置基準>
・0歳児:児童3人に対して保育士1人
・1~2歳児:児童6人に対して保育士1人
・3歳児:児童15人に対して保育士1人
・4~5歳児:児童25人に対して保育士1人

※原則として配置職員は全員「保育士資格」が必要です。
※開園中は児童数にかかわらず常時2人以上の配置が必要です。

【補足:自治体ごとの上乗せ基準】
保育園の認可は各市区町村が行うため、上記の国基準に加えて自治体独自の基準(園庭の必須化や防音・防犯設備など)が適用されます。事前相談が必須となります。


設立までのこれだけのハードルを越えて届けを行い認可を受けて開始した業務なのに・・・そう思うと開設者は無念以上のいものがあるのではないでしょうか。
今日の保育園のニュースは、そういう意味で保育園設立者側の気持ちになってみると苦しいものがあります。

保育園経営においても明らかに二極化があり、再編淘汰の波が押し寄せています。

1. 二極化の進展と M&A・再編の加速

財務体力のない中小事業者や単機能の小規模保育園の淘汰・撤退がさらに進む一方で、ブランド力と資金力を持つ大手に園が集約されていく「M&A(合併・買収)や事業譲渡による業界再編」が加速します。 地域のインフラとしての保育園を突然閉鎖させないよう、行政主導での引き継ぎや大手への統合が進むでしょう。

2. 「量の確保」から「質の差別化」への完全移行

定員割れが当たり前になる時代において、保護者から「選ばれる保育園」しか生き残れません。もはや・・「子供を預かる(保育)」だけではなく、以下のような独自の付加価値を提供する園が生き残ります。

  • 英語教育、プログラミング、リトミック、スポーツなどの幼児教育プログラムの充実
  • 園内調理によるこだわりの食育やオーガニック対応
  • ICT化による保護者の負担軽減(連絡帳アプリ、登降園管理、写真共有など)

3. 多角化・地域の「子育て総合支援拠点」への変化

保育所という施設を活用し、未就学児を預かるだけでなく、

・一時預かり
・病児保育
・地域の子育て相談
・学童保育の併設

などなど、「地域の子育て総合プラットフォーム」へと機能を多角化させる動きが強まります。

政府が進める「こども誰でも通園制度」なども、こうした空き枠の有効活用と多角化を後押しする要素となります。

第3章:子供が減る時代、学習塾事業はどうあるべきか?

保育園の問題は、決してお子さんが未就学の領域だけの話ではありません。数年後には、この「少子化の波」がストレートに小学生、中学生、高校生へと押し寄せてきます。

学齢人口(5歳〜18歳)が急速に減少する中で、「小中高生向け教育事業・学習塾」はどのような壁にぶつかり、どのように変革すべきなのでしょうか?


  【従来型モデル】                       【これからの時代に求められるモデル】
 ・一斉授業による知識伝達                ・個別最適化(AI学習+人的コーチング)
 ・「テストの点数・偏差値向上」のみ      ・非認知能力・探究力・キャリア形成
 ・少子化=生徒数の減少(市場縮小)       ・「LTV向上」と「単価の上昇(質的価値)」

学習塾が生き残るための「これからの姿」について、5つの柱で解説します。

① 「量(生徒数)」から「質(LTV・顧客単価)」へのシフト

生徒の絶対数が減る以上、従来の「安価な授業料で大量の生徒を集める(薄利多多)」というビジネスモデルは成り立ちません。今後は、一人の生徒に対する提供価値を高め、LTV(顧客生涯価値)および顧客単価を向上させる戦略が必要です。

具体的な展開

  • 単価の上昇と手厚いサポート: 単に授業をするだけでなく、学習計画の立案、メンタルケア、進路カウンセリング、生活習慣の指導まで包括的に行う「パーソナルコーチング型」のサービス。
  • 低年齢化と長期顧客化: 小学生低学年や幼児期からの集客力を高め、高校3年生までの10年近くを通い続けてもらうエコシステム(内部進学ライン)の構築。

少子化が進む一方で、「子供一人あたりにかける教育費(教育投資)」は増加傾向にあります(1子あたりの過保護化・過熱化)。

「本気で子供の未来に投資したい」と考える家庭に対し、高単価でも圧倒的な満足度を提供するモデルへの移行が不可欠です。

② 「知識の伝達(授業)」から「学習管理・コーチング」への脱却

AI技術(Generative AIやアダプティブラーニング教材)の進化により、

「分かりやすい授業動画」
「自動採点・最適な問題演習」は、

安価または無料で誰でも手に入る時代になりました。

したがって、「先生が黒板の前に立って知識を教える」という塾の存在価値は著しく低下しています。

学習塾が果たすべき新たな役割

  • モチベーションの管理: 「なぜ勉強するのか」の意識付けと、モチベーション維持。

  • 伴走者(コーチ)としての機能: AIが提示した最適な学習カリキュラムを、生徒が計画通りに実行できているかを伴走・承認する役割。

  • 「問い」を立てる力の育成: 答えが決まっているテストの解法だけでなく、自ら課題を発見して考える力を育む。

塾の講師は「教える人(Teacher)」から「問いかけ、伴走する人(Coach/Facilitator)」へと根本的な役割転換が求められます。

③ 偏差値至上主義からの脱却:「非認知能力」と「探究学習」の強化

大学入試改革や高大接続改革に伴い、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜の割合が増加しています。従来の「ペーパーテストの点数・偏差値」だけでなく、「主体性」「表現力」「探究力」「課題解決能力」といった非認知能力が評価される時代になりました。

★展開すべき新事業・プログラム

  • 探究型学習プログラム: 地域の課題解決や、社会問題に対するプレゼンテーション、ロボット・プログラミング教室、アントレプレナーシップ(起業家精神)教育。

  • 実用英語・グローバル教育: 受験英語を超えた、スピーキング・ライティング主体の実践的な英語力育成。

  • 総合型選抜・推薦対策の専門化: 小論文指導、志望理由書のブラッシュアップ、探究実績のポートフォリオ作成支援。

テストの点数を上げるだけの塾は競合が多く価格競争に巻き込まれますが、「我が子の人間力や自己表現力を育てる塾」は、代替の利かない強固なブランドを構築できます。

④ ハイブリッド経営と「地域の居場所(サードプレイス)」化

オンライン教育の普及により、地理的な制約はなくなりました。しかし一方で、「家では集中できない」「友達や先生とリアルに触れ合いたい」というリアルのニーズも依然として強力です。

★物理的校舎の再定義

校舎を単に「勉強部屋」として使うのではなく、生徒にとって家でも学校でもない「安全で居心地の良い第3の居場所(サードプレイス)」として機能させることが重要です。

  • 自習室のクオリティ向上と開放: ホテルやカフェのような集中できる自習環境の提供。

  • 学童保育(アフタースクール)との融合: 共働き世帯の増加に対応し、放課後に小学校までお迎えに行き、預かりながら学習指導や習い事を提供する「学童型学習塾」への進化。

保育園の課題でも触れたように、「共働き世帯の増加」は確実なトレンドです。小学生を対象にした「預かり×教育」の融合モデルは、保護者の強いニーズと合致し、強力な競合優位性となります。

⑤ ターゲットの多様化(リスキリング・大人向け教育・海外展開)

「小中高生」の人口が減る以上、ターゲットを従来のお子さんだけに限定する思想そのものを見直す時期に来ています。

新たな市場開拓の切り口

  • 社会人・保護者向け教育(リスキリング) 昼間の空いている校舎やオンラインシステムを活用し、保護者世代や社会人向けに「生成AI活用講座」「英語」「資格取得」などの教育事業を展開する。

  • シニア層向け脳トレ・学習: 認知症予防や生涯学習としての講座展開。

  • 海外市場へのアプローチ: 日本型の質の高い教育コンテンツ(公文式や算数オリンピック系、ロボット教室など)を、東南アジアをはじめとするアジア圏へフランチャイズ輸出する。

既存の「生徒(小中高生)」という枠組みを広げ、「あらゆる世代の学びの場」へと事業ドメインを再定義することが、長期的な持続可能性をもたらします。

結び:変化を恐れず、「提供価値の根本」を問い直す

保育園の倒産・廃業ラッシュが教えてくれる最大の教訓は、「社会的なニーズ(待機児童問題)に対応して量を拡大したビジネスも、時代の構造変化に対応できなければ一気に破綻する」という厳しい現実です。

これは教育業界・学習塾にとっても他人事ではありません。

人口減少という逃れられない大きなトレンドの中で生き残る学習塾とは、今までであれば、(もちろんこれからもですが)「テストの点数を数点上げる場所」です。

今後は、 これだけ激変している予測不能な時代ですから、「子供たちが自ら生き抜く力を授けてくれる場所」であり、「保護者にとって子育ての最強のパートナーとなってくれる場所」であるべきでしょう。

・「量の拡大」から「質の深化」
・「知識の伝達」から「伴走と人間力の育成」へ
・「点数向上」から「人生の選択肢を広げる教育」へ

この本質的なパラダイムシフトを受け入れ、事業のあり方をいち早くアップデートした事業者こそが、少子化という逆風を乗り越え、次の時代における「教育のリーダー」として確固たる地位を築くことができるでしょう。

今までと「何か違ってきた」

去年も今年も、そして昨日も今日も「何か違う・・・」そう感じている学習塾オーナーはたくさんいらっしゃるはずです。
遡ってみて、
まずは単純比較されてみてください。


2025年と今年

2024年と今年

2023年、2022年、2021年、2020年と今年

コロナ前の2019年と今年、2018年と今年・・・・

そうすると、何かに気づくのではないでしょうか。

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