現代の学習塾が直面する課題と運営のニューノーマル

現代の学習塾業界は、かつての黄金期とは異なる、複雑な課題に直面しています。少子化という大きな波が押し寄せるなか、塾の経営者たちは日々、生徒獲得の難しさを痛感していることでしょう。

かつては「受験には塾が必須」という暗黙の了解があり、親も子も自然と塾へと足を運んでいました。しかし、今はその常識が揺らいでいます。塾の数が飽和状態にあることに加え、生徒を取り巻く環境そのものが大きく変化しているのです。この変化の波を理解し、その上で新しい運営スタイルを確立しなければ、生き残っていくことは難しいと言えるでしょう。

問い合わせ減少の真実:入試制度の多様化と学習機会の広がり

まず、多くの塾経営者が口を揃えるのが、「問い合わせの減少」です。

ではこの原因はよく言われる少子化だけでしょうか。

CROSS M&A(通称:クロスマ)のアドバイザー、15年の運営を振り返ると、どうあっても最大の理由は、入試制度の多様化による受験難易度の総体的な低下にあると言えます。

それぞれのリアルな状況を見てみましょう。


【大学受験はどうか】

特に大学受験においては、一般入試だけでなく、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)といった、学力試験以外の要素を重視する入試方式が主流になりつつあります。
今の高校生の親御さん世代は、まだまだ一般受験優勢の時代です。ところが「わが子が受験」に向かう過程で、その時とはまるでかってが違う状況に戸惑いを持つ保護者が非常に多いです。

共通テストというセンター試験よりもいっそうハードな出題内容になっているにも関わらず受験生たちの思いは、「共通テスト」や「一般受験」を避けて「極力推薦とか総合型で受かりたい」
このように思う生徒が急増しているのです。
その結果、総合型、推薦で大学進学をする方式を主軸ととらえる層が多くなったことで、今や総合型と推薦で過半数を占めるようになりました。

そして学習塾の指導も受験学習というよりも、学校の定期考査対策がメインになっていったのです。

この現象は、どう考えても、大学入試全体としてみれば、大学入試が楽になったということです。


【高校受験はどうか】

高校受験ではどのような現象が起こっているかというと、私立高校推薦への切り替えがかなり多くなっています。きわめて一部の地域を除き、公立高校の合格と私立高校推薦の合格の難易度は前者のほうが大変です。
私立高校推薦は、受験日を迎える前から合格が決まっているようなものです。

とある学校の合格発表ではどのように発表されるかと言いますと・・・

大きな横断幕のような紙に「全員合格」とたった4文字書かれた合格発表です。これはもはやコストをかけて私立高校入試を行う理由がないのではなかろうかと言えるぐらいです。

これは受験と言えるのか、もはやわからなくなりました。

そして、今度始まるのが私立高校の無償化です。
そうなれば、私立人気が高まります。

容易に予想できるのが、公立高校「離れ」です。ただでさえ、公立高校の総体的な受験倍率は1倍台なのに、下手したら1倍を切り込んできます。
県によってはすでに1倍切り込みがあるのですから、この現象さえも受験と言えるのだろうか・・・ぐらいの状況です。


【中学受験はどうか】

そして、中学受験においても、適性検査型の公立中高一貫校や、第一志望入試、一科目入試などなど、やはり多様な入試方法を導入する私立中学校が増え、一部の中堅校以下では「受験が楽になった」と感じる保護者も少なくありません。

そして私立中学ですと、
日程を変えれば、それらの入試方式のちがいがあっても受けようと思えば全部受けられます。


さて、上記 大学受験の高校生、高校受験の中学生、中学受験の小学生とみていきましたが、いかがでしょうか。

以前であれば、受験学年になれば、否応なしに、好む好まざるかかわらず勉強をハードにしなければならない時代があったのです。

ところが、どんどん制度が甘くなりました。

さて、この「制度を甘くした理由は何だと思いますか」

答えは一つしかありません。

生徒獲得です。

私立大学にしても、私立高校にしても、私立中学にしても、誰がどんな崇高なことを言おうと、誰がどんなにパーフェクトな構想を述べようと、

「それって生徒がいてなんぼの世界ですよね」

という強烈な一言が浴びせられると、まるでカウンターの一撃を食らうかの如しなのです。
公立の学校は、誰か個人の腹が痛むわけではありません。市であれば市、県であれば県、国であれば国の運営です。
しかし「私立」は「わたしくりつ」です。

極論すれば、学費が入ってこなければ私立は成り立たないのです。ですから何が何でも生徒獲得が第一となります。

私立でも歴史が古く、黙っていても優秀な学生が確保できるぐらいのネームバリューがあれば、もう完全に順風で何も問題ないよね・・・

もしかして、そのように思われる方もいらっしゃるでしょうか・・・。

残念ながら、お金は湯水のごとく流れ出て行ってしまうので、学費以外のお金が必要なところがほとんどです。

深いところまではこの記事では切り込んでいきませんが、実態としては運営が厳しいところが多いのです。

が故に、
入試制度の多様化による受験難易度の総体的な低下

これの意味はもうおわかりいただけたかと存じます。生徒を呼び込むため、入学させるためには、あの手この手が必要な時代です。
今の高校生が共通テストや一般受験を避けるように、あまりに難しいところは避けて、「このぐらいのレベルでも入れたいい」そのような感覚が多くなっているのです。これは中学生、小学生でも同様のムーブメントです。

必然的に、入試難易度は全体としてみれば、明らかにダウンしているため、学習塾や予備校に求めるものが変わってきたということを是非知っておいてください。

特に高校生や中学生の保護者は年度を追うごとに変化している状況を最初はわからずとも、保護者会や情報から知るようになります。

そして

「わざわざ塾に通って、受験勉強に多額の費用をかける必要はないのでは?」と考える保護者が増えたのです。

また、オンライン学習サービスや無料の学習コンテンツが充実したことも、塾に通う必然性を薄れさせている一因と言えるでしょう。


続きまして、「比較サイト」の存在です。

比較サイトの仕組み:保護者の「塾疲れ」を引き起こすトラップめいたものとは?

次に、とりあげるべき状況は「契約率の悪化」です。

これは、比較サイトの隆盛と無関係ではありません。

現在、ウェブ上には「塾ナビ」「塾選」「塾シル」など、多数の塾比較サイトが存在します。これらのサイトは、複数の塾の情報を一括で比較・資料請求できる便利なサービスを提供しています。

しかし、この便利さが、保護者に「比較疲れ」という新たなストレスを与えているのです。

たとえば、車の一括査定サイトを利用した経験がある人は、その瞬間に鳴り響く電話攻勢の凄まじさを知っているでしょう。

1本目の電話には驚きと期待を持って対応できますが、2本目、3本目と、知らない番号からの電話がひっきりなしにかかってくると、多くの人は対応しきれなくなり、最終的には対応することが面倒になり、鳴る電話を受けずに放置したり、または着信拒否にしてしまいます。

現代社会は、電話でのコミュニケーションには大きな期待が持てなくなっている時代と言ってもいいでしょう。

塾の場合も同様です。資料請求サイトで複数の塾に同時に問い合わせると、間もなく各塾から電話やメールが届き始めます。

仕事や家事に追われる保護者にとって、これらすべての塾と個別にやり取りし、面談や体験授業の予定を調整するのは、非常に大きな負担です。

「また電話がかかってきた…」
「どこの塾の話だったか分からなくなった…」


そうした状況が続くと、保護者は次第に「もう面倒くさい」という気持ちになり、比較検討そのものをやめてしまうことがあります。

これが、契約に至らない大きな原因の一つとなっているのです。

どの塾がいいのか、もはやわからない・・・わからなくなってしまった・・・という心境です。比較疲れというよりも

比較検討するためには、塾側の説明を聞かなくてはいけない・・・塾で実施される無料体験授業を受けることになる・・・中には一か月間の無料期間がある・・・
このように塾側も生徒獲得には必死に対応しますので、その交渉に抗うだけのパワーが比較が多すぎて出てこなくなってしまうという現象です。

そして・・・

実際どうなのかと言えば、

保護者の本音:「塾など行かせたくない」が意味するもの

そして、この「比較疲れ」の根底には、保護者の

「塾はまだいいか・・・」
「講習など受けさせたくない」


という本音が隠されています。

これは決して、「子どもの学力向上に関心がない」という意味ではありません。むしろその逆です。これは、社会全体の経済状況が厳しくなっている現実を如実に物語っています。

「行かせる余裕がない」
「受けさせる余裕がない」


という切実な声でもあるのです。

しかし、親としてのプライドから、子どもに

「お金がないから塾には行かせられない」とはなかなか言えません。
実際、塾の学費は、どの学習塾でも5年前、3年前と今とでは、確実に値上げしていることでしょう。

値上げしなければ、テキスト代金や輸送費、その他サービス利用費用、そして何と言っても人件費が上がっているのですから、立ちいかなくなってしまいます。

塾代は高くなっているのが実態です。

そのため、塾の面談や体験授業の後、契約をその場で即決することを避けようとします。

「主人に相談してから」
「まだほかに体験授業があるので」
「検討します」

こうした言葉は、保護者が契約を渋る際の常套句となりました。

かつては、体験授業後すぐに契約が成立することも珍しくありませんでしたが、今はこうした即決を避けるための言葉が頻繁に聞かれる時代です。面談から体験授業、そして契約までというプロセスが、以前よりもはるかに困難になっています。

こうした背景を理解せずに、旧態依然とした営業スタイルを続けていては、いずれ塾の運営は行き詰まってしまいます。

これからの塾経営には、これらの課題を解決するための、新しい運営スタイルが不可欠です。


さて、ここから先は知恵の絞りどころです。

やり方は無数にあるでしょうし、どれが正解でどれが不正解とは言えません。やってみなければわからない未知の領域でもあるでしょう。

運営のNEWスタイル:持続可能な経営を実現する2つのアプローチ

この厳しい時代を生き抜くために、学習塾は根本的な変革を迫られています。

その鍵となるのが、

「ターゲットの絞り込み」と「収益構造の多様化」という2つのアプローチです。

1. ターゲットの絞り込み:「中学受験個別指導」というブルーオーシャン

問い合わせの減少や比較疲れといった課題を解決するためには、不特定多数の生徒を対象にするのではなく、ターゲットを明確に絞り込むことが極めて重要です。その中でも、特に可能性があるのが「中学受験個別指導」という分野です。

最近はこの中学受験個別指導という言葉を多く使うようになりましたが、注目のキーワードに浮上する日がきっと来ると思っております(本気で)

ブルーオーシャンであることは間違いありません。

なぜ、中学受験なのでしょうか。高校受験や大学受験と比べて、中学受験は今でも学力試験が中心であり、塾の必要性が高い領域です。また、中学受験は、保護者が子どもの将来に対して、強い期待と投資意欲を持っている時期でもあります。

そして、なぜ「個別指導」なのでしょうか。集団指導塾は、その性質上、生徒一人ひとりの進捗や理解度に合わせて柔軟に対応することが難しい側面があります。しかし、個別指導であれば、生徒の得意・不得意、志望校のレベル、さらには性格に合わせて、オーダーメイドの学習計画を立てることができます。

さらに、多くの保護者は、子どもが「どの塾に通っているか」よりも、「どれだけ成績が上がったか」「どの学校に合格したか」という結果を重視します。個別指導は、集団指導に比べて個々の生徒の成果が可視化されやすいため、保護者の満足度を直接的に高めることができます。

「中学受験個別指導」という特定のニーズに特化することで、他塾との安易な価格競争に巻き込まれることなく、高い付加価値を提供できます。これにより、競合が多い一般の塾比較サイトの顧客とは一線を画し、口コミや紹介による質の高い問い合わせを増やすことが可能になります。

今回は特別にお伝えします。

この「中学受験個別指導」の件ですが、

ぶしつけな言葉で言ってしまえば、

・やれるところがそう多くないはず
・教室長でその対応が出来る人は多くない
・教室長で(現在全国で勤務している教室長さんたち)中学受験の知識をがっちり持っているひとは少ない

だからこそチャンスなのです。

そして、もっと言いますと・・・

すみません・・この内容は私の中で特別な内容で(嘘偽りなく)、弊社のお客様にだけ、本当のデータを提示して一発で100人中100人が驚くデータを提供したいため、一気に書こうという手を止めました。
出し惜しみではなく、データを見てもらえたら、一発でわかります。

そして、本気で

「これ、勝てるかも・・・」と密かに思ってほしいのです。おおっぴらじゃなくて!

CROSS M&A(通称:クロスマ)のアドバイザーは、教育業界のかなり奥底まで知っています。情報というのはサイトで出ていて、AI検索されるものは、ときに偽りだったり、間違っていたりします。
しかし、この内容でご提示、披露でき、尚且つ例えば、これから学習塾を買収して絶対に成功したいという個人様、または法人様が本気で勝ちたいというのでしたら、

絶対に知っておいたほうが良い情報となります。

是非!弊社のCROSS M&Aで学習塾を買収されてみてください。


2. 収益構造の多様化:隙間時間を活用した「オンライン指導」

従来の塾運営は、「授業料」という単一の収益モデルに依存しがちでした。しかし、このモデルは、生徒数の減少や保護者の経済的負担増に直面すると、経営基盤が揺らいでしまいます。

これを解決するために、収益構造を多様化することが不可欠です。

その具体的な方法として、「オンライン指導」の導入は非常に有効です。

ここで提案するのは、単に従来の授業をオンラインに置き換えるのではありません。「隙間時間」を有効活用するという視点です。

例えば、登録講師陣による、生徒側の隙間時間に対応した指導サービスです。

これは、アルバイトの「スキマバイト」のように、生徒が「この問題だけ教えてほしい」「明日のテスト対策を1時間だけお願いしたい」といった、短時間・スポット的なニーズに応えるサービスです。

保護者からすれば、長時間の講習や高額な月謝を払うことなく、必要な時だけ、必要な分だけ指導を受けさせることができます。

これは、経済的に厳しい状況にある保護者の「塾など行かせたくない」という本音を尊重しつつ、子どもの学習をサポートする新たな方法となります。

このサービスは、塾の運営側にとってもメリットがあります。従来の集団・個別指導だけでは対応しきれなかった、新たな層の顧客を獲得できます。また、講師陣も、自分の空いた時間を有効活用して指導にあたることができ、塾側は人件費を効率的に管理できます。

まとめ:変化を恐れず、新しいスタイルを模索する

現代の学習塾が直面する課題は、決して一朝一夕に解決できるものではありません。しかし、その課題の本質を理解し、旧来の運営スタイルから脱却することで、新たな道は拓けます。

ターゲットを「中学受験個別指導」に絞り込み、質の高いサービスを提供すること。そして、オンライン指導を導入することで収益構造を多様化し、保護者の経済的・時間的な負担を軽減すること。

これら2つのアプローチは、現在の厳しい塾業界において、持続可能な経営を実現するための有力な手段となるでしょう。変化を恐れず、新たなスタイルを模索する塾だけが、生き残りをかけて、次世代の教育を担っていくことができるのです。





BATONZ×CROSS M&A

学習塾・習いごと専門M&AサービスCROSS M&A(通称:クロスマ)は、業界ナンバー1の成約数を誇るBATONZの専門アドバイザーです。BATONZの私の詳細プロフィールはこちらからご確認ください。
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