テスト問題への効果的な取り組み方:戦略、分析、そして実践

始まりは「読む」こと:テストとの向き合い方
テストと聞くと、多くの人は「いかに多くの問題を正しく解くか」に意識が向かいがちです。
しかし、テストとの向き合い方は、単に与えられた問題を解くということだけではありません。それは、テストという名の一つのカタマリのルールをよく理解し、勝利への戦略を練ることに他ならないのです。
一つのテストの中には、様々な難易度の問題が混在しています。
例えば、野球の試合に例えるなら、ストライクゾーンの真ん中に来る、誰でも打てるような直球の問題。少し変化球が混じり、タイミングが合えばヒットは打てるけれど、ホームランは難しい問題。
そして、全く手が出ない、見送るしかないような魔球の問題。入試問題は、こうした多様な球種を組み合わせて、受験生の総合的なバッティング能力(学力)を測るように作られています。
問題作成者は、過去の入試データを分析し、学習指導要領を精査しながら、全体のバランスを考慮して問題を作成します。
簡単な問題ばかりでは学力差がつかず、逆に難しい問題ばかりでは、一部の受験生しか得点できず、入試としての本質を失ってしまいます。
だからこそ、受験者の8割が解けるであろう「基礎問題」から、1割しか正解できないであろう「超難問」まで、意図的に難易度設定がなされているのです。
戦略的な問題選択:テストを「攻略」する
テスト本番や模試では、すべての問題を完璧に解く必要はありません。
限られた時間の中で、いかに効率的に得点を積み重ねるかが重要になります。
これは、山登りに似ています。目の前にいくつもの登山ルートがあるとき、いきなり険しい岩壁に挑むのではなく、まずは比較的平坦で登りやすいルートから登り始め、体力を温存しつつ、確実に標高を上げていく。これと同じように、テストでは「取り組みやすい問題から着手」することが賢明でありベストな戦略です。
では、「取り組みやすい問題」とは何でしょうか?
それは、自分が得意な分野、解法がすぐに思い浮かぶ問題です。これらの問題を先に解くことで、スムーズに得点を積み重ねることができ、精神的な余裕も生まれます。一方、一見して手強そうに見える問題や、時間がかかりそうな問題は、潔く後回しにしましょう。
この戦略には大きなメリットがあります。まず、簡単な問題で確実に点数を確保することで、合格に必要な最低限のラインをクリアすることができます。次に、難しい問題に時間をかけすぎるリスクを回避できます。もし時間が余れば、後回しにした難問にじっくりと挑むことができますし、時間が足りず未着手でも、簡単な問題での失点を防げたという点で、結果的に高得点に繋がります。
しかし、この戦略が常に成功するとは限りません。「これは解けそうだ!」と取り組んだ問題が、実は時間のかかる難問だったり、途中で手が止まってしまうこともあります。
このような「ロストタイム」を防ぐためには、事前の準備が欠かせません。
過去問演習の真価:敵を知り己を知る
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉がありますが、これはテストにも当てはまります。テストにおける「敵」とは、出題される問題そのものです。そして、問題傾向を知るための最も有効な手段が過去問演習です。
過去問を解くことは、単に問題を解く練習をするだけでなく、入試という「戦場」の地形を把握することに他なりません。過去問を分析することで、以下のような貴重な情報が得られます。
- 出題傾向の把握: どの単元や分野から、どのくらいの頻度で出題されているか。
- 問題形式の理解: 記述式が多いか、選択式が多いか。グラフや表の読み取り、会話文形式など、特殊な形式は出題されるか。
- 難易度の予測: 毎年、どの問題が基礎問題として配置され、どれが最後の難問として配置されるか。
これらの情報を知ることで、「大問5番は毎年、複雑な図形問題が出るから、後回しにしよう」といった具体的な戦略を立てることができます。逆に、「大問3番は文章読解だが、平易な設問が多いから、ここは確実に点を取ろう」と、自信を持って臨むことも可能です。
弱点分析:なぜ、その問題が解けないのか?
過去問演習を通して「取り組みづらい問題」が見つかったら、それを放置してはいけません。むしろ、その問題こそがあなたの弱点克服の鍵となります。なぜその問題が難しく感じるのか、具体的な原因を分析しましょう。
取り組みづらい問題の典型的な原因
取り組みづらい問題の原因は、主に以下の4つに分類できます。
- 問題文の長さと読解の困難さ:問題文が長く、設問の意図を正確に読み取ることが難しい。
- 新傾向問題への対応力不足:会話文形式や、実験結果を分析させる問題など、従来の形式とは異なる出題形式に慣れていない。
- 情報過多による混乱:図やグラフ、表など、読み取るべき情報が多すぎて、どこから手をつければ良いかわからなくなる。
- 計算の複雑さ:計算問題の数値が複雑で、計算ミスを誘発しやすい。
これらの原因は、教科や志望校によって様々です。大切なのは、「なぜ自分がその問題でつまずいてしまうのか」を客観的に見つめ、具体的な対策を講じることです。
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【実例(実話)】
すでにいろいろと問題分析をされているオーナー、教室長、塾長は傾向がおわかりかと存じますので、まさに釈迦に説法となってしまいますが、述べさせていただきます。
傾向は、
①長文化(問題文の長文化)
②より身近な生活に密着したテーマ選定
③日常性をあらわすための会話文形式問題の頻出
④知識・技能より思考を問う問題増加
この4つです。
従いまして、これらの傾向を知るために(保護者様ではなく、教室責任者が知るためには)
最初に共通テスト問題5年間実施分の傾向分析、今いらっしゃる都道府県の公立高校の入試問題分析、首都圏の中学受験の問題傾向分析
などをやると、なるほど!とご理解いただけます。
そして、これらの傾向があるがゆえに、問題を解くプロセスで、生徒さんがどこに問題、課題があるのかを部分分けしてアドバイスまたは教科指導のカリキュラムに入れていくとよいでしょう。
問題を解くプロセスを分解する:自分の課題を見つける
ほとんどの問題は、以下の3つのプロセスを経て解答に至ります。
- 情報を収集する=読む(問題文、設問、図などを正確に読み取る)
- 問題を解くための方針を決める=思考する(解法や計算式を組み立てる)
- 実際に解答する=表現する(計算や記述を行う)
このプロセスを意識することで、自分の弱点がどこにあるのかを明確にすることができます。
ここで一番上にある画像を再度ご確認ください。
例えば、生徒さんAは、問題文を読んでいる途中で「結局、何が問われているのか分からなくなった」ということを言ってきたら、Aの課題は「情報を収集する」プロセスにあると言えます。野球の試合で、バッターボックスに立ったものの、ピッチャーが投げる球をただ見ているだけで、ストライクかボールか、何の球種かを判断できない状態です。
この場合は、設問を先に読んでから本文を読む、重要なキーワードにマーカーを引くなど、「読む力」を強化するトレーニングが必要です。
また、問題文も理解し、解法も頭の中で浮かんでいるのに、いざ計算式を立てようとすると「いつも迷ってしまう」「途中でミスをする」という場合は、「方針を決める」プロセスに課題があると言えます。これは、野球で言えば、球筋は読めているのに、バットを振るタイミングやスイングの軌道が定まらず、空振りや凡打になってしまう状態です。この場合は、基礎的な公式や解法パターンを徹底的に覚え込み、問題演習を通して「思考の引き出し」を増やすことが重要です。
このように生徒さん個々にある課題点を浮き彫りにして、具体的な策を講じていくための計画をカリキュラム上に落とし込むことで、保護者にも理解納得してもらえることが多いのです。
テストの種類とその目的を理解する
一口に「テスト」と言っても、その目的は様々です。
- 入試:入学を許可するに足る人物を選抜するためのテスト。志願者の学力が拮抗している場合が多く、問題の難易度設定や配点によって、合否が分かれることがよくあります。入試は、まさに「戦略」が問われる場です。どの問題を確実に正解するか、どの問題を後回しにするか、瞬時の判断力が求められます。
- 確認テスト:単元ごとの理解度を測るためのテスト。学力を測定するという意味合いよりも、学力を「育てていく」ためのテストと言えます。ここで基礎問題を確実に正解することで、次のステップに進むための土台を固めることができます。
- 小テスト:漢字や計算など、基礎知識の定着度合いを測るためのテスト。これは、日々のトレーニングで筋肉を鍛えるようなものです。日々の積み重ねが、やがて大きな力となり、本番で難しい問題に立ち向かうための基礎体力となります。
それぞれのテストには、それぞれの目的があります。この目的を理解し、それに合わせた取り組み方をすることで、テストは単なる「試練」ではなく、自分の成長を測るための指標となります。
結論:テストは「自分を知る」ためのツール
テストへの取り組みは、単に知識をアウトプットする作業ではありません。
それは、自分の得意なこと、苦手なこと、思考の癖を客観的に分析するためのツールであり、そして、それを乗り越えるための戦略を立てる練習の場です。
日々の学習の中で、「自分はどこでつまずいているのか?」と自問自答する習慣をつけることが大切です。情報を収集する段階か、方針を立てる段階か、あるいは表現する段階か。自分の弱点を知り、そこを徹底的に強化することで、あなたはどんなテストにも自信を持って臨むことができるようになるでしょう。
テストは、あなたの成長を映し出す鏡です。その鏡に映る自分を、臆することなく見つめ、より良い自分へと変えていく。この積み重ねが、やがてあなたの大きな力となり、目標達成へと導いてくれるはずです。

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